なぜ僕はレコードが好きなのか、と渋谷のレコード屋のこと

僕がブラジルの中古レコードを手に入れて、一番心が躍るのはレコードのジャケットに「書き込み」を見つけた瞬間です。

例えば1960年にプレスされたジョアン・ジルベルトのレコードに「ジョルジへ 誕生日おめでとう。愛してるわ。たくさんのキスを。マリア」なんて書いてあるわけです。

このレコードをマリアがジョルジにプレゼントしたの、50年以上も前なんです。その二人が当時20歳くらいだったと考えて、今はもう70歳を超えています。

このレコードをジョルジはいつ手放したのでしょう。

もしかしてマリアと別れた5年後の1965年くらいかもしれません。その後、このレコードは色んな中古レコード屋を周り、色んな人間の家のターンテーブルの上にのり、そして恋人たちが囁きあっている後ろで「BGM」として大活躍してきたのかもしれません。

あるいはジョルジとマリアはその後、結婚して幸せになったのですが、二人とも亡くなってしまい、二人の息子や娘が残されたレコードをいっせいに処分してしまい、それが遠い日本にやってきたのかも知れません。

そして、そのレコードをbar bossaのターンテーブルにのせて、針を置くと、ジョルジやマリアが聴いたであろう「音楽」と全く同じ「音楽」がbar bossaの店内に響きわたるんです。

僕はいわゆるコレクターではないのですが、今でもたまに中古レコード屋に行って、散財してしまうのは、中古レコードにはそんな物語があるからです。

昔は渋谷の宇田川町は全世界で一番レコード屋が多い街として有名だったのですが、最近はすっかり少なくなってしまいましたね。

でも、まだまだ良いレコード屋あります。今日は「僕の好きな渋谷のレコード屋」を紹介いたします。

●HMV http://recordshop.hmv.co.jp/ 

帰ってきたHMV、なんと中古レコードを中心に扱っていて、品揃えも、僕らが大好きな「いわゆる中古レコ屋」で、素晴らしいです。「買い取り金額も高かった」とロンパーチッチの斉藤さんが言ってました。

●デシネ http://www.disquesdessinee.com/  

こちらはレーベルもされていまして、オーナーの丸山さんの独特の審美眼で世界中の素晴らしい音楽が紹介されているのですが、特筆すべきは「韓国インディーズ」もたくさん発売しています。デシネはもちろん中古レコードも扱っていますし、丸山さんセレクトの直輸入の洋服も扱っています。

●ソノタ http://www.manuera.com/sonota/

このお店は名前が示すように「その他」のジャンルに入れられそうなレコードがたくさんあります。「チルドレン」とか「男性が好きなレコード」とか「効果音」とか「ネコード」とかを見てるだけで楽しめます。

●ハイファイ・レコード http://www.hi-fi.gr.jp/

ご存知、老舗中の老舗です。サントラやソフトロック、ボサノヴァやAORといった東京の音楽の空気感の源流はこのお店が作ったと言っても過言ではないと思います。さらに店員は全員が有名な音楽評論関係者です。

●フェイス・レコード http://www.facerecords.com/shop/default.php

筋がね入りです。DJを職業にしている方から、入手困難なレア盤を探している難しいジャズ・コレクターの方なんかも「うーん」とうなる品揃えです。音楽好きなら行けば必ず欲しい一枚は見つかります。事務所はbar bossaの上です。

●エル・スール http://elsurrecords.com/

ロス・バルバドスの大将ダイスケさん御用達のワールド・ミュージック専門店です。ラテン、ブラジルはもちろん、アフリカやアジアの「こんなCDが世の中に存在するんだ」って感じのものがあります。楽しめます。

●レコファン http://www.recofan.co.jp/

とにかく色んなものがたくさんあるので、宝探しのつもりで端から端まで全部チェックすると「おお!」というレコードが見つかります。僕は見たことないのですが、ランニング中の村上春樹がよくジャズの棚の前でいるそうです。

●ディスク・ユニオン http://diskunion.net/

東京の中古レコード屋の良心です。僕は1週間行かないと「なんかすごく良くて安いのが入荷してたんじゃないか」と不安になっちゃいます。僕は話しかけたことないけど、店員の「各ジャンルへの詳しさ」は半端じゃないです。

#コラム

僕のcakesの連載をまとめた恋愛本でてます。「ワイングラスのむこう側」http://goo.gl/P2k1VA

この記事は投げ銭制です。この後、オマケで僕のちょっとした個人的なことをすごく短く書いています。今日は「何回も人にあげてしまうレコードベスト3」です。

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なぜ僕はレコードが好きなのか、と渋谷のレコード屋のこと

林伸次

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林伸次