どうして文字で伝えるのか?

たまにバーでこういう人を見かけます。

テーブルの上に常に携帯電話が置いてあって、「ジー!」と鳴ったら「もしもし。うん。今渋谷で飲んでるんだけど大丈夫」と話しながら、店の外に飛び出す人です。

夜に楽しくバーでお酒を飲んでいるのに、お仕事の電話なのでしょう、大変だなあといつも思っていたのですが、最近、そういう人って減ってしまったなあと思いませんか。

なんかそういう「忙しそう」なのがカッコ悪くなったのかなとか考えてたら、「携帯電話で電話を使うこと自体」が少なくなったのだそうですね。

携帯電話の「電話機能」使っていますか?

もしかして最近は全く使わないで、ほとんどLINEやメールですましているのではないでしょうか。

それってどうしてなんだろうとずっと気になっています。

インターネットとか通信といった道具って「便利な方にどんどん流れていく」というのが当然の法則ですよね。

「便利」という意味では「文字」で伝えるより「声」で伝えた方が情報量が多いし、「テレビ電話」の方が表情といった情報も加わるからもっともっと「正確に相手に伝わり」ます。

でも「テレビ電話」って一向にみんな使おうとしないですよね。今となっては誰でもスマホやタブレットで使えるはずなのに、僕は誰かが使っているのを見たことがありません。

そしてLINEの出現で電話料金も無料になったのに、やっぱりみんな電話機能は使いません。

というか、すぐソバにいるのにLINEで連絡するのも今は本当に普通ですよね。

これってどうしてなんだろう、今やテレビ電話も可能なのにどうして僕たちは「文字で伝える」のを最終地点として選んでいるのだろう、とすごく気になります。

考えられる理由はこんな感じでしょうか。

●電話やテレビ電話やリアル会話だと、場の雰囲気に支配されて、「本当に伝えたいことが伝えられない」。

→これは「別れたい」とか「会社をやめたい」なんていうのは文章で伝えたくなる現象と関係がありますね。

●ちょっとした言い間違いや誤解を避けたい。何度も文章を読み直して、「よし、これこそが自分の言いたいことだ」と納得して送信したい。

→どういうわけだか、生の会話の方がうまく伝えられない「すれ違い」が多いんですよね。

●生の会話やテレビ電話は、服装や化粧を考えなきゃいけない。同じように電話も暗い声では出られないから、多少はテンションを上げて「お、久しぶり!」って出なきゃいけない。

→やっぱり「生な触れあい」って結構気を使うから面倒くさいし疲れるんですよね。

                 ※

たぶん僕たちは「感情を表現をコントロールしたい」んです。

そして、僕たちは「誰かと感情をぶつけあうのは面倒くさい」と感じているのだと思います。

もしかして、本当は僕たちは「誰かと感情を交わす」のを好まないのでしょうか。

本当は「生の感情」って結構、面倒くさい、出来ることなら避けておきたい現象なのでしょうか。

そしてもう全ての気持ちは「感情は乱れずフラットなままで」、「文字」で伝えることになるのでしょうか。

何かが変わっている瞬間なんだろうなあ、ってことが気になる46才の冬の始まりです。

#コラム

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