美容院で持ってこられる雑誌のことと、雑誌とファッションの関係のこと

僕はバーテンダーとして、お客様が入店したら、その方のファッションとか髪型とかを、必ずチェックするんですね。

というのは、それを把握しておくと、お客様の「好み」のようなものが大体予想できるんです。

例えば、すごくカジュアルなんだけど、お金がかかってそうな服や靴を身につけていると、「ビオワイン(オーガニックワイン)」がお好きそうかなと考えますし、みんな濃い色のスーツの50をこえた男性だと、「ボルドースタイルの重い赤ワイン」がお好きそうとか、あらかじめ想像して接客するわけです。

やっぱりその方のそういう「好みや方向性」って、服装や髪型や時計やメガネにあらわれるというわけです。

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ところで美容院に行ったら、「お仕事は何ですか?」みたいなことをよく質問されますよね。

あれ、ただ会話を盛り上がらせたいというわけではなく、「そのお客様がどういう職場で働いているのか?」というのを考慮して、髪を切りたいらしいんです。

ああ、銀行員なんだ、じゃあ奇抜な髪型は提案しない方が良いな、とか、ああ、アパレルなんだ、じゃあちょっと面白い髪型を提案してみようかなとか、そういう「お客様が望んでいる髪型」みたいなものをあらかじめ把握したいそうなんです。

だから、当然、服装とか、持ち物とかもすごくチェックするそうなんですね。

「ああ、今、流行りのこれを身につけているということは、こういうタイプの人なんだ」っていうのを常に意識しているようなんです。

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ところで、美容院のイスに座ったら、スタッフの人が雑誌を持ってきてくれますよね。

あれ、あなたはどんな雑誌を持ってきてもらえますか?

はい、美容院のスタッフさんは、あなたを実はすごくチェックしているんです。で、「このお客様ならこの雑誌を好んで読むだろうなあ」というのを予想して持ってきてくれているわけです。

例えば、うちの妻は「エル」とか「ギンザ」とかを持ってこられるらしいんですね。で、たまに「クラッシー」を持ってこられることもあって、「あれ?」って気づくと、その日はちょっといつもよりコンサバな服装の時らしいんです。

そんな話を先日、ある女性と話していたら、その方、某外資系有名IT企業に勤めていて、まあ年収はすごく良いんですね。

で、彼女、美容院のスタッフにも「あのお店、美味しいですよ」なんて会話はよくしているからグルメな人だと思われてて、スタッフの方が「東京カレンダー」を気を利かして持ってきてくれるらしいんです。

でも彼女としては、「dancyu」とか「BRUTUS」とかを持ってきてほしいらしくて、「なるほどなあ」と思いました。

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雑誌が衰退するとか、いずれは消えるとか言われはじめてずいぶんとたちますよね。

でもいまだに雑誌って「MOREを読む人はこういうタイプ」とか、「かつてOliveを読んでいた層が今はこういう生活をしている」といった風に、「こういうタイプの人が読んでいる」というのがはっきりとしていますよね。

ネットのサービスも今はすごくたくさんありますが、「メルカリを使っている人はこんな人」とか「バズフィードを見ている人はこういう層」とかっていうのはあまりはっきりしていないような気がします。

やっぱり雑誌は「ファッション」が根底にあるからなのでしょうか。

もしかして雑誌が衰退しているのはファッションの行方と何か関係があるのでしょうか。

あるいはネットのサービスがそういうかつての「Olive」や「egg」のような存在のものがあまりないのは、ネットはファッションと関係が薄いからなのでしょうか。

それとも何か違う理由が… この辺り、ちょっとしばらく考え中です。

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そうだ。雑誌と言えば、今出ている「anan」の恋愛特集で、また恋愛について少し話しています。僕の顔は出ていません。

色んな質問に答えた本が出来ました。『ちょっと困っている貴女へ バーのマスターからの47の返信』 https://goo.gl/dZ32IW 立ち読みできます!
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bar bossaに行ってみたいと思ってくれている方に「bar bossaってこんなお店です」という文章を書きました。→ https://note.mu/bar_bossa/n/n1fd988c2dfeb

この記事は投げ銭制です。この後、オマケで僕のちょっとした個人的なことをすごく短く書いています(大したこと書いてません)。今日は「今日からカクテルを始める予定だった」です。

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