カフェ経営は難しいことと、フヅクエの新しいやり方

たまに「カフェをやりたいんですけど」っていう相談を受けることがあるのですが、毎回、「難しいですよ」って答えてるんですね。

例えば下北沢で10坪のカフェを始めるとして、駅から結構歩いたところのビルの2階で家賃が「30万円」でしょうか。

経営がうまくいってる飲食店は、「3日の売り上げで家賃代を出す」という目安があります。

家賃30万円なので、1日10万円の売り上げが目標です。

さて、下北沢のカフェ、コーヒーが500円、カレーやスイーツがあって、平均単価(おひとりが使っていただける金額の平均)が1000円くらいでしょうか。

1日に100人のお客様が必要なんです。

席、ちょっとつめて、14席くらいでしょうか。6回転必要です。

2人用や4人用のテーブルにおひとり様が座ることもカフェの場合は多いから、テーブル単位で考えると10回転くらい必要です。

カフェで10回転ってまず無理です。というのは、おひとりで1時間や2時間滞在する方が普通にいらっしゃるからです。

これが例えば居酒屋なら単価3500円で、28人来店すればいいわけですから、6時に入店した方が2時間滞在しても、その後、8時や9時に来店する方もいらっしゃるから、14席で2回転すれば、その居酒屋の経営はうまくいくというわけです。

あるいは例えば牛丼屋なら単価500円で、ゆったりしてなくていいのでもっと席数が多くて20席で、200人くればいいのですが、まあ牛丼食べるのに15分かからないですよね。みんなすぐに帰ってくれます。10回転、軽く行きます。それで牛丼屋さんは経営的にうまくいくわけです。

そんな理由から、カフェ経営者は、居酒屋スタイルのように「もっと注文してほしい」と考えたり、牛丼屋スタイルのように「長居しないで早く帰ってほしい」と考えたりするわけです。

でもカフェでコーヒーを2杯ってあまり飲まないですよね。僕は胃が弱いので飲みません。

さらに、カフェって居心地が良いし、ゆっくりするために来てるのだから、ついつい長居しちゃいますよね。

そうなんです。カフェ経営って難しいんです。

 ※

その難問を解決しようと、多くのカフェは考えていまして、単価を上げるために「お酒」を用意したり、着席しないで「テイクアウト」できる飲み物や料理を用意したり、グッズを用意したり、コーヒーを自家焙煎したり、「何かおもちしましょうか」と2杯目をすすめたり、大きいテーブルにしておひとりさまがたくさん相席できるようにしたり、「今日は込み合っているので1時間でお願いします」と伝えたりと、まあ色々と試行錯誤するわけです。

先日、この上の方法以外で、とてもスマートにその「単価と長居問題」を解決しているカフェに行ってきました。

初台にある「フヅクエ」というカフェです。

こちらは「いくら長居しても構わない、ゆっくりとひとりで本が読めるカフェ」なんです。

で、長居しても構わないかわりに、「お席料」をいただいているんです。まあバーでいうところの「チャージ」ですね。

ここまでは、普通の発想ですよね。

そして、ここからがすごいアイディアなのですが、ドリンクだけでなく、フードを頼むと、その「お席料」が安くなり、さらにもう一杯ドリンクを頼むと「お席料」が「ゼロ」になるんです。

実際にそのお店に行かれてみるとわかるのですが、いざそういう「料金表」を見ると、ついつい「お席料」を「ゼロ」にするために、フードとドリンクを追加注文してしまうんです。これはすごいです。そこまでその経営者の方が想定していたのでしょうか。

そして、そうやってカフェで2000円前後使って、ゆったりとした時間を過ごすと、贅沢な気持ちになって、そんなに損をした気持ちにはならないんです。

このシステム、もしかして「画期的な方法」なのかもしれません。

ジャズ喫茶を経営している方にはすごく参考になるシステムかもしれないですし、バー経営者でチャージシステムを見直したい方も参考になると思います。このシステムが浸透すれば、日本全国この「お席料があるけど、注文を増やせばなくなる」というのが普通になるかもしれません。

先日、たまたま初台を歩いてて、妻が見つけて気づいたのですが、ほんとお店の雰囲気や出てくるメニューもすごくいいです。僕、今まで知らなかったのが恥ずかしいです。飲食店経営関係者、是非、行ってみてください。画期的です。

#コラム

お酒やバーについての僕の本です。『バーのマスターはなぜネクタイをしているのか?』 

bar bossaに行ってみたいと思ってくれている方に「bar bossaってこんなお店です」という文章を書きました。

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カフェ経営は難しいことと、フヅクエの新しいやり方

林伸次

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林伸次

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