閉じた小さな世界が好き

僕はいわゆる「男のこだわりの世界」みたいな感覚が全く皆無なのですが、ひとつだけ何故かすごく好きな世界があります。

それは「閉じていてどこにも繋がらないそこだけで完結した小さな世界」です。

絵のことはよくわからないのですが、妻と娘が絵の才能があり、何かと美術館に行くので、僕もついていくのですが、ひとりだけ「うわー、この画家の描く世界すごく好きだなあ。いつかお金持ちになったら1枚所有したいなあ」と思った画家がいまして、岡鹿之助です。ちなみに僕みたいに絵画に詳しくない人のために、こんな絵を描きます。→ http://goo.gl/V0dNIk

ドラえもんでもすごく好きな回があって、のび太が地球を作るという話なのですが、のび太の部屋の中で小さな地球が育っていくのを見て、子供ながらに「うわ、なんて美しい世界なんだろう」って感動したのを今でも覚えています。

寺山輝夫の『ぼくは王様』という名作童話があるのはご存知かと思いますが、あの「小さい王国がどこにも繋がってなくて、あの小さな世界だけで小さな物語が進行していく感じ」がすごく好きです。

絵本で『いちごばたけのちいさなおばあさん』という名作がありまして、おばあさんがイチゴに色を塗るというそれだけの話なんですね。それもよくよく考えると「おばあさんは誰に雇われてるんだろう」とか色々疑問がわいてくるのですが、そんな大人の世界の事情はいっさい受け付けない、小さくて閉じた世界が好きです。

そして閉じていてどこにも繋がらない小さな世界と言えば、井の頭線がすごく好きです。

井の頭線って渋谷と下北沢と吉祥寺の小さい世界を繋いだ線路の上を、小さい電車がゆっくりと行ったり来たりしてるんだ、と知ったときは「大人になったらこの線で住もう」と心に誓いました。

同じ感覚で最近は銀座線が好きです。渋谷と銀座と浅草を繋いだ線路が大きい東京の地下にあって、そこを黄色くて小さい電車が行ったり来たりしてるんだと思うと胸がきゅんとします。

そういう意味では最近は東横線が残念です。渋谷と横浜を繋ぐ小さな世界だったのに、最近は色々と乗り入れちゃって何がやりたい電車なのかわかんなくなってきましたよね。

 ※

そんな感じで、小説に関しては、長くて色んな人物が出てきて、舞台がたくさんあるリアルなお話はあまり好きではありません。

それよりも登場人物は少なくて、ちょっと何かが起こって、そして話がすぐに終わって、小さな世界がまるでろうそくの灯りのように心の中をそっと照らすような話が好きです。

いつか僕も小さな世界の住人になって、小さな世界で小さな物語を書いてみたいものです。

#コラム

僕のcakesの連載をまとめた恋愛本でてます。「ワイングラスのむこう側」http://goo.gl/P2k1VA

この記事は投げ銭制です。この後、オマケで僕のちょっとした個人的なことをすごく短く書いています。今日は「この冬に出るかもしれない、僕が選曲したCDで悩むこと」です。

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閉じた小さな世界が好き

林伸次

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林伸次