「昔、自分を傷つけた元彼に会うべきか?」に答えました。

※質問がたまってきたので、今週は月水金と質問に答えます。

【質問】

はじめまして。30代半ばの女性です。

先日、15年前に付き合っていた男性と連絡を取りました。

彼は当時19歳だった私の初めての恋人で、4つ歳上でした。

付き合ってほどなくして彼が就職で東京へ行くことになり、遠距離恋愛となりました。

私はその時、彼のことが大好きで大好きで、毎月、バイト代をはたいて東京行きの新幹線に乗り、地元に戻ってからはまた新幹線代を稼ぐためにバイトに励む、といった感じで、自分のおしゃれや遊びよりも、東京への交通費やバイトを優先する学生生活でした。

でも、物理的な距離と、そんな私の想いが重すぎて、結局は半年でフラれてしまい……。

それから1年くらい彼のことが忘れられず、新しい恋もできずにいたところ、彼から連絡が来て、「ヨリを戻そう」と言われました。

私は内心とても喜んだのですが、遠距離恋愛にまた耐えられるか分からなかったので、「一度考えさせて」と答えました。

すると、その日のうちだったか数日後だったかは覚えていませんが、「友達と飲んでいて、過去の元カノたちに『ヨリを戻そう』と言ったら何人がOKしてくれるか賭けていた」と種明かしをしてきました。

当時ハタチの私を襲ったこの小さな事件がトラウマになってか、その後、私は軽い男性不信に陥ってしまい、素直に相手を「好きだ」と思う感情を抑えるようになり、男性の愛情を試すようなことをしたり、傷つきそうな恋愛を避けたり、傷つく前に相手を傷つけて終わろうとしたり……。

せっかくの幸せな恋愛も自分で台無しにしてきました。

その間に、私は地元を離れ上京し、文章を書く仕事を始めました。彼は転勤で地方に行き、その後地元の山陰地方で小さな会社を起こしました。まだ独身です。

私は結婚もしましたが、離婚もしました。その後、新しい恋人ができても、また別れて、また自分の知らないところで笑い者にされているのではないかと被害妄想をすることもありました。とてもとてもつらい15年でした。

いろいろ振り返って、やっぱりあの事件がきっかけかも…とその犯人である彼にふと連絡を取ってしまいました。

すると彼もその当時のことを反省している様子で、なんども謝られましたが、「一生かけて償う」だとか、「いままでずっと独身できて、ふと思い出すのはお前だけだった」とか、「いま近くに住んでいたら絶対一緒になる」だの、また軽口を叩くので、お前様の本気を見せろと言ったら、東京まで謝りに来ると言いました。

相手は、「殴られる覚悟だ」と言いますが、殴ったところでこちらには何のメリットもありません。

なので、当時の交通費回収と「慰謝料」のつもりで、高いランチコースでも奢ってもらい、新しい靴か綺麗なコスメでも買ってもらい、それを身につけて、また新しい恋をしようと思っています。(靴なら履きつぶして捨てられるけど、服やアクセサリーは後に残るのが嫌なので)

林さんにお聞きしたいのは、最後の4行部分です。私のこんな考えや行動は、バカらしいでしょうか?

これで私の傷は癒えて、今度こそ幸せな恋愛ができるのでしょうか?

それとも、ただただ虚しくなるだけで、また同じようなことを繰り返すのでしょうか? そもそも本当に会うべきかどうかも、まだ迷っています。

ご意見をいただければ幸いです。

補足として参考までに、私は普通にしていても普通にモテます。

でも、自分から好きになった人には下手に出てしまい、結ばれません。

【答え】

うーん、そんなことがあるんですね。そういうことを思いついて実行するような人間がこの世の中にいるんですね。ちょっと信じられないような行為ですが、本当につらい経験でしたね。

若い頃の男性どうしが何人かでつるんでいると、そういうバカなことを思いついたり、本当に試してみたりっていうことあるんでしょうか。

貴女のお気持ちは本当にわかります。これはかなりつらくて人間不信に陥る経験ですね。

ところで話は変わりますが、貴女の文章、面白いですね。職業にしているということなので、当然と言えば当然ですが、つらい経験を書いているのに、どこかユーモアもあって、貴女が魅力的でモテる感じがこちらにすごく伝わってきます。

 ※

さて、質問に戻りますね。

①傷は癒えて今度こそ幸せな恋愛が出来るのか? 

②ただ虚しくなるだけなのか? 

③そもそも会うべきなのか?

まず僕の基本的な人生への考え方というのがありまして、もうこの言葉、何度も引用していますが、「幸せに生きることが最高の復讐だ」というスペインの有名なことわざがありますよね。

何かイヤなことをされたり言われたりして、そのことに対してやり返しても反感をかうだけで、またさらに関係が悪化していくだけだ。そんなことより、全てをきれいさっぱり忘れてしまって、自分が幸せに生きることが、相手にも自分にも一番効果的で美しい復讐だ。というような意味でしょうか。

僕も長い間生きてきた人間ですので、もちろんイヤなことをされたり言われたりしてきたのですが、そんな諸々に関しては一切スルーして、すごく楽しそうに幸せそうに生きていると、僕にひどいことをしてきた人たちは羨ましがるだろうなあ、悔しいだろうなあと思って、すごく幸せになるために生きています。

そしてそうやって幸せに生きていると、不思議なことにイヤなことを言われたことされたことはどうでも良くなってくるし、向こうから謝って近づいてくることもあります。やっぱり幸せそうに楽しそうに生きていると、近づいてくる人が増えますよね。

ですので、僕は「そもそも会うべきか?」という質問には、「会うべきではない」と答えます。

もし僕が貴女でしたら、「ごめん。あんなバカなことをしたつまらない貴方に会おうと思ってた私がバカだった。貴方の呪いなんて忘れるくらいのすごく良い恋をこれからするから。すっごく幸せになる予定だから。貴方が独身なのは自分が呪いにかかってるんだと思うよ。じゃあ、なんか変な連絡してしまってごめんね」みたいなメールを送って終わりにします。

 ※

こんな答えで良かったでしょうか。でも本当に思うんです。過去にとらわれず前向きに幸せに生きようとすると、確実に良いことが自分の方に流れてくるし、本当にそうやって幸せになることこそが、最高の美しい復讐だと僕は信じています。

是非、幸せになってくださいね!

#コラム

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この記事は投げ銭制です。この後、オマケで僕のちょっとした個人的なことをすごく短く書いています(大したこと書いてません)。今日は「村上春樹の新刊が」です。

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