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百田版「スタンド・バイ・ミー」

百田尚樹氏の3年ぶりに書き下ろされた長編小説を読みました。

勇気――それは人生を切り拓く剣だ。 あれから31年の歳月が流れたが、ぼくが今もどうにか人生の荒波を渡っていけるのは、あの頃手に入れた勇気のおかげかもしれない。 昭和最後の夏に経験した、少女殺害の謎をめぐる冒険、友情、そして小さな恋。 (単行本帯より)


現在43歳の遠藤宏志が12歳で昭和最後の夏での出来事を回想する物語です。

両親の仲が悪く、家庭内離婚状態の遠藤宏志は、家が貧しく、母子家庭生活保護を受けている木島陽介、家は裕福で、他の家族が優秀で本人は吃音症になった高頭健太とともに、勉強も駄目、運動もできない、何も取り柄もない落ちこぼれ同士で仲良くなっていました。

そんな彼らは、小学校最後の夏休み1ヶ月前に、「アーサー王物語」に感動した宏志の発案で「騎士団」を結成します。

帰国子女で美少女の有村由布子への憧れから、彼女をレディとして愛と忠誠を誓い合い、秘密基地を作り、未だ犯人が分からない殺人事件を解決しようと、犯人探しをしているところに由布子から有名模試で県100番以内に入るよう提案され、3人はそれに向けて勉強をする羽目になります。

またクラスで嫌われている少女の壬生紀子と宏志が、文化祭演目「眠れる森の美女」の男女を演じることになります。

やがて懸命にダンスを練習する宏志に対壬生紀子は、落ちこぼれ3人の勉強を助けることを提案、共に図書館で勉強します。

その後に語られる、憧れていた有村の実態を知った少年たちの落胆、宏志と紀子の淡い初恋、模試の結果、そして殺人犯逮捕等はひと夏の経験にしては十分すぎるほどです。

テーマである「少年時代」にキーワードの「勇気」

些細でも少年時代に「今やるべきことをやる」ため自分の殻を破り、勇気を育てたことが、後々人生に大きな歩みをもたらしてくれるということです。

稀代のストーリーテラーが書き下ろした百田版「スタンド・バイ・ミー」とも帯に描かれています。映画「スタンド・バイ・ミー」を好きな方なら共感を持って読み進められる作品だと思います。


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