ブロッサム・ディアリーのこと
飲食店でも雑貨屋でもなんでも良いのですが、お店に入ったらあなたはまずどこをチェックしていますか?
僕はまず「BGMは何なのか?」をチェックしています。もうこれはほとんど習慣です。
「何がかかっているか」あるいは「BGMは一切なしか」あるいは「テレビで大相撲を流しているか」あるいは「ラジオを流しているか」とかって、僕にとってはすごく重要なんです。
もうそれでもし良い音楽がかかっていたら、僕の中でそのお店の評価がかなりあがります。
ええと、「良い音楽」の基準って結構難しくて、「どうしてこういうお店でこういう音楽をかけるのかな?」って不快になったらダメなんです。
わかりやすいところだと、昔、娘が「焼き肉の食べ放題のお店に行ってみたい」と言って、妻はそういうのイヤがるのですが、「そういうお店ってどういうシステムでどういうお客さんが入ってるんだろう」って勉強のつもりで行ったんですね。
そしたらBGMが「たぶんあのバイトの男の子が好きで自分がCDを持ってきてかけてるんだろうなあ」って感じの日本のハードコア・パンクみたいなのがかかってたんです。「うーん、困ったなあ」って思いました。
でも下北沢のロックバーでそういうのがかかってると「お、良いじゃん」って感じるんですよね。
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ところで「そんなに音楽にこだわりがないけど、なんとなくお店の雰囲気がよくなるから」という理由で選ばれる音楽に「ボサノヴァ」と「ブロッサム・ディアリー」というのがあると思うんです。
ちなみに最近は本当に「ボサノヴァ」ってかかってません。「え? そうかな?」って疑問に感じたあなた、本当にいろんなお店に入って耳をすませてみてください。最近は本当にボサノヴァはかかってません。
で、ブロッサム・ディアリーなのですが、僕としては「もちろんそう悪くないし、あんまり邪魔にならない聞きやすいBGMに適したジャズ」という印象だったんですね。
さらに「すごくコアでブロッサム・ディアリーが大好き」というコレクターみたいな人たちがたまにいるから、ブロッサム・ディアリーはなんとなくスルーしてたんです。
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ところで僕は「中古レコード屋に入ったら、欲しいものがみつからなくても、30分も楽しませてもらったから、必ず何か1枚は無理して買って帰る」ということにしているんですね。
で、そういう時って、あまり罪のない、そして安い、CTIかMPSかヴァーヴのジャズのレコードを買って帰るんです。
それで最近、何枚か「もちろん内容は知っているはずのブロッサム・ディアリーのアルバム」を買って帰ったら、なんかすごく心に沁みるんです。
「あれ、ブロッサム・ディアリーってこんなに良かったんだっけ。こんなに涙が出てきそうな音楽なんだっけ」ってやっと気がつきはじめたんです。
これジャズ・コレクターの川嶋繁良さんとも意見が一致したのですが、ブロッサム・ディアリーってもしかして「年齢を重ねないとわからない」という種類の音楽なのかもしれないんです。(川嶋さんは僕のJJAZZブログに登場してもらってます→ http://www.jjazz.net/jjazznet_blog/2015/05/bar-bossa-vol45.php )。
それで最近は「ブロッサム・ディアリーを全部集めてみようかな」って気持ちになってきました。
ところでブロッサム・ディアリーって「まとまった伝記みたいな日本語の文章」ってないんです。
「若い頃、パリに行って演奏してた」とか「70年代に自分のレーベルから出してた」といったことは有名なのですが、「その理由や経緯」って、僕は知りません。
あと、川嶋さんも指摘してたのですが、ブロッサムって作曲は自分なのに、作詞はよく別の人に頼んでるんです。それもすごく不思議で理由や経緯を知りたいんですよね。
おそらく検索したらすごくたくさん断片的な文章はあるのでしょうし、ただ僕が「ジャズに無知」なだけで、「知ってる人はもう当然のこととして知ってる」という可能性がありそうではあります。
で、「そんなに重箱すみつつき系」じゃなくて良いので、簡単で、ディスコグラフィがちゃんとついている「ブロッサム・ディアリー本」を読んでみたいです。
感じとしては1000円くらいで、ムックみたいな本を希望します。
あ、でもそういう「1000円くらいでムック感覚」で、ジョビンとかビル・エヴァンスとか「今さら人に聞けない有名アーティスト」のムック本って良いかもですね。
お洒落でカフェやバーに置いててもカッコいいデザインで、2ヶ月に1回くらい出て「お、今度はチェット・ベイカーか。買っとこう」みたいなのどうでしょうか。
あ、ジョビンの回、僕も書かせてください。
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ちなみにブロッサム・ディアリーに関しては、以前こういう超短編小説を書きました。→ https://note.mu/bar_bossa/n/n12e53558739c 興味あればどうぞ。
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