明日世界が終わるとしたら、と性善説

バーのカウンターで、みんなで話すネタにこういうのってあります。

そのとき音楽好きが多い場合は「無人島に1枚だけレコードを持って行くとしたら何?」

本好きが多い場合は「無人島に1冊だけ本を持っていけるとしたら何?」

グルメな人が多い場合は「最後の晩餐に食べたい料理は何?」

そしてみんながそんなにマニアックに趣味が偏っていない場合は「明日世界が終わるとしたら今日は何をする?」というものもあります。

 ※

ちなみにこの手の質問は、「質問をはぐらかす」と言いますか、「本当の趣旨とは違うところで回答をして、いかに受けをねらうか」というタイプの人も出てきます。

例えば「無人島のレコード」だったら、「無人島なのに電気はきてないでしょ。だったら楽器を持って行って自分で下手ながらも色々と弾いて歌った方がいいんじゃないかな」と突っ込む人っています。

あるいは「無人島の本」だったら、「無人島で生きていくためのサバイバル本があると一番助かるんじゃないかな」って感じのことを言う人もいます。

そして「明日、世界が終わるとしたら」の質問の場合に必ず、こういう風に「世界崩壊前夜」のことを想像する人がいます。

「明日、世界が終わるってなったら、街はすごいことになってるんじゃない? 強盗に入ったり、強姦や暴れる人がたくさんいて、警察も別に働きたくないから誰も取り締まらないし、たぶん都市部はカオスだよね」

この手の「世界崩壊前夜」の想像話を聞くたびに「そうかなあ…」って疑問に思います。

例えばあなたはどうしますか? 街に出て盗みや強姦なんかをしますか? そんな人いるでしょうか。もしいたとしてもすごく少数なんじゃないかなって僕は思います。

たぶんほとんどの人が「明日が終わり」ってなると、「あの人にこれだけは伝えておかなきゃ」っていうことを真っ先に思いつくと想像します。

「あの時は本当にごめんね」とか「あの時、本当に助けてくれてありがとう」とか「実はずっと好きだったんだ」とか、とにかく誰かに何かを伝えたくて、いろんな行動に出そうな気がします。

そしてそれがある程度終わったら、仲のいい人たちで集まったり、家族で集まったりして、楽しく食事をするんじゃないかなって僕は想像します。

そう思いませんか? 人間ってそこまで「悪いこと」ってしない気がします。

っていうのを、その「明日世界が終わるとしたら」の話題の時に、僕は必ず思ってるのですが、先日、池谷裕二『脳はなにげに不公平』を読んでいたら、「やっぱり僕の予想が正解だった」と確信しました。

人間は生まれながらにして「善か悪か」という性善説、性悪説ってありますよね。これを実験でどちらなのか突き止められたらしいんです(世界にはいろんな実験をしている人がいるんですね)。

これ、詳しい実験のことは本を読んでいただくとして、とにかく僕たち人間は直感的に行動するとき、自己中心的な行動よりも、他人が利する行動をとるらしいんです。

たぶん、僕たち人間はそこまで「悪いこと」って自らすすんではやらないはずなんです。

だから「明日世界が終わる、その前日は、たぶん平穏な一日で、みんなが誰かに会いに行ったり、感謝や愛を伝えたりして、そしてみんなで楽しく食事をしている」と僕は思います。そう考えると「終末」ってそんなに悪くないですよね。

#コラム

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この記事は投げ銭制です。この後、オマケで僕のちょっとした個人的なことをすごく短く書いています(大したこと書いてません)。今日は僕は「明日世界が終わるとしたらどうするか?」です。

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