最近の若い人が日本のウイスキーを注文することと、本の未来を探す旅

最近、気がついたことに、日本の若い人が、好んで日本のウイスキーを飲むんです。

例えば、僕が若い頃はハーパーとかフォア・ローゼズのような「アメリカのバーボン・ウイスキー」を飲むのがお洒落というか、まあ普通だったんですね。

それが最近の若い人はまず、日本のウイスキーを注文するんです。

それって、NHKの朝ドラ『まっさん』が日本のウイスキーをテーマにしていたからとか、最近のハイボール・ブームのウイスキーがトリスや角瓶を使っていることとかが影響しているとは思うんです。

でもやっぱり「時代の雰囲気」なんだろうなって思います。

最近の若い人が洋楽を聞かなくなったって有名ですよね。それと似ている現象だなあと思いまして。

柴那典さんが『ヒットの崩壊』で指摘していたのですが、いきものがかりの人って、洋楽は聞いていないそうなんです。日本のポップ・ミュージックを聞いて、それに影響を受けた音楽を作って歌っているそうなんです。

すごく「内向き」なんです。そういうのってどうなんだろうとずっと危惧していたんですね。

でもよくよく見ていると「内向き」なのではなくて、「なんでも欧米の方が良い」っていう日本の古い人たちの感覚が若い人はもうないんだなと気がつき始めました。

というのは、日本の若い人たちって、例えば韓国発のお洒落なメイクやファッションや音楽やアプリなんかを本当に自由に楽しんでいますよね。

たぶんどの地域だから良いという「呪縛」のようなものなんて最初からないんだと思います。

だから感覚的にも、顔や体型的にも日本人にすごく似ていて、でも日本よりお洒落で面白い韓国の新しい文化に自然と夢中になれるんだと思います。

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学生の頃からbar bossaにずっと通ってくれている綾女くんが、昨年あたりに、こんなことを僕に言いました。

「林さん、今、韓国の本屋がすごく面白いんですよ。韓国は日本より人口が少ない分、日本より先に出版状況が一度ひどいことになっているんです。日本の出版界が辿るであろう状況を先に経験しているんです。

そして、その状況をなんとかしようと若い人たちが独立して、詩集だけの本屋とか、読書会に特化した本屋とか、すごく個性的な独立書店を始めるのがブームなんです。

本屋だけじゃなくて、ひとり出版社とかの独立出版社もすごく多いんです。

でも、日本人でそんなことが隣の韓国でブームになっているってほとんど誰も知らないですよね。

その日本より先を行っている韓国の出版業界のことを取材した本を作ろうかなと思うんです」

ところであなたは、「韓国の出版業界の方が日本よりも先を行ってて、すごく面白いことになっている」という本、お金を出して買って読みたいですか?

僕が見ている限り、「中国やシンガポールの方が日本より先に行っている」っていう記事はみんな好んで読むんです。特にインターネットでは、そういう種類の記事ってみんなすごく興味があるようなんです。

でも、「韓国が先に行っている」っていう内容って日本人は読みたがらないんじゃないかなと思ったんです。

だからその綾女くんの話を聞いたときは「その本、売れないと思うよ」と伝えたのですが、上の件のような最近の若い人の感覚を見てて、そうでもないかなと思い始めました。

さて、その本が出版されて、僕も書店で買って読んでみました。

で、この本は日本人は出版業界で働いている人はもちろん、文化に興味ある人は全員読むべき本だと思ったので、ここで紹介します。

 ※

この本、タイトル通り「本の未来を探す旅」なのですが、内容は「新しい時代を切り開こうとしている若者たちの群像劇」なんです。

例えば明治維新を扱ったドラマってたくさんあると思うのですが、あれって、日本の未来をなんとかしようと考えている優秀な若者たちがたくさん出てきて、「新しい時代」に向かってみんなが試行錯誤して、少しづつ「時代という歯車」が動いていく、そんな群像劇が面白いんですよね。

それと同じように、この本もすごく個性的な登場人物が出てきて、それぞれが色んなアイディアを胸に立ち上がって、次々と韓国の出版状況を変えていきます。

そしてこの登場人物が本当にどの人も魅力的なんです。韓国は日本のような「出る杭は打たれる」という感覚はあまりないのでしょうか。みんながそれぞれ強い意志を持って動き、そこにたくさんの人が集まっていく風景がとても羨ましいです。

これから読む人のために、詳しいことはあまり書きませんが、「ああ、このアイディアはそのまま日本で新しい企画として使える」とか「ああ、この人に連絡をとって一緒に何かビジネスを始めてみたい」とかって感じるであろう件がたくさん出てきます。

 ※

この本、2300円でちょっと高く感じるかもしれませんが、情報量すごく多いし、そのまま使えるアイディア満載なので、確実に元はとれます。コスパ、すごく良いです。

そして本当に、出版関係の方、本を扱っている方は読んでおくべきだと思います。

あと、僕のような「小さいお店をやっている人」もすごく参考になると思います。

そしてこれを読んで、「自分も小さい本屋をやってみようかな」とか「自分も小さい出版社を始めようかな」とかって感じで影響を受ける人、たぶんすごく出てくると思います。

たぶんそんな人が日本にたくさん出てくると、内沼さんと綾女くんは大満足なのではと思います。

綾女くんのまえがきがすごく良いです。こちらで読めます。→ http://dotplace.jp/archives/28084

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ええと、こんなこと書かなくてもわかってくれているかとは思うのですが、僕は綾女くんからは献本はしてもらわないと決めています。綾女くんの本は、本屋で見て、中をチェックして面白そうだったら買って読んでいます。もちろん今回のこの文章も、僕が勝手に書きたくて書いたので、本当にオススメですよ~!

『本の未来を探す旅 ソウル』https://goo.gl/BgpLJw

#コラム

色んな質問に答えた本が出来ました。『ちょっと困っている貴女へ バーのマスターからの47の返信』 https://goo.gl/dZ32IW 立ち読みできます!
https://goo.gl/Q6mRvL

bar bossaに行ってみたいと思ってくれている方に「bar bossaってこんなお店です」という文章を書きました。→ https://note.mu/bar_bossa/n/n1fd988c2dfeb

この記事は投げ銭制です。この後、オマケで僕のちょっとした個人的なことをすごく短く書いています(大したこと書いてません)。今日は「胚芽米って」です。

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最近の若い人が日本のウイスキーを注文することと、本の未来を探す旅

林伸次

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林伸次

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