お店の人と話す

髪を切りに行って何が困るって、スタッフとの会話ですよね。

ウイークデイのお昼だったりすると「今日はお仕事はお休みですか?」とかって聞かれます。あれ、スタッフ側としては「どんな職業の人なのかな。それにあわせてちょっと派手でもアリなのか、それとも堅い職場なら控えめがいいのか」を探っているという話を聞きました。

すごくわかるのですが、僕の場合「バーテンダーなんです」って言うと、もちろんお店の場所の話になって、カクテルの話になるので、「あ、うちはカクテルはやってなくてワインなんですよ」という話をすると、まあ若い美容師(あるいは理容師)さんはほとんどの場合「僕、ワインってわからないんですよ。でもお店で注文しなきゃいけない時ってあるじゃないですか。どうすれば良いんですか?」という話になります。

そうなると、「レストランなら好みと金額をソムリエに伝えること」とか「ブドウの品種の話」とか「ビオワインのこと」とかを延々としてしまって、「今、せっかくの休日なのになんでこんな話してるんだろ」って感じになっちゃうんです。

で、僕としては「相手に話してもらう」という作戦に切り替えて、「美容師(理容師)になろうと思ったきっかけは何ですか?」みたいな話とか「恋人はいるんですか?」とかいう話にするのですが、やっぱり会話をどうしても相手にあわせるので、どうも「仕事」になってしまうんです。

それで、一時期「美容院(理容室)難民」になったのですが、最近はBQハウスという10分1000円のカットハウスに出会い、毎回そこに行ってます。たぶんBQハウスってスタッフが無駄な会話はしないって決めているんだと思うんです。だから僕は「ここまでバリカンで6ミリにしていただいて、上はそれにあわせて短くしてください」と伝えるだけで、後は何にも話さなくて大丈夫なんです。

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同じようにタクシーの運転手さんも「会話を求める方」いますよね。あれは聞くところによると、「お客さんとのトラブル回避」という側面もあるそうです。色々と話してお互い気持ちが通じ合うと「おい、いつもよりも高いぞ」とかって絡んでくるケースが少なくなりそうですよね。

あとはやっぱり「お客さんを熟睡させない」という理由もあるそうです。目的地に到着したのにいくら声をかけても起きないってことありますよね。気持ちはわかります。

ですので僕はタクシーの運転手さんに話しかけられたら「今まで一番困ったお客さんってどんな人ですか?」と聞くことにしています。いやあ、すごくいろんなケースがあって、これはもう本当に勉強になります。

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さて、バーテンダーとしても「話しかけるべきかどうか問題」っていうのがあるんです。

例えばカップルで来店していても、「女性の方は店員と話したい」っていうパターンが多いです。男性はそんなに積極的には話そうとしません。

だから女性が僕に話しかけてきても、「男性がそれ以上の会話を求めているかどうか」っていうのを見極めます。

聞くところによるとホテルのバーでは、バーテンダーは「お客さまに聞かれたことにしか答えない」らしいです。

例えば「明日、和食が食べたいんですけど、この辺で美味しいお店、知ってますか?」という質問をされたら、

「そうですね。カジュアルな居酒屋でしたら○○、懐石料理でしたら○○が定評がありますね」と答えて、それで終わりなんだそうです。

これが僕らのような街場のバーテンダーなら、そうやってお店を紹介した後で「東京をご旅行なんですか?」って感じで会話を進めるのですが、それはしないとのことなんです。

味気ないけど、でもお客さん側としては、それ以上、会話を続けたければ、違う話題をふれば良いわけだし、それ以上、話したくないときは、自分のお酒に戻れば良いわけだから、なかなか合理的なシステムではありますよね。

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ちなみに僕は飲食店ではめったに店員の方とは話しません。もし話しかけていたら、そうとうそのお店のことを好きになった証拠です。

あ、そういう意味では、bar bossaで僕に話しかけるお客さまは、bar bossaのことを気に入ってくれているのかもしれませんね。ありがとうございます。

#コラム

啓文堂さん、ありがとうございます!

飲食店って本当に面白いなあって感じの本を出しました。『バーのマスターは「おかわり」をすすめない 飲食店経営がいつだってこんなに楽しい理由』 https://goo.gl/oACxGp

この記事は投げ銭制です。この後、オマケで僕のちょっとした個人的なことをすごく短く書いています(大したこと書いてません)。今日は「コーヒーやめたのだけど」です。

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お店の人と話す

林伸次

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林伸次