ガイドブックに出ていないお店と、徳島のほんと

外国の友人が日本に観光旅行で来たら、あなたならどこに連れていきますか?

僕は必ず渋谷のアフリカ料理店のロス・バルバドスさんに連れていきます。そこはカウンターだけで、アフリカ音楽のバンドでベースをやっていた大将とお洒落で話が無茶苦茶面白い奥様が二人でやっているお店です。

もちろん店内には厳選されたアフリカ音楽が流れ、ベジタリアン料理を中心としたすごく美味しいアフリカ料理が楽しめます。

そしてそこに外国人を連れていくと、韓国人でもブラジル人でも絶対に「うわー、すごく良いお店!」って喜んでくれるんです。

おそらく、お寿司屋とか天ぷら屋とか、自分の趣味の例えばアニメやマンガのお店とかレコード屋とかは、日本に来る前にちゃんとネットやガイドブックでチェックしていると思うんです。

でもロス・バルバドスはまず知らないんです。ガイドブックに出てないですからね。

日本を紹介するガイドブックは、アメリカで出版される本ならアメリカ人の視点で、中国で出版される本なら中国人の視点で、いかにも日本っぽい場所を紹介していると思います。

でも、そこには「渋谷にあるアフリカ料理店」は紹介されていないですよね。

でも、あなたも経験あるかとは思うのですが、外国人って「いかにも日本っぽい場所」よりも「現地の日本人が普通に楽しんでいる場所」の方を「日本だなあ」って感じてくれます。

ロス・バルバドスさんも、外国人は「日本だなあ、渋谷だなあ」って感じてくれるんです。

 ※

ところで先日、宗前さんという常連さんですごくセンスの良い方が「林さん、『徳島のほんと』 https://goo.gl/mQS3bo って読んだ? すごく良いよ」って教えてくれたんです。

それ、アアルトコーヒーの庄野さんの本だっていうことは知っていたのですが、僕、徳島出身なので、まさか徳島のガイドブックは買わなかったんですね。

でも、宗前さんが言うのならと思って、先日、B&Bで見つけたので買ってみました。

あの、すごく面白いです。

これ、ガイドブックというスタイルの本なのですが、要するに庄野さんが「みんな徳島に来てよ。徳島に来てくれたら、ここに連れてくよ」っていう本なんです。

はい。普通、「徳島を紹介するガイドブック」なら東京の人が東京の人の視点で「いかにも徳島っぽい場所」を紹介しますが、この本は徳島在住の庄野さんの視点で書かれているので、「徳島人から見た徳島紹介の本」になっているんです。

だから、僕としては「ええ?! そのお店も紹介するの? そこ、東京人は好きかなあ… でも、僕も好きなお店だから連れていきたい気持ちはわかるなあ」って感じる場所をたくさん紹介しているんです。

例えば庄野さんはこの本の中で「とば作」という、チェーンのセルフサービスのうどん屋さんを何度も紹介しているんですね。

このお店、どう伝えたらいいのか、とにかく徳島県民ならみんな知っている、すごく安い、うどん屋さんなんです。

入り口で小か中か大かのうどんを自分で勝手にとって、その後、自分で茹でて、自分でトッピングの天ぷらとかを選んで、自分でお汁をサーバーから注いで、そして最後にレジのところに初めて店員さんがいて、店員さんがその「出来上がったカスタマイズしたうどん」を見て「350円です」とかって宣言されるお店なんです。

このお店、僕としては、高校生の時、友達とバンドの練習をした後に食べた「青春の思い出」のお店なんです。

でも、まず、普通のガイドブックには出ていないお店なんです。

それを庄野さんは何度も紹介しているんです。僕も、多くの徳島県民も、そして庄野さんも、みんな大好きなお店なんですが、でも「ガイドブック向け」だとはまず思わないお店です。

この本、とにかくそういう「まずガイドブックに出ていないけど、徳島県民が愛している場所」というのがたくさん出てきます。

お土産の紹介にしても「まず徳島県民以外の人なら選ばないような、でも、徳島県民が愛している特産品」ばかり出ています。

庄野さんはアアルトコーヒーを始める前は旅行会社で働いていたそうで、もちろん旅行者のための「ここに行くと良いよ」的な徳島スポットもたくさん紹介しています。

これは徳島に行こうかなと思っている方はもちろん、「うちの街を紹介する本や記事を作りたい」なんて方にもすごく参考になると思います。あ、共著でチャットモンチーの福岡晃子さんも色々と書いているのも面白いですよ。是非!

ちなみにこの本についてツイートしたら榎本善一郎さんもこんなツイートをしていました。人気ある本なんですね。


#コラム

僕の新刊、渋谷ツタヤにても展開してくれています。ありがとうございます。

飲食店って本当に面白いなあって感じの本を出しました。『バーのマスターは「おかわり」をすすめない 飲食店経営がいつだってこんなに楽しい理由』 https://goo.gl/oACxGp

この記事は投げ銭制です。この後、オマケで僕のちょっとした個人的なことをすごく短く書いています(大したこと書いてません)。今日は「昨日、東京女子大のあたりを歩いた」です。

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