ユー・ガット・ア・フレンド(君の友達)

#小説 #超短編小説

SNSで「友達じゃないですか?」と薦められた人達の中に20歳の頃の自分がいた。

名前も経歴も遊んでいる友人も何もかも20年前の自分だ。投稿している記事も、最近買った本やレコードについての青臭い評論文みたいなことを書いている。これはどう考えても20年前の自分だ。

僕はおもいきって「20年後の自分です。これも何かの縁です。友達になって下さい」と友達申請をした。

翌日、20歳の自分から「OK」の返事が戻り僕らは時空を超えて友達になった。

 ※

そして、彼から「20年後ってどんな音楽や小説が流行ってるの? 何かオススメがあったら教えてよ」と連絡が来た。

僕はちょっと迷ったが正直に返事をすることにした。

「実は音楽も小説も最近はあまりチェックしてないんだ。たぶんそういうものって若いときだけに夢中になるものみたいだね。君はわからないと思うけど年をとるってそういうことなんだ」

 ※

次の日、返事が来た。

「色々と考えてみたけど仕方ないね。まあ僕は20年後は君みたいにはならない自信はあるけど。でも、音楽と小説に興味がなければ時間がすごくあまるでしょ。いったい何をしてるの?」

「友達と酒を飲んだり、女の子と美味しいもの食べに行ったりかな。仕事のつきあいもあるし」

「酒とグルメと仕事と女か。でも結婚してるんでしょ」

「結婚してるから女の子との食事が楽しいんだよ。たぶんどれだけ説明してもわかんないと思うけど」

 ※

次の日、SNSを開くと友達を外されていた。

昨日のB&Bでの対談、ご来場いただいた方ありがとうございました。おかげさまで満員御礼でした。石渡さんのお話面白かったです。記事になる予定ですのでしばらくお待ちください。

渋谷のブックファーストで展開していただいてます。ありがとうございます。

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この記事は投げ銭制です。この後、オマケでこの話を思いついた経緯をすごく短く書いています。

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