「輝く笑顔」を瞬時に引き出せる落語はやはり面白い!
雨降る日曜のお昼過ぎ、福岡市民会館で行われた「四代目圓歌」襲名披露公演に行ってきました。福岡は落語の寄席が常時あるわけではありません。そのため年に1度秋に開催される「落語天神祭り」を楽しみにしている私です。
今回はその「秋まで待てない!」とついた襲名披露公演。お友達が行けなくなったということで大喜びで行ってきたというわけです。
この日、本当は円楽師匠も来るはずでした。
でも脳に腫瘍が見つかり短期療養に入るとのニュースが直前に。
襲名披露公演も当然お休みの案内が出ており、代わりに木久扇師匠が来ていました。どのように話をするのかと思えば、そこはさすがの笑点メンバー。病気のニュースも大きな笑いに変えて心配や不安な気持ちをすっかり忘れさせてくれました。
ところでみなさん落語って見に行ったことありますか?
あの会場というのは独特の不思議な空間に包まれているんですよね。座席も広いわけではない。食べながら飲みながら聞くわけでもない。でも一旦座って落語が始まったら「隣の席の人が気にならない」ほど笑って過ごしてしまうのです。家にいる時でさえ出さないような声を出して笑って手を叩いて、また笑って。。。
この日同じ列に1人で来ていた年配の女性がいたんですよね。
始まる前、表情もそれほどなく雨に濡れた上着などをビニル製の袋にしまって、そのあとはずっと配られたパンフレットに目を通していました。
でも落語の途中ふと目をやったんです。
驚きましたね。きらっきらに輝いて見えました。落語の最中横眼をやるなんてことこれまでなかったので、心底驚きました。その女性のように落語家と自分だけの世界できらっきらに輝いて笑って泣いて。そうやって手を叩いている人が何百人っているんですよ。その会場に。
途中で小遊三さんから、
「落語家なんていいよな、1日たった20分ほど話すだけで給料がもらえてなんて言われることがあるんですよ。私らなんて朝から晩まで働いてやっと雀の涙ほどの給料なのにねってね。でもそんなもんじゃありませんよ、14分です(笑)」
っていう話がありましたけどね。でもあんなきらっきらな笑顔、そうそうそんな短時間で作れないですよ。14分かけて笑わすんじゃないですからね。のっけからもう大笑いなんですから。やっぱりプロっていうのはすごいなと思うわけです。
生きてると色々な嫌なことがあります。別に自分自身に嫌なことがなくても、悲しいニュースやなんだそりゃ、、と思う出来事を見聞きしたり人はそれぞれみなさん色々抱えてると思うんですよね。
でもやはり「笑い」を仕事にする人たちには、プロとして思い切り私たちを笑わせて欲しいなと思います。何もかも忘れて。隣にいる人のことさえ忘れて思い切り笑える時間。
そしてこちらも噺家の気の利いた小話をさっと理解して思い切り笑う。時にはぐっと心にくる話に涙したりと思い切り感情を預けちゃって。
雨など苦にもならずに、なぜだか足取り軽く、「どうだい?なんかうまいもんでも食べていかないかぃ?」なんて言ってみたくなっちゃう。
落語は話の世界から現実の世界にぐいっとやってきて私たちに幸せな時間をくれる最高に面白いものだと思う。
もちろん秋の天神落語祭りも行きます。それまでまたがんばろう。みなさんもたまには「笑い」の時間、いかがですか?
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