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cheerioの超個人的レビュー第22回『島田奈美:負けないで…片想い』

今回は「スイートでキュートな15歳」島田奈美さんの2ndシングル『負けないで…片思い(作詞:森雪之丞 作曲:林哲司 編曲:船山基紀)』について書いていきたいと思います。

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発売は1986年8月21日です。おニャン子絶頂期の頃ですね。島田奈美さんはアイドルとしてデビューする前に芸能活動を開始していたようですが、一般的には雑誌「Momoco」出身として認知されているのではないでしょうか。

と、書いてみましたが、以前にも触れたように、当時の僕は「Momoco」とは縁がなかったんです。ですので、菊池桃子さんも西村知美さんも杉浦幸さんも遠い存在だったのです。

他の同時期のアイドルと同様、もちろん存在は知っていました。でも僕のアンテナには引っかからなかったんです。今の好き具合から考えると何でだろうと本当に思います。

話が少しズレますが。僕はほんの小さい頃から所謂「ブリッコ」や「天然」が苦手だったんですよね。松田聖子さん、酒井法子さん、、西村知美さん、ゆうゆ(岩井由紀子さん)、渡辺美奈代さん等々(ファンの皆さんごめんなさい。今は苦手じゃありませんよ)。

もしかすると島田奈美さんもその系統の中に入れてしまっていたのかもですね。そうは言いながらもクレアラシルのCMは結構印象深く覚えていたりして。

まあ、そんなこんなでリアルタイムでは注目していなかった島田奈美さんですが、大人になってベスト盤を手に取ってみると、その後の彼女の展開も含め実にものすごい存在だったんだなと思い知らされます。もちろんルックスが好きというのもあるのですが・・・。

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彼女のシングルは全ていい曲揃いです。

『負けないで…片想い』は歌詞も曲も絶妙な魅力を放ちます。

まず歌い出し。音程がいきなり不安定になります。彼女にとって低いんでしょうね。でも「あ、外した!」とかではなく、その不安定さが曲の世界観を表現しているように感じます。もちろん作曲の林哲司さんはそこまで意識はしてないと思いますが。そしてサビの「Blue & Blue My Love」の繰り返すメロディ、「ためらいの」の後の「かぁーたおぉーもいー(片想い)」のゆったり感。コンパクトな中の緩急感。彼女の丁寧な歌い方にマッチして、この曲の主人公の感情が上手く出ているような気がします。

余談ですが、僕はイマイチ林哲司さんの曲がハマらないんですよね。。。菊池桃子さんもハマらなかったし、ルックス大好き国実百合さんも曲はハマらなかったんです。スマートなんですかね。。。そういうわけで、今流行のシティポップから語られるアイドルレビュー・評論はイマイチ、ピンと来ません。というか今更感が強いです。

しかし。島田奈美さんの曲は林さんの曲でもしっくり来ます。不思議です。

歌詞の内容は、好きな男の子の誕生日に彼のことをバス停で待っているんだけど、いざ現れると何も言えずに逃げ出してしまう、という女の子の姿を描いています。

リアルでいたら、そこそこ挙動不審な女の子です。でも確かにそういう女の子って高校とかにいましたよね。作詞の森雪之丞さんは言葉遊びが多いという記事を見かけたりしますが、この曲に関しては非常にストレートかつ真意を突いています。

「ためらいの片想い」

「打ち明けたとたん 友達も終わる」

「優しさと恋は 似てるから怖い」

この感覚、おそらくは男の子よりも女の子の方が敏感に感じ取るんでしょうね。特に優しさと恋なんて、男(の子)は中年になっても勘違いしまくりではないでしょうか。

動画を見ていくと、島田奈美さんは同時期のアイドルと比較して、一生懸命歌っているような印象を受けます。おそらく口が小さいというのもあるんでしょうが、実に言葉をきちんと伝えようとしている感じがします。

当時ブリッコだと思っていた女の子は、実は強い意思を持ってステージに立つ女の子だったのです。アイドルを演じていたんでしょうか。途中で音楽的に違う方向に目覚めただけだと思うんですが、もし演技だったとしてもそのアイドルとしての活躍は素晴らしかったと思います。アイドルを引退するとき、アイドルとしてできることはやり尽くした、みたいな発言があったようですが、その後のご活躍を目にすると、「あぁ、いい流れだなぁ」と素直に思えます。

僕は80年代90年代のアイドルが大人になって、再びメディアで活動されたりするときに「当時の衣装で」「当時の歌い方で」「当時のスタイルで」とかは求めない方です。アイドルであっても一人の人間であるわけですから、アイドル達も僕らが知り得ない時間の経過、簡単に言うと「人生」があります。そしてその人生を今の姿で見せてくれたら、アイドルも自分と同じように時を過ごしてきたんだなぁという事実を認識でき、それだけで満足なんです。

そんな僕でも少し前にジャズを紹介する島田奈央子さんの動画を見たりすると、ため息が出るくらい美しく思います。実際ルックス的に美しいんですが、それ以上に何か滲み出る美しさというか。お見事です。

大ヒット曲を連発してきたようなアイドルをA級と呼ぶのなら、島田奈美さんはそこに届かないのかもしれません。それでもアイドルとして最も正当にアイドルらしく活動していた彼女は、この先も語り継がれるアイドルのうちの一人に違いありません。


違う曲ですが、髪型的にはこういう感じが好きです。

そして当時の学生の必需品「クレアラシル」



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