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新しきを訪ね故きを識る

先日の仕入れついで、時間があったのでタワーレコード渋谷店に久しぶり寄ってみた。

ここ数年、行くたびにネガティヴな意味で毎度驚かされるのだけど今回も例に漏れず。
気づいたらジャズもブルーズも現代音楽もクラシックもひとまとめに最上階に追いやられていた。
僕の知る当初からクラシックと現代音楽は最上階だったから違和感なかったけど、とうとうジャズやブルーズも最上階か…となんとも言えない気持ち。目当ては決まっていたので購入して帰ろうとエスカレーターに向かう途中、試聴機コーナーのポップに気になるタイトルの作品を見つけた。

“RE−DEBUSSY”

「あーグラモフォンのシリーズであった再編集モノみたいなやつか。へー。」と期待もせずに聴いてみたらこれがそれ以上。
図抜けているとは言わないけどこういう着眼点とセンスはとても好み。良作である。
グラモフォンの“Re:composed”シリーズはガチガチのテクノへの再編集だけど、こちらはエレガントな再解釈といった趣き。

近年の趣味興味がこちらに向いているせいもあるのだろうけど、今までちょっと手の出しにくいジャンルを今の空気にアジャストして提示するというスタンスには諸手を挙げて賛成したい。
とっつきにくいものをとっつきやすく。
これで原曲や作曲家に興味を持つ人が少しでも出てくるならとてもやる意味のあることだと思う。
今の空気をまとった昔のものを楽しめるのは何だかシンプルに嬉しいし、そういう物にも手を出せるようになった自分を褒めてやりたくもなる。
昔なら「タルそうだしよくわかんないからいいや」という言葉で間違いなく片付けていたろうから。

ちなみにこちらは第2弾。
どちらもfeaturingアーティストがいて、この2nd、DEBUSSYではHauschka。
1stはFauréという名前すら初めて聞いた作曲家だけどfeat.Prefuse73となれば買わない手はない。ということでまとめて購入。

「クラシックなんて退屈なもんだ」と思われている方にぜひオススメしたい。

解釈ひとつでいろんな形のアプローチできる。もちろん、その音楽の本質を本作で理解するのは難しいかも知れない。だけど入り口の扉を開ける手立てのひとつとして、新たなジャンルという見立ての聴き方としても良いアイデアだと思う。

近年の音楽にはジャンルを問わずとても退屈している。
歳をとって今の流れについていけないからだと指摘されれば返す言葉もない。それでもそれなりに聴いてきたつもりの身からするとあまりに退屈過ぎる。しかし、そこで自分の感覚にヒットする、新鮮に感じさせてくれるモノが旧いものから提示されるのはなんとも皮肉な気もするし、逆襲的な気もしてとても小気味が良い。やられたな、とちょっとニヤリとしてしまう。ひょっとしたらこの感覚をしてROCKだとかPUNKだとか言うのかもしれないな。

ちなみにこのシリーズはまだ続編を予定しているとのこと。実に楽しみだし、このレーベルには他の作品のリリースもぜひ期待したい。
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