ブラジル人がサルサを踊れなかったことと、60年代のアメリカのラテンジャズ

※日曜日は誰も興味がないと思うけど、自分がはまっていることを書きます。

昔、僕が20代前半にブラジルレストランで働いていた頃、何度かブラジル人たちと六本木に遊びに行ったことがあるんですね。

で、一回、「すごく良いサルサ・バーがあるらしいよ」って話になって、六本木の裏の方の怪しいビルに行ってみたんです。

そしたら看板も出てないお店で、たぶん営業許可もとってないだろうなって感じの、サルサDJバーだったんですね。

飲み物はビールとラムとテキーラとコーラだけって感じで、でも小さいお店に50人くらいはびっしり入っていて、みんな踊りまくってるんです。

そして、日本人は「サルサを踊るのが大好き」って感じの女性が5人程度で、あとは完全にスペイン語圏の人たちだけだったんです。

その時はブラジル人の友人たち5、6人と一緒だったんですけど、みんな全然どうしたらいいのかわからないって感じで、すみっこの方でみんなでビールを飲みながらちょっとリズムをとってたんですね。

で、みんなで「どうする?」とかって話してたんですけど、ブラジル人にとって、サルサってどうやって踊っていいのか全くわかんないみたいなんんです。

ロックンロールのライブ会場にヒップホップの人たちが来たのと同じような状況といえば良いでしょうか。

で、どうするのかなあって僕もぼんやり見てたら、ブラジル人ってすごいなあって思ったのは、いつものように輪になって全然サルサなんて関係ない踊りを始めたんです。もう周りの他のラテン系の人たちの踊り方なんて全く無視で、好きなように踊り始めたんです。

で、ほんと、他のスペイン語圏の人たちとの感覚と、ブラジル人の感覚って違うものなんだなあ、見よう見まねで「なるほど、こううやって踊るんだ」ってわかるものじゃないんだっていうのがわかりました。

でもまあ、僕たちも中国や韓国の伝統音楽にはのれないわけですし、音楽って意外と「心の中の異文化意識の国境」は越えるのは難しいのかもしれないですね。

 ※

ところで今、1960年代のラテンジャズを聞くのが好きなんですね。

元々はヴィンス・ガラルディというスヌーピーのサントラを担当したピアニストを追いかけていたり、カル・ジェイダーというヴィブラフォン奏者を追いかけたりしていたら、そのままその当時のラテンジャズの空気にはまりだしたというわけなんです。

聞き始めたばかりなので、あまり全体像が掴めていないのですが、感じとしては、1950年代のティト・プエンテを中心としたマンボを演奏していたミュージシャン達が独立して、西海岸のジャズ・ミュージシャン達と合流していったって感じなのかなって思うんですね。

さらにそこにボサノヴァがブラジルから入ってきて、ラテンジャズ人脈も「ブラジル音楽」を取り入れ始めるんです。

その瞬間あたりの「アメリカのジャズや音楽界の懐の広さ」みたいなものがすごく面白くて、色々と聞いてみてるんですね。

まあご存知のようにその流れはそのまま「フュージョン」という、ロックやジャズやクラシックやブラジル、ラテン音楽全部を取り入れた音楽へと移っていくわけですが、その前の60年代の雰囲気をもう少し知りたいなと思っていまして。

エディ・パルミエリとかウイリー・ボボとかゲイリー・マクファーランドとかモンゴ・サンタマリアとか、もちろんジョアン・ドナートや渡辺貞夫もその当時その周辺にいたはずで、その辺りを詳しく解説してくれた本や特集があれば読みたいなあと思っているのですが、いかがでしょうか。

まあこの辺りってどうも「B級」のイメージがあって、流行らないだろうし、お洒落でもないのですが、その当時、アメリカがどういう風にラテンやブラジルを受け止めたのか知りたいなあと思っています。

いやほんと、アメリカってそういう時の「良い音楽ならどんどん取り入れて人種や文化をあっという間に乗り越えて飲み込んでしまう懐の広さ」が魅力なんです。

#コラム #音楽

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この記事は投げ銭制です。この後、オマケで僕のちょっとした個人的なことをすごく短く書いています(大したこと書いてません)。今日は「家でお酒を飲むのをやめたのですが」です。

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