「子供を考えているのですが、経済状態のことが心配です」に答えました。

※水曜日は質問に答えています。

【質問】

アラサーの新婚妻です。子供を持つべきか、悩んでいます。

親からのプレッシャーはありません。自身の実家とは疎遠です。旦那の実家の方は子沢山で、既に孫もいます。すごく優しくて素敵な義両親で、困った時には遠慮なく頼れそうですが、金銭的な援助を期待するのは難しそうです。

となると、自分たち夫婦がどうしたいのか?ということにかかってしまうのですが、悩ましいです。

世帯収入は共働きなので、現在の日本の統計上標準的ですが、妊娠・出産したら収入は減るはずです。また、子供を一人育てるのに、少なく見積もっても1000万~2000万はかかりそうです。

どんなに頑張って生きていても、自分たちがリストラされて生活がままならなくなる可能性もあるのに、月に4万~8万以上も負担が増えるなんて……しかも産んだら収入下がるのに……自分の奨学金も払い終わってないのに……bossaさんに行く余裕も無くなってしまうじゃないか……!と二人で恐れおののいています。

ペットに愛情を注ぐなどして、子供がいない人生を楽しむことはできると思います。

でも、可愛い子供のいる、たくさんの困難と試練がある人生、出産という体験をすることにも未練はあります。

……が、そもそもそんな親のエゴで、必ずしも幸せでないかもしれない環境に(少なくとも経済的には私たち夫婦の子供時代より苦しくなるはずです)子供を産み落とすのは、生まれてくる子供にとってちょっと迷惑なのでは……?という気もします。

あまり悩み続けて結論を先延ばしするのも、出産可能年齢や働ける年齢のことを考えるとよくないので、1年以内には答えを出したいと思っています。

林さんは、どうお考えになりますか?どうぞよろしくお願いします。

【答え】

まず僕自身のことをお話しますと、うちにも27才になる娘がいます。妻は僕とは再婚です。僕は妻とは娘が4才の時から付き合っていて、小さい頃から一緒にディズニーランドや動物園や旅行なんかには行ってました。

そして娘が中学生になるときに僕は妻と結婚して一緒に暮らし始めました。

ちなみに僕が19年もお店を続けられたのは娘がいたからです。

僕は元々、中古レコード屋とか古本屋とかカレーが美味しいカフェ、あるいはその3つの要素が全部入った中央線や下北沢にありそうなお店をやりたかったのですが、娘がいるから「もっと収入が多い業態」と考えて、バーを始めました。

そして僕はすごく飽きっぽいので、「娘にお金がかかる」という縛りがなければ、お店は5年くらいでやめてしまって、また別のことを始めていたと思います。

娘は中学高校大学と私立だったので、お金はそれなりにかかりました。

僕が一生懸命、店にしがみついてでも毎日の売り上げを頑張って稼げたのは娘がいたからだと思います。

そして、その19年間も移り変わりの激しい渋谷でお店を続けてこられたというのは僕の自信にも繋がりました。

僕の場合、「娘の誕生」とかには立ち会えなかったのですが、娘が中学に受かったり、大学に受かったりしたときは、本当に自分のこと以上に嬉しかったです。ああ、親ってこういう風に子供のことを喜ぶんだなあって実感しました。

       ※

さて、質問に戻りますね。

貴女が気にしているポイントは「子供が出来ると経済的に今のレベルより下がる」と「そんな経済状態で自分たちのエゴで子供を作ってしまって、子供は納得するのだろうか?」というところですよね。

まず「経済的にレベルが下がる」という件ですが、僕も今、考えてみると、もし娘がいなかったら、もっともっと海外旅行や贅沢な生活が出来たはずだなあ、もっと休暇をとったはずだなあとは思います。

でも、それは「今、考えてみると」でした。どういうわけだか、「子供にお金や心配や時間をたくさん費やすこと」って、そんなに「精神的負担」ではないようです。

そしてどうやら「子供がいる以上、世話しなきゃいけない」という義務感でもないようです。

子供にお金がかかることはもちろんすごく大変なのですが、「いやあ、うち、娘が今度、受験でお金がかかるんですよ」って感じで「大変自慢」と言いますか、大変なのがどうやら「心地よい」と感じていたみたいです。

そういう僕の経験から考えてみると、「子供に色々とお金がかかることによって、夫婦の経済レベルが下がる」という状況は「いやあ、大変なんです。バーなんて行けるわけないです」って言いながら、「そういう金銭的にギリギリであったり娘の進路のことなんかを心配ばっかりしていた人生や生活をじゅうぶん楽しめた」という実感は保証いたします。

       ※

「そんな経済状態で親のエゴで子供を作って、子供は納得するのか?」ですが、例えばリストラの心配も書かれていますよね。僕は「親が経営者だったけど、その会社が傾いて、学校に行けなくなった」という人を3人知っていますが、みんな今はすごく楽しそうですよ。

あと、本当に「綺麗ごとを言っている」ようで申し訳ないのですが、貧乏でも幸せな家族は幸せだし、お金持ちでも不幸な家族はたくさんあります。本当に家族とお金は関係ないと思います。これは本気でそう思いますよ。

あと、貴女はご自分でも「自分が育った実家がどれくらいの経済状態だったか?」って正確に把握されていますか?

意外と大人になってから、「うちって比較的裕福だったんだ」とか「うちの両親あのくらいの稼ぎでよく自分を大学にまで通わせられたなあ」とかって気づきますよね。

そういう意味では子供って「親の経済状態」って全く気にしていないです。

       ※

そしていつもいつも思うし、子育てをした全ての人が「そうそう」って感じると思うはずですが、「子供って全く親の考えているようには育ちません」。子供って本当に勝手に親の期待なんて関係なく、自分自身のやり方で育っていきます。

ですので、そんなに「親としてしなければならないこと」とか「親として最低このくらいのことはしなければ」なんてことは考えても、子供の方は全く気にしてくれません。

その辺りは本当に気にしなくても良いかと思います。

こんな答えで良かったでしょうか? 幸せな家族になってくださいね。

※質問受け付けております。このシリーズ、書籍化のお話をいただいておりまして、「人生相談的な本にしたい」とのことですのでそういう質問だと助かります。makijobim★yahoo.co.jp(★を@に変えてください)にメールしてください。質問の文章に個人情報をたくさん書かれる方がたまにいらっしゃいますが、「コピペして公開可能な文章」でお願いいたします。

#コラム

僕のcakesの連載をまとめた恋愛本でてます。「ワイングラスのむこう側」http://goo.gl/P2k1VA

この記事は投げ銭制です。この後、オマケで僕のちょっとした個人的なことをすごく短く書いています。今日は「渋谷のこんなお店知らなかった」です。

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