昔、娘がまだ小さい頃、妻と３人で「懐かしの昭和のおもちゃを売っているお店」に入ったことがあったんですね。

すごく小さいお店だったんですけど、ウルトラマンとかオバＱとか色々と懐かしいおもちゃがたくさん売ってて、「これ、懐かしい！」とか「これ、知ってる？」とかって感じで、家族３人で大騒ぎしてたんです。

そしたら突然、店主の方が「入り口にも書いてあるけど、うち、買う気がない人は入場料をもらうからね」って言ったんです。

なるほど、店内にも「買う気がない人は入場料をいただきます」って書いた紙が貼ってあります。

それで僕も「そりゃそうだな」と思って、「あの、おいくら払えば良いですか？」って言ったところ、店主の方が、「まあ、いいよ」って言ったので、そのまますごすごと３人、そのお店を後にしました。

その時も「そりゃそうだな。全然買う気がないのに、『懐かしい！』ばかり言ってる人が店内にずっといるって面白くないだろうなあ。でも、それだけ楽しんでるんだったら入場料払ってよ、ってお店の人も思うだろうなあ」と感じたし、今でもそう思います。

僕はその当時、すでにお店を始めてたので、お店の人の気持ちがとても理解できたわけですが、まあ普通の人は「どうしてこの人、入場料なんて言うんだろう？　何を怒ってんだろう？」って思うだろうなあって思います。

そういう感覚って本当に「お店側の人間」にならないと、ちょっと理解できないんですよね。

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ところで、ある方が「ちょっと珍しいものばかりを扱っている雑貨店」を経営していて、そこに来店する若い方たちが、何にも買わないのに、店内の商品をパシャパシャと撮影して、インスタグラムにガンガン、アップするらしいんです。

それで、その方は「納得いかない」って怒っているそうなんですね。

まあ物販店って、入店から１時間くらいいても、何にも買わないって方がいらっしゃるようなんです。

飲食店なら、入店した以上は何かを必ず頼んでいただけますが、物販店は「すごく混んでて、今、話題の店」だったとしても、「誰も買ってない」なんてことがあるわけです。

それで、写真だけ撮って、インスタグラムのネタにされたら、「カチン」とくるんでしょうね。

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このネットに写真をアップする問題、お店をやっている人間同士でよく話題になるんです。

みんなほとんどは「宣伝になるからウエルカム！」なんですね。

だいたい写真をアップしてくれる以上、「すごくよく撮れている写真」なわけだし、うまくいけば何万人にもお店の存在を知ってもらえるわけです。

でも、これまたよく話題になるのが、「あまりにもお店の内装から何から何までが公開されると、他の人がそのお店に行ったような気になる」っていう問題もあるんですよねえ。

あなたもないですか？

どこかのお店に行こうと思って、色々とチェックしてたら、「なるほど、こういうお店なんだ。ふーん」ってわかったような気になって、結局行かないって経験。

僕は正直に言うと、よくあります。

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同じように、物販店の場合、いくらお店が拡散されても、ほとんどの商品がアップされていて、内装とかもわかってしまって、さらに「ちょっと高いかも」とかってわかれば、結局はお店には足を運ばないってありそうですね。

それが、そういう前情報なしで、自分の足でそのお店を見つけて、「うわー、こんな可愛い花瓶が、１９世紀のフランス製で５０００円で買えるんだ。うわー、買っちゃおう」ってなるかもしれません。

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インターネット、便利だし拡散してもらえるとお店も助かるけど、そういうケースもあるんですね。ちょっと立ち止まって考えてしまいました。

#コラム

色んな質問に答えた本が出来ました。『ちょっと困っている貴女へ バーのマスターからの47の返信』 https://goo.gl/dZ32IW 立ち読みできます！
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bar bossaに行ってみたいと思ってくれている方に「bar bossaってこんなお店です」という文章を書きました。→ https://note.mu/bar_bossa/n/n1fd988c2dfeb

この記事は投げ銭制です。この後、オマケで僕のちょっとした個人的なことをすごく短く書いています(大したこと書いてません)。今日は「今朝、妻がなっちゃんの散歩に」です。