もし、面白くなかった本の紹介記事を5万円で依頼されたら
先日、あるフリーライターの方が、ある「本」がそんなに面白くはなかったのだけど、「紹介文を4000字、5万円で書いてほしい」と依頼があったそうなんですね(本当は本ではないのですが、まあ本としますね)。
そんなに面白くなかった本について4000字も書くって大変ですよね(ちなみにこの僕が毎日書いている文章が1000字とちょっとです)。
僕なら断るかなあと思って、そう言うと、「いや、そのくらいは書けるよ。というか仕事だから書かなきゃ」って言うんです。
で、「そうなの?」と思って、他のフリーの人達に聞いてみたら、みんな「それは書かなきゃ」って言うんです。
そしてみんなが共通して言うことに「そういう難しい案件を逆にさらっとこなせるのがフリーライターの腕の見せ所」ってことだそうなんです。
もちろんみんな誠実なので、面白くないのに「傑作!」とかっては書かないと思うんです。
その本の良い箇所を見つけて、その辺りを中心に書いたり、その作家の他の作品との比較を書いたりと色々と書いていると「4000字は書けるな」って感じなんだと思うんです。
でも僕はちょっと書けないなと思いまして。
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一度、音楽が好きな方が「林さんが今まで書いた音楽の記事とか、CDのライナーとかをまとめた本が出たら買うのに」って言ってくれたことがあるんですね。
まあ、そんな本は出ないし売れないと思うのですが、でも「そういうこともあり得るんだ」ってその時に気がついたんです。
小西康陽さんがそういう今まで音楽について書いた文章をまとめた本が出ているんですね。
小西さん、全然、ブレてないんです。音楽への愛情とか趣味の方向性が一貫してて、色んな時期に書いた文章なのに、どの文章からも「小西さん特有の音楽への誠実さ」がにじみ出てるんです。
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村上春樹がまだそんなに有名じゃなかった頃に、ジャズのレコードのライナーを何枚か書いているんです。
それ、もちろんどれも誠実に丁寧に書いているのですが、「ああ、このアルバム、そんなに気に入ってないなあ」ってわかることもあるし、ある1枚は完全に「困ったなあ。じゃあこういう面白い話を書こう」って感じで、ちょっと笑わせる方向に話を持っていってる文章もあるんです。
他のライターの方たちが言うように「文章の技術でうまくやりこなしている」って印象なんです。
で、村上春樹、今ならたぶんこういうジャズのライナー、「いや、ちょっと僕はそのアルバム、好みじゃないんで」って断ると思うんです。
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僕がそういう話をすると「じゃあ、もし10万円だったら書く? 20万円だったら書く?」ってみんなが言うんですね。
確かに20万円だったら書くよなあって思うんです。なんだ要するに自分も「お金を積まれたら自分のポリシーとか捨てて書くんだ」なんて思ってしまいました。
そんなことを考えていたら、ツイッターでこんな文章を見かけました。
飲食店って本当に面白いなあって感じの本を出しました。『バーのマスターは「おかわり」をすすめない 飲食店経営がいつだってこんなに楽しい理由』 https://goo.gl/oACxGp
僕が選曲したCDです。Happiness Played In The Bar -バーで聴く幸せ- compiled by bar bossa → https://goo.gl/tOKcGu
iTunesでも配信しています。→ https://goo.gl/9QJywf
bar bossaに行ってみたいと思ってくれている方に「bar bossaってこんなお店です」という文章を書きました。→ https://note.mu/bar_bossa/n/n1fd988c2dfeb
この記事は投げ銭制です。この後、オマケで僕のちょっとした個人的なことをすごく短く書いています(大したこと書いてません)。今日は「セブンイレブンのお惣菜って」です。
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