僕のよくあるなんでもない日ってこんな感じ

※土曜日は読む人が激減することが判明したので個人的な話を。

4月1日はbar bossaでディオンヌ・ワーウイックの「エイプリル・フール」をかけたいなと、前日の3月31日に突然思いついたんです。

で、ディオンヌ・ワーウイックって↓こういう人で、こういう曲を歌う人なんですけど、どういうジャンルのコーナーに置いてると思いますか?

僕がもし個人的にレコード店をやったら「ボーカルもの」っていうコーナーにいれるはずなんです。

オリビア・ニュートンジョンとか、バーブラ・ストライザンドとか、ドリス・デイとかがあるコーナーです。

でも、渋谷のレコード屋のジャンル分けはお洒落なのでたぶんそういうコーナーってないんです。

で、「ソウル」かなあ「ジャズのヴォーカル」かなあ「ロック/ポップス」かなあ、って色々と探すしかないなと思いました。

ちなみにbar bossaから一番近い中古レコード屋は東急ハンズ前のHMVなんです。でもディオンヌ・ワーウイック全然見あたりませんでした。

その次に近いのはBEAMというビルに入っているレコファンです。で、レコファンで色々と回ってたら、「ソウル」のコーナーにディオンヌ・ワーウイックはありました。

で、目的の「エイプリル・フール」が収録されているアルバムは見つかったんですけど、「ゴールデン・デラックス」ってタイトルで、日本独自編集のベスト盤で、ちょっと申し訳ないけど中古レコード市場では「格下ランク」のレコードだったんです。

それが950円でして、普通こういうレコードは西荻窪や阿佐ヶ谷や三軒茶屋とかで300円くらいで売ってるんです。

こういうのってどうも買えなくて。いやホント差額の650円くらいは持ってるんですけど、どうも買えないんです。

それで宇田川交番の前のディスクユニオンなら「オリジナルのアメリカ盤」で何かあるかなと思って、軽く探したんですね。

そしたらソウルのコーナーに一枚ディオンヌ・ワーウイックの「ラヴ・マシーン」というサントラのアルバムが400円であったんです。

これ確か結構良いアルバムのはずだし、買おうかなと思ったのですが、僕の長い中古レコード屋めぐりの経験からいうと、こういう買い物って違うんです。

うまく言えないけど、買って帰ってターンテーブルにのせると「うーん、なんか違うなあ。やっぱりレコファンであの日本盤買えば良かったなあ」って後悔するんです。

もちろん「どちらのレコードも両方買えば問題なし」だし、何度も言うのですが、そのくらいのお金は持ってるんです。

でも「そういう保険をかけすぎの大人買い」って僕の美学に反するんです。

さらにその400円のレコードみたいなのは僕みたいなオジサンが買わずに、「とにかくたくさん色んなレコードを買って色々と知りたいって思っている若者」に譲りたいという気持ちがあるんです。

だからそのレコードは棚に戻しました。

で、何か1枚買って帰ろうと思って、パタパタ見てたら、バーシアの「ロンドン・ワルシャワ・ニューヨーク」を600円で見つけちゃったんです。

これ、1989年のアルバムなのですが、僕は好きで好きでCDはたぶん5回くらいは買ってます。

たぶん今も家の中を探せばCDがどこかにあるはずなのですが、「そうかあ、89年だからレコードで出てたんだ。なんで今まで気づかなかったんだろう。買わなきゃ」と思って買っちゃいました。

ところでその前の水曜日、真夜中の浜田山の西友でリエット用の豚バラ肉を買ってたんですね。

リエットのお肉って白ワインに一日漬け込んでから調理すると美味しいんで、真夜中に西友に買いに行ったんです。

そしたらこのアルバムの「ベイビー、ユーアーマイン」が突然かかって、これ良い感じの「欧風ボッサ」ですごく好きな曲なんです。

その時、聞いたばっかりで「これも何かの縁だな」なんて思いました。

まあでもこのアルバムの白眉はやっぱり「コペルニクス」なんですよね。

リズムが完全な「サンバ」なのですが、完全に「ブラジル色」を消しているサンバなんです。

でも「ブラジル色」は消しているんですけど「サンバ・スピリット」は逆にすごく強調していて、「ああ、やっぱりサンバってどの時代にも通用するワールドワイドな都市ミュージックなんだなあ」って痛感できるんです。

さらにこの歌詞、すごく良いですよね。なんか泣けちゃうんです。

「都市の名前を並べる」という箇所にも僕は必ず反応してしまいます。どうして都市の名前を羅列すると「カッコいい」って感じるんでしょうね。

ちなみにバーシアってすごく「お洒落」に響くのですが、当時から音楽愛好家の中では決してお洒落じゃなかったんですね。

で、僕も当時あまり大きい声では「バーシアが好き」って言えなくて。

27年もたってからやっとこういう風に公的な場所で「バーシアのこと」が書けて良かったと思う46歳の春です。

※街やお店やアーティストの固有名詞が多すぎですよね。わからない人すいません。有名な作家がたまに馴染みの古本屋に行って、本を買って、その帰りにコーヒーを飲んだりする、本当になんでもないエッセイを書きますよね。あれ、「あ、そのお店知ってる」とか「その本、今度自分も探してみよう」とかってその作家を身近に感じてすごく好きなんですね。で、その「僕ヴァージョン」を書いてみました。

僕のcakesの連載をまとめた恋愛本でてます。「ワイングラスのむこう側」http://goo.gl/P2k1VA

#コラム

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