ランチは入ったことのないお店に入る

僕、実はすごく怠惰な人間でして、放っておいたら楽な方へ楽な方へ流されてしまう人間なんですね。

だから自分の中で「ルールを決める」っていうのをよくやってるんです。

例えば「毎日1本何か書く」とか「金曜日は短い小説を書く」とか「携帯電話は持たない」とか「人の悪口を言わない」とか色々と決めてしまって、逃げられないようにして「実行」するのが好きなんです。

で、最近「渋谷のランチは入ったことのないお店に入る」って決めてしまったんですね。

ところであなたは毎日お昼ご飯を食べていると思うのですが、何を食べていますか?

社員食堂、コンビニ弁当、近所の牛丼屋、ラーメン屋、パスタ屋とか定食屋とかいくつか候補があって、それをグルグルとその日の気分で回っているだけじゃないでしょうか。

まあ僕も似たような状況だったのですが、「せっかく毎日一回、外で食事をしているんだから、必ず知らないお店に入って、毎回、新しい体験をするってどうだろう?」って決めてしまったんです。

で、最初のうちは前から気になっていた焼き魚定食が美味しそうなお店とか、有名だけど行ってなかったカレー屋さんとか、とにかく「新しくて楽しい体験」ばかりだったんですね。

でも、当然のことながら、あっと言う間に「気になってた美味しそうなお店」は行き尽くしてしまったんです。

そこからは苦難の旅が始まりました。

まず、ジャマイカとかペルーとかトルコとかベトナムとかの「各国料理」を行き倒しました。

でもそれもやっぱり行き尽くしてしまいまして、今度は焼き肉屋やお好み焼き屋といった鉄板ものに走りました。

あとは「本来はかなりディープな飲み屋なんだけど、ランチもやっている」というジャンルにも行きました。ちなみにこのジャンルで「スナックがランチをやっている」というのがありまして、これが本当に深いです。

 ※

ご存知のように「飲食店の原価は3割」というルールがあります。

例えばサンマの焼魚定食が800円だとしますよね。そしたら、ご飯のお米とサンマとお味噌汁とお漬物と小鉢の原価の合計が240円以内なんです。

これ、結構大変なんです。でも、「このお店はお得だなあ。お腹いっぱいになった」って思われないとリピートしてもらえません。お店によって色々と悩んだのがよくわかって本当に面白いです。

 ※

そして、色々と回って思ったのは「入ったことのないお店に足を踏み入れるのってすごく心理的負担がある」ということです。

入り口で「写真を見せる」とか「上品そうな手書きのメニューで表現する」とか色んな工夫があります。いざ自分が「入ったことないお店に初めて入る」となると本当に「人の心理」がわかります。

 ※

そして最近気がついた法則がありまして、「60才以上の女性がサービスをやっているお店に外れはない」ということです。

これ、前からそうだなあとは思っていたのですが、何十件も回ると本当にこの法則は間違いないってわかってきました。

妻に「どうして年輩の女性が店員だと良いんだろうね?」って聞いてみたら、「あの人たちは変なものを出すはずがないっていう安心感がある」と答えました。

確かに飲食店って「安心感」が一番重要かもしれないんですよねえ。

さて、渋谷のランチを回って「良いお店だなあ」と思った「女性店員が60才以上のお店、ベスト3」です。

ベスト1 奈加野 ここは前から良いお店だっていうのは知ってたのですが、近所すぎて行ったことなくて、やっぱり良いお店でした。僕が20代後半で、初めて女の子と食事に行くなんてことがあれば、このお店を選びたいです。このお店を「良いお店だね」って言ってくれる女性は好きです。

ベスト2 おくむら ここは神田在住のあるグルメな方が、「渋谷はこのお蕎麦屋さんがあるから来る」って言ってて、「え、神田にすごくたくさん有名店があるのに」と思い、僕も実際に行ってみたら「ほんと、良いお店だなあ」って痛感しました。清潔でシンプルですごく好きです。

ベスト3 とりかつ 他にもいくつか考えたのですが、あえてこのお店をベスト3にさせてください。ネットで見たら、本当は大将がいるらしいのですが、僕がいったときは60才以上と思われる女性3人が忙しそうに揚げていました。立地や値段や雰囲気も含め「良いお店」です。

 ※

ランチ、「入ったことのないお店に入る」って決めるとすごく楽しいですよ。退屈なお昼がとんでもない大冒険になること、しょっちゅうありますよ。是非。

僕のcakesの連載をまとめた恋愛本でてます。「ワイングラスのむこう側」http://goo.gl/P2k1VA

この記事は投げ銭制です。この後、オマケで僕のちょっとした個人的なことをすごく短く書いています。今日は「ランチで入り口に書いてあると必ず入ってしまうメニューベスト3」です。

ここから先は

222字

¥ 100

サポートしたいと思ってくれた方、『結局、人の悩みは人間関係』を買っていただいた方が嬉しいです。それはもう持ってる、という方、お友達にプレゼントとかいかがでしょうか。