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読書備忘録

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江國香織 著「川のある街」

私の思い込みもあると思うのですが、なぜかヨーロッパの香りのする作家というイメージのある江國香織さんの作品を読みました。 読み終えた作品 雑誌「小説トリッパー」季刊号に掲載され、2024年2月7日に朝日新聞出版より、232ページの単行本として発売されています。 あらすじ この作品を選んだ理由 が気になって手に取りました。 感想 本作に流れる川は、3篇それぞれに出てくる主人公に寄せた、時の流れと共にある川です。 主人公たちは、第1話では両親の離婚で母の実家に暮らす

いよいよ完結

高田郁さんの呉服商を舞台とした時代小説が、完結を迎え、やっと読み終えました。 読み終えた本 2024年2月29日に角川春樹事務所から、324ページの書き下ろし文庫として発売されています。 あらすじ 感想 これまでに本編と特別編上巻を読み終え、いよいよ最終の下巻を読み終えました。 今回は物語の舞台となった呉服商五鈴屋を創業100年を迎え、今後の10年に向けて、主人公幸を支えてきた周りの人たちの思いと、今を描いた短編集となっていました。 最後は行儀見習いから奉公に上

「超臨界地熱発電」知っておられますか?

今日は「超臨界地熱発電」の利権をめぐり、永田町、財界ときな臭い世界で行われる様子を描いたフィクションを紹介します。 読んだ本の紹介 2023年12月25日にKADOKAWA 232ページの単行本 として発売中 あらすじ この本を選んだ理由 時々著者が、ニュース情報番組に出演されている姿を拝見。先日図書館でこの本を見つけ、読んでみました。 感想 東日本大震災の原発事故が大きな問題となり、やっと私たち国民も電力供給問題に対して、「いかに私たちが人ごととして捉えていた

夏川草介著「君を守ろうとする猫の話」

本屋大賞2024年大賞は「成瀬は天下を取りに行く」でした。推しの作品が、受賞して本当に嬉しいです。成瀬シリーズこれからも続いてほしいです。 さて本日発表された本屋大賞で、4位になった「スピノザの診察室」の著者夏川草介さんの新刊を読み終えました。 今日はその作品を紹介させていただきます。 読み終えた本 2024年2月28日に小学館から224ページの単行本として発売されています。 あらすじ 感想 以前、著者が書かれた「本を守ろうとする猫の話」という作品を読んだ記憶が

文庫旅館で待つ本は

朝から花冷えの気温に、調子が悪かった私ですが、夫の勧めもあってジムに行き、昼食後視聴中の韓国ドラマを見たら、少し気持ちが楽になりました。 皆さん、お変わりありませんか? 今日は久しぶりに本の紹介です。思いがけず手に取った作品でしたが、とても心地よい作品です。 読み終えた本 2023年12月18日に筑摩書房から、書き下ろしの256ページのソフトカバー単行本として発売されています。 あらすじ 感想 最初にも書きましたが、図書館の蔵書となるまで、作品名はもちろん、著者

キスに煙

今回図書館から借りてきた本は2冊。今日はその2冊目を紹介します。 読み終えた作品 2024年1月25日に文藝春秋から256ページの書き下ろし単行本が発売されています。 あらすじ この作品を選んだ理由 この作品も新刊の棚にあったので、借りてきた作品です。以前に著者の作品を2冊読んでいました。 感想 今の病を得てから、特に過去に関して、記憶が曖昧になることが多くなりました。もちろん年齢的なこともありますが。そのため強烈な印象の作品しか思い出せなくなっています。 今

まだ終わらないで、文化祭

天気予報では今日まで晴れるということで、珍しく早起き、家事を済ませました。 4月最初に読み終えた本を紹介します。 読み終えた作品 2023年11月22日に双葉社から176ページのソフトカバー単行本として発売されています。 あらすじ この作品を選んだ理由 図書館の新刊の棚で見つけました。題名に私の好きな文化祭が入っていて、印象的でした。 感想 内容的にミステリーとするには弱く、それでいて青春ものとするのも難しい、ジャンルが絞れない作品だと思います。 やはり中高

