渋谷の客引きあれこれ

昔、まだ朝の4時までbar bossaを営業していた頃のこと。4時くらいに渋谷のクワトロの前あたりを一人で歩いていたら、そんなに派手なタイプではない、若くて綺麗な女性に「お兄さん、カッコいいですね。今から飲みに行きませんか?」って突然、声をかけられたんですね。

「え!? これが噂の逆ナン?」とかって一瞬思ったのですが、普通に考えて、どう見ても僕は「女性から声をかけたくなるようなカッコいいタイプ」のはずがない、と気がつきまして、「ああ、いえいえ。あのこの後、友達と用事があるので…」とかなんとかゴニョゴニョ言って、その彼女から離れました。

たぶん、「私が知ってる店で良い?」とかなんとか言われて、怖いお兄さんが待っているお店で飲まされて、「お会計50万円」とかってことだったんだと想像します。

僕は「勤務中」は飲まないので、その時は素面だったんですね。その時間に渋谷を男性が一人で歩いているって普通は酔っぱらってるから、多くの人がフラフラっと彼女についていくんだろうなあと思いました。

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さて、こういう路上で「客引き的なこと」をしている人たちっていますよね。僕はこういう人たちを観察するのが大好きでして、渋谷のいろんな各ポイントを見ながら、「あ、今日はあの怖いお兄さんいないなあ」とかいつも気になって眺めています。

この「客引き」、向こうも「声をかけても絶対についてきそうにもない人」にはわざわざ声はかけないんです。向こうとしてもそんな無駄なことをしても労力がもったいないので、一応選んで声をかけているんですね。

だからまず学生さんって感じの人たちには声はかけません。あと、面白いのはギターを持っている人と歩いていると声はかけられません。どちらも声をかけてもまずついてこないんでしょうね。

ジャージっぽい、いかにも寝間着というか近所っぽい服装でも声はかけられません。逆にスーツとかなら声はかけられやすそうですね。

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以前、4時までお店をやってた頃は、その時間に毎日毎日素面で通るから、向こうも「たぶん同業者(朝までお酒を出している職業)なんだろうなあ」って感じで覚えてくれて、一切声はかからなくなりました。バー関係ってこういう時も「同じ仲間」っていう連帯意識みたいな気持ちが芽生えて「お疲れさま」ってお互い言いたくなるんですよね。

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ところで以前は「キャバクラ」の客引きが多かったように思うのですが、最近は「ガールズバー」が多いですね。

ガールズバーは女の子が小さい四角い紙を持っていて、そこに「ガールズバー3000円」とか書いてあって、「ガールズバーで~す。いかがですか~?」って声を出しているというパターンが多いです。

ところで、このガールズバーの客引きで、渋谷の井の頭線道玄坂方面の入り口近くで毎日毎日12時半頃に立っている女の子がいるんです。

その彼女、とにかく笑顔が素敵で、「好感度」がすごく良いんですね。その彼女の笑顔にひかれてフラフラっとそのお店に入ってしまう男性、すごく多いと思うんです。

でもいつも思うのは、彼女、そのガールズバーの従業員なら中で働くべきだと思うのに、本当に毎日毎日同じ時間に外で「ガールズバーで~す。いかがですか~?」って言ってるんです(12時半だとお店は書き入れ時のはずです)。

ということは、彼女、もしかして、本当の意味での「看板娘」で、外で「客引き専門」で笑顔を買われて外で立っているのかなあと最近気になって気になってしょうがない、46歳の夏です。

#コラム

僕のcakesの連載をまとめた恋愛本でてます。「ワイングラスのむこう側」http://goo.gl/P2k1VA

この記事は投げ銭制です。この後、オマケで僕のちょっとした個人的なことをすごく短く書いています(大したこと書いてません)。今日は「ガールズバーって行ったことないけど」です。

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渋谷の客引きあれこれ

林伸次

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林伸次

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