ラブレター

あなたに手紙を書くなんて、不思議ですね。

先日、あるバーテンダーさんが、「そんなに好きだったら、ラブレターを書けばいいんですよ」というので、手紙を書きます。

私はあなたが大好きでした。もちろん今も大好きです。

そのバーテンダーさんが「好きなところを書くといいと思いますよ」というので、あなたの好きだったところを書いてみます。

まず、私はあなたの優しさが好きでした。いつも家族のこと、私や娘のことを一番に考えてくれましたね。娘が小さい頃、風邪をひいただけで、仕事を投げ出して家に帰ってきてくれたことを今でも思い出します。他の男性は何よりも仕事が一番という人が多いのに、とにかくあなたは家族を一番に考えてくれましたね。私の人生は本当にあなたの優しさに包まれて幸せでした。

もちろんあなたの好きなところはたくさんあるのですが、そうですね、付き合い始めた頃、よく電話をしましたね。私はあなたの声が好きでした。先日、みんなで旅行に行ったときに、あなたが撮ってくれたビデオを見つけました。あなたは残念ながら画面には映っていなかったのですが、あなたの声がたくさん聞けました。あなたが、私や娘の名前を何度も呼んでいて、「そうかあ、いつもあなたが私の名前を呼んでいたなあ」と思い出しました。

そのバーテンダーさんが「これからどうしたいかも書けばいいですよ」というので今、悩んでいます。

あなたが亡くなってからもう3年もたちますね。あなたのお父さんとお母さんは「まだ若いんだから、再婚を考えてもいいと思いますよ」って、この間、私に言ってくれました。

娘のことも考えると、そういう選択もいいのかも知れないなってたまに思います。

でも私、やっぱりあなたのことがすごく好きだったんです。今でも好きなんです。そんなこと言ってもどうしようもないのですが。

そのバーテンダーさんが「長文は違反ですよ」というので、そろそろ筆をおかなくてはと思います。

昔、あなたが私にたくさんラブレターを書いてくれましたね。それを今でもたまに読み返すときがあります。

私、素敵な人と出会えて、素敵な恋をしてたんだなって思いました。

この手紙、もちろんどこにも投函できないのですが、あなたのことだから、どこかで読んでくれてるんですよね。それでは、長文失礼いたしました。

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この記事は投げ銭制です。この後、オマケで僕のちょっとした個人的なことをすごく短く書いています(大したこと書いてません)。今日は「やっと梅雨らしく」です。

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ラブレター

林伸次

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林伸次