お店って行かないとわからない

飲食店を経営している人たちのほぼ全員が「あの発言、ほんとイヤだよね」という言葉がありまして。

例えばツイートだったりすると、こんなのです。

ある有名なカツ丼屋が閉店するという記事がありますよね。それに対して「え! 残念! こんなことなら行ってあそこのカツ丼食べておけば良かった」というコメントをそえてるものなんです。

お店を閉めるということは、「売り上げが落ちたから」というのがほとんどの理由なんですね。

だからみんながそこのカツ丼を食べに行ってたら、そのお店は潰れる必要はなかったんです。

でも、閉店してから、「行っておけば良かった」ってコメントするのって、飲食店経営者側としてはすごく納得いかないんです。

そのツイート氏は「閉店したから、もう食べられなくなったからそう感じただけ」で、いつまでもそのお店が存在してたら結局はカツ丼を食べには行かなかったはずなんです。

それで「自分もそういうことあるよな。反省しなきゃ」と思って、最近は意識的に渋谷で「入ったことないお店」に行くことにしています。

例えばムルギーという有名なカレー屋さんありますよね。僕、実は渋谷すごく長いのに行ったことなくて、行ってみました。やっぱりすごく良いお店でした。

味ももちろんなのですが、まず立地が最高なんです。ラブホテルが建ち並ぶ中にポツンとオアシスのような場所があって、そこで本当に「何事でもないような表情で」お店があるんです。

さらに客層がすごくバラバラなんですが、お店の存在が強すぎて、それが逆にしっくりくるんです。例えば僕が行ったときは「下北あたりでバンドをやってそうなカップル」とか「松濤で住んでいそうな奥様たち」とか「僕のようなよくわかんない雰囲気の一人男性」とか「水商売なんだろうなあ」って感じの疲れたお姉さんとかがムルギーのカレーをはさんでひとつになっていました。

どんな客層が来ても「お店が良すぎてブレない」って飲食店の理想ですよね。羨ましいです。

bar bossaにすごく近い「神子元」というご主人が釣りが大好きで、自分で釣った魚を調理して出している有名なお店があるんです。僕は20年近く近所でいるのに行ったことなくて、おもいきってランチに行ってみました。

そしたらカウンターの距離とかテーブルのどっしり感とか、奥様とご主人の立ち位置とかすごく良くて、「うわあ、もっと早くに来ておけば良かった」と後悔しました。

で「ごちそうさま」って告げてお店を出ようとしたら、突然奥様が僕の肩を「トントン」ってするんです。「え?」と振り向いたら、奥様が「これ」ってアメ玉をくれました。「うわー、ここ本当に21世紀の渋谷なのかなあ」とか思って感動してしまいました。

さて、天下一品ってラーメン屋さん、ご存知ですよね。あまりにも有名で、僕はてっきり行った気になっていたのですが、実は食べたことなかったんです。

行ってきました。ラーメンのスープがもうホント濃いんですね。ドロドロですね。知りませんでした。もうすごい胸焼けがしてしまって、でも「やっぱり行かないとわかんないなあ」って痛感しました。

「餃子」ってずっと流行っていますよね(もう下火なのでしょうか)。僕の食事って妻に決定権がありまして、妻はそういう料理に全く興味がないので、僕は流行の餃子専門店って行ったことなかったんですね。

→ちなみに僕は富士宮焼きそばとかパンケーキとかベルギーワッフルとか全部興味があるのですが、妻が興味ないので食べたことがありません。

で、妻が実家に帰っているときに、某餃子専門店に行ってきました。すいません。本当に「どうして流行っているのか」が全然わかりませんでした。「うーん、普通に美味しい餃子だなあ。以上」でした。こういう流行の理由がわからないと僕はすごく寂しいです。

さて「流行っている」と言えば、外に魚のケースなんかをわざと置いて雑な雰囲気にして、お客さまのテーブルで貝や魚を網の上で炙ったりするスタイルありますよね。

あれ、飽和状態だなあと以前から気になっていまして、そのスタイルの立ち飲みですごく入っていたお店が渋谷の駅近にあったのですが、閉めたんですね。

ちなみによく言われることですが、恵比寿のお客さまって本当に流行に敏感で、一時は長蛇の列だったのに飽きられたらアッと言う間にお店閉めてしまうんです。

渋谷も多少そういう傾向があります。新宿や新橋では結構入っているお店でも、渋谷では苦戦するってよく言われるんです。

で、その「新鮮な魚を美味しくカジュアル酒場系のお店」がなくなって、次は何だろうと期待してたら、一階は今大流行の一人で一切れから注文できる立ち焼き肉屋の治郎丸でした。なるほどですよね。

そしてそのビルは2階と3階があるのですが、そこはPOTAPASTAという「ミートソースのパスタが390円」というパスタ専門店でした(今、検索したら治郎丸さんの系列だそうです)。

もちろん妻が実家に帰っているときに行ってきました。すごく良いお店でした。味も美味しいし、内装もワインバル&キッチン風だし、スタッフも感じ良いです。

特筆しておきたいのが、ワインがたっぷり入って大きいグラスで250円なんです。チリ産なのですが、白がシャルドネとソーヴィニヨン・ブランのどちらかを選択出来るんです。これ、在庫も必要だしかなりな手間だと思うのですが、客としてはシャルドネとソーヴィニヨン・ブランが選べたらうれしいですよね。すごく心憎いです。

あ、レコード屋のことと飲食店のことって話が止まらないんですよね。まだまだ言いたいことあったのですが、2000字を越えたのでこの辺で終わります。

やっぱりお店って行かないとわからないものですね。

僕のcakesの連載をまとめた恋愛本でてます。「ワイングラスのむこう側」http://goo.gl/P2k1VA

#コラム

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林伸次

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