やどかり

ホームレス留学生

ごめんなさい。帰国してからずっと就職活動に追われていたので全く更新できませんでした。やっと終わったので続き書きます。まだ読者でいてくれる人ありがとうございます。

突如ホームレスに

10月末、契約期間の認識の違いによりホストファミリーから突如放り出され家を失くした。うろたえている暇はない。スーツケースを引きずり秋風吹く小道を歩きながら、今晩どうやって過ごすかを考えた。まだカナダへ渡ってから2ヶ月も経っていないので、泊めてくれるような持ち家の知り合いなどいない。野宿をするにも日本とは環境が異なり、いくら日中は比較的治安が良いとはいえ夜になればジャンキーやゴロツキが至るところに湧いて出る。

頭をフル回転させた末に、不動産をたくさん持っている人を探して泊めてくれるようお願いするのが最も確実だろうと考えた。日本とは違い不動産の仲介業者は存在しないので、サイトに載っている物件のオーナーに片っ端から電話をかけた。ちなみにこのサイトを使った。俺の英語が拙く、うまく伝えられずガチャ切りされたりもしたが、運よく話を聞いてくれる優しいオーナーを見つけた。事情を話すと、「空き物件はないけど、ジャパニーズボーイを泊めてくれる住人がいるか聞いてあげる」と言われ微かな光明が見えた。

クローゼット生活

オーナーの持つさまざまな物件の住人に当たってくれた中で「クローゼットなら使ってないから寝泊まりしていいよ」と言ってくれた人がいた。監獄でもクローゼットでも今の俺には屋根と壁があるだけでありがたい。人一人がギリギリ横になれるくらいのスペースだったが十分だ。ドラえもんだって押し入れに布団敷いて住んでるんだから、俺だってクローゼットに住もうじゃないか。

こうして10日間(予定)のクローゼット生活が始まった。ちなみにクローゼットのあるリビングはがっつり空いているので、「おい!リビングのソファで寝させてくれよ!」とか思ったがそんなこと言える立場じゃないので諦めた。それに加えて俺がいることも忘れて夜になると恋人を呼んで○ッ○○を始めるので俺はメタルギアばりに息を殺して潜んだ。

学校では経済学の授業で毎朝最近の重大ニュースを発表するというアイスブレイクがあったが、そこで俺は「Breaking news! A poor Japanese asylum seeker ran into the closet. (速報!哀れな日本人、クローゼットに亡命)」と題して自分の近況報告をして笑いを取った。


一難去ってまた一難

クローゼットに生活も終わりに近づき、ちゃんとした次のアパートも決まりかけたころ、またもや災難が降りかかった。デビットカードが何者かに不正利用されたのだ。俺は日本から8000km離れた土地で、現金を引き出す唯一の手段を失った。

To be continued...


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