泌尿器科に行く

すごく高そうな腕時計に紺色ポロシャツの男の肘は汚い。探偵ナイトスクープ再放送横目に見ているおばさん厚着。腕時計ゴツい。夫婦来た。二人とも耳たぶに引っかけるタイプのヘッドフォンをつけていて外さないままでつけたままで会話する。不思議夫婦だ。そもそも夫婦なのか。女の方が自販機に向かう。ペットボトルの水を買う。後ろにいるから見えないけど音がそうなのでわかる。髪が傷んでいるのがわかる。地区の運動会で活躍する麦茶タンクからレバーを下げてお茶を紙コップに注ぎながら検尿コップかもしれない。よく見れば違うとわかる。検尿コップの内側にはミシン目のような線が緑色に入っている。だからこれは違うノーマルタイプの紙コップ。お茶をたくさん飲んで膀胱の容量限界まで膀胱におしっこを貯めるよう指示されたのでひたすらレバーを下げて紙コップにお茶を注いで何杯もおかわりしていると麦茶タンクのお茶が空になってしまう。自販機でペットボトルのお茶を買ってごくごくする。膀胱はまだ入りそう。八分目という判断。お化け屋敷で驚かされても失禁は免れる。スカイダイビングなら危ない。スカイダイビングの経験はない。これからもない。おしっこしたいですと見ず知らずの行きずりの女性に自己申告するタイプの人になります。荷物はビニール袋に入れて持ち歩くタイプの人になります。膀胱を空にします。ジェットタオルのエアーやさしい。乾かすのに時間を要する。肩のリボンがすごい女に呼ばれて入室すると医師からううん限界まで貯めましたかあ まだいけたんじゃないかなあ もっと貯めてほしかったなあ 因みにあなたの前立線は六十代です。驚いた顔をして驚いた声を出している自分がスマートフォンのカメラに映っているのが見えその稀少な表情を側にいた看護師さんに撮影してもらう。我ながらいい顔。貴方も如何です?

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