八咫烏シリーズ再び

今日は読み終えた私の好きなファンタジー小説の感想です。 読み終えた作品 2024年2月22日に文藝春秋より352ページの単行本として発行されています。 あらすじ この作品を選んだ理由 小野不由美さんの「十二国記」シリーズが好きで手元に全シリーズを揃え、楽しんでいました。 その後松本清張賞を受賞した、本シリーズの第1作を読んで、このシリーズを読んでいこうと思わせてくれるほど魅力のある作品なので、今は追っかけています。 感想 シリーズとして第1作から9作まで、それぞ

ぼくは青くて透明で

今日は先日読んだ本の感想を書こうと思います。 読み終えた作品 2024年1月16日に文藝春秋より256ページの単行本として発行されています。 あらすじ この作品を選んだ理由 図書館の司書さんからお薦めされて読みました。 感想 全くこの本の情報を知らずに読んだので、やはり読んでいて驚きました。 現代社会で、性的嗜好に寛容になったとはいえ、まだまだ暮らしにくい世の中です。 私も現実世界で、愚息たちがこういう世界に入っていたらどう考えるのか、少し想像してみましたが、

五十嵐貴久氏が描くクライムサスペンス

今日は昨夜読み終えたサスペンスの感想です。 読み終えた作品 2023年12月13日にPHP研究所より368ページのソフトカバー単行本として発行されています。 あらすじ この作品を選んだ理由 この作品に関しては特に思い入れもなく、新刊書に並べられていたのを手に取りました。 感想 サスペンスとして可も不可もなくといった感じです。序盤同じ刑事とである妹を亡くし、さらに殺人犯に仕立て上げられたところまでは、興味が湧きましたが、事件の背景が拉致事件、さらにテロとなると事が

わたし定時で帰ります3〜仁義なき賃上げ闘争編

彼岸の中日、全国的に大荒れで、我が町も朝から冷たい雨と風の吹き荒れています。こんな日は出かけずに、読書で過ごそうと思います。 今日は昨日読み終えたこの作品を紹介します。 読み終えた作品 2023年11月29日に新潮社から480ページの文庫本として発売されています。 あらすじ この作品を選んだ理由 第1作は現在、大河ドラマで主演を務める、吉高由里子さん主演でドラマ化されました。 長時間労働による過労死、労災認定等の話題の中、定時で仕事を終え、帰宅するということが、今

望月麻衣著「満月珈琲店の星詠み5〜秋の夜長と月夜のお茶会」

珍しく今朝は早起きをして、読書をし、午前中はジムにも行ってきました。 今日はそんな朝読書した作品を紹介したいです。 読み終えた作品 2023年12月6日に文芸春秋社より、240ページの文庫本として発売されています。 あらすじ この作品を選んだ理由 星詠みなど、もうそれほど信じない年齢の私ですが、このシリーズはそれだけでなく、物語としても、さらに物語に出てくるカフェメニューの描かれたイラストが、とても美しく、第1弾からファンになりました。 感想 今回は秋の夜長や

じんわり優しく、少し切ない青春の、愛しく、ほろ苦い味わいー万城目学作品を読んで

お彼岸に入りました。今朝は思いがけず早起きできて、少し得をした気分でいます。 さて、今回図書館からは5冊借りてきたのですが、1番の目当てだったこの作品を昨夜一気に読みました。 読み終えた作品 2023年8月3日に文藝春秋より208ページの単行本として発売されています。第170回直木賞受賞作品です。 あらすじ この作品を選んだ理由 以前から万城目学さんの作品が好きで、これまでの直木賞候補作も応援していましたが、結果に繋がらず、悔しかったです。 今回やっと晴れて受賞さ

名探偵じゃなくても

まだ早起きはできないけれど、それなりに日常が戻ってきて、朝食をとり、朝の洗濯に、部屋の掃除を終えて、PCを開きます。 ここ1ヶ月、韓国文学に浸っていましたが、一段落したので昨日から日本の作品を読み始めました。そして読み終えたのが、今日ご紹介する作品です。 読み終えた作品 2023年12月8日に宝島社から320ページの単行本として発売されています。 あらすじ この作品を選んだ理由 シリーズ累計10万部突破した『このミステーリーが面白い』大賞受賞作の『名探偵のままでい