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ものがたりを作り出すとは

大島真寿美氏が第161回直木賞を受賞した作品を読み終えました。

江戸時代、芝居小屋が立ち並ぶ大坂・道頓堀。 大阪の儒学者・穂積以貫の次男として生まれた成章(のちの半二)。 末楽しみな賢い子供だったが、浄瑠璃好きの父に手をひかれて、竹本座に通い出してから、浄瑠璃の魅力に取り付かれる。 父からもらった近松門左衛門の硯に導かれるように物書きの世界に入ったが、 弟弟子に先を越され、人形遣いからは何度も書き直しをさせられ、それでも書かずにはおられなかった……。「妹背山婦女庭訓」や「本朝廿四孝」などを生んだ 人形浄瑠璃作者、近松半二の生涯を描いた比類なき名作! (Amazon内容紹介より)

著者の長年のテーマ「物語はどこから生まれてくるのか」が、義太夫の如き「語り」にのって、見事に結晶した奇蹟の芸術小説。

直木賞受賞に際しても絶賛された人形浄瑠璃の作者に光を当て、物語が生まれてくる様を見事に描いた作品です。

三大丸本浄瑠璃が誕生後、竹本座の情景が虚実皮膜を織り交ぜ、近松半二の浄瑠璃創作、並木正三の歌舞伎舞台装置の開発を軸に物語が進み、現在に繋がる歌舞伎を中心とした浄瑠璃創造の物語、草創期の道頓堀の坩堝のような活気を味わうことができます。

Amazon評価は二分していますが、私は主人公の近松半二に魅力を感じ、面白く読み進めました。

私自身人形浄瑠璃、歌舞伎ともに1回しか鑑賞したことがなく、20代前半で何も知識なかったことが今はとても残念です。

地方の田舎地に住んでいては、見る機会も得ることがなく悔しいのですが、文学作品で日本の伝統的文化を味わうことができることは嬉しいことです。

今日も読んでいただき、ありがとうございます。

今という時間は再びやってくることはありません。素敵な出会いがありますように。


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