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漫画から学ぶ仕事論06:チェンソーマン

チェンソーマンが面白すぎて、逆に感想を書けない前川です。

現在第二部が連載中ですが、第一部が完結しているので第一部ぜひ読んでください。
ネタバレと考察は絶対に1回読んだあとで。

…と、これを読んだ人がまっさらでチェンソーマンを読めなかったらと心配してしまうくらいに面白いです(いらないお世話)。

チェンソーマンの面白さ

現状公式で1話は試し読みができます。
とはいえ1話だけなら私は継続して読んでないと思うので、通しで読んでみてください(多分11巻で一部は終わるはず)(ハマれ)。

私の周回ごとの感想の変化はこんな感じです。

1周目:なんじゃこれ??意味わからんけどなんか読めてしまうな…
2周目:よくわからなかったから再読したけど面白いかも…
3周目:面白い!
4周目:待って…この作品、神では??

こんな作品が今まであったでしょうか?
読めば読むほど気づきが多くとんでもない作品で、私の語彙力と思考力がもっとあれば超大作の考察文を書いているところですが、
今回の人生では「すげー!」という非常にアホっぽい表現しかできないため、考察は他の天才にお任せしたいと思います。

デンジは10代にして自分で仕事を取ってくる

こんな血みどろ漫画から仕事に活かせることあるの?と聞かれたとしたら、
あります!!とこじつけながら書いていきます。

↑漫画紹介って画像使うわけにもいかないけど、絵を見ないと読む気にならないだろう、と悩んだ結果URL貼りまくる作戦

冒頭、デンジはデビルハンターとして悪魔を討伐し、ヤクザから報酬をもらうシーンから始まります。
後の回想シーンでわかるのが、デンジは親が死に、明日までに借金を返せないなら死体にすると脅されているということ。
直後デンジはポチタという弱った悪魔と契約を交わし、チェンソーの力を手に入れます。

おとなしく殺されるのでなく、「デビルハンターで雇ってくれませんか?」とヤクザに交渉することを選び、自分で仕事を取ってくるわけですね。

・ヤクザの目の前に、実際に倒した悪魔の死体をベチャっと置いて、実績を示す
・幼くまだ常識もないはずなのに敬語を使う

など、交渉を有利に進める努力もしています。

生きていくために日銭を稼ぐ。
必死で交渉する。


一昔前は企業に「入れてもらう感覚」「就職はできて当たり前」「給料が少なければ不満を感じてもいい」という価値観が主流だったように思いますが、
本来更にさかのぼって大企業時代以前は、そもそも自分で生きていく策を講じるデンジスタイルだった気がします。
最近独立する人が増えて、またこのスタイルに戻っていくのでは?とも思ったり。

ついでにデンジは1話の終わりに転職(?)するわけですが、確実にキャリアアップできていますね。

バディ制度

公安に転職してから描かれた、バディ制度。
デンジ&パワー、デンジ&ビーム、アキ&姫野、アキ&天使、コベニ×荒井などなど。
様々なコンビの組み合わせが面白いだけでなく、最初は仲が悪かったり、会話がままならなかったり、関係性に悩んだりしていたバディ同士がだんだんお互いを理解し、繋がっていく過程が興味深いです。

チェンソーマンは殺伐とした漫画に見えて、「人間関係」が非常に繊細に描かれている作品です。
片方が苦手だと思っていても、やがてかけがえのない相手になったり。
自分が憧れを持っていても実は…な展開だったり。

人の気持ちなんて相互に完璧に理解はできないもの。
お互いに均一に同一な思いなんて持ちようがないのですが、
なぜここから歩み寄れるようになったのか?仲良くなったのか?を考えながら読むと、お互いを否が応でも知ることになるバディ制度、仕事面でかなり有効じゃないかなと思います。

↓公安メンバーがかっちょいい、公式プロモーション。

米津玄師の曲は今回も最高ですが、本編読んだ上で歌詞聴くとマッチしまくってて世界観を豊かに感じることができます。
モーニング娘。の歌詞が入ってるのも驚き。曲調でこんなに印象変わるんですね。


主人公の成長を観測者として感じる

社会常識のない、死に追われる少年だったデンジですが、作中で徐々に成長していきます。
自分の内面と向き合うようになったり、以前は心が全く動かなかったことに苦しむようになったり、料理が少しずつできるようになったり。
血みどろの戦いの中に一人の人間が成長していく姿が描かれています。

恐らく読者としては、私同様「手に負えないやつ」としてデンジを見ていることが多いかなと思います。
それは常識人で先輩にあたるアキの方が、読者の常識に近いから。
ジャムもまともにパンに塗れなずにデロデロに散らかして食べるデンジを見て「うわぁ…」となっているアキ側の目線で読んでいるはずです。

そんなデンジの成長する姿に、
仕事の新人がトンデモ発想でミスしてくるのを見ていたのに成長したなお前…という先輩目線の穏やかな気持ちになることができます。

※このデンジの成長の描き方が実は重大な伏線になっていたりして、本当に底知れない漫画です。

作者はおそらく変人である

どんな仕事も「偏り」が大事だなと思ったのがこれ。
知ってる人には知れ渡っている話ですが、作者の藤本タツキ先生には、この人変だな〜ってエピソードが複数あります。

・デンジのキャラは藤本タツキ先生そのまんま(喋り方も同じ)。
・中学生時代から脳内で雑誌をつくり7作品を同時連載していた。
・「妹」と騙ってTwitterを運営
・自身はドMで、高圧的で理不尽な女性が好きと公言しており、作中でもそういう女性キャラばかり描く

知れば知るほど、変な人だからこんな変に面白い漫画を作れるのかなぁ…と思ってしまいます。
変=偏っている、ということ。

仕事に対して冷静に「デキる」という人は往々にしていますし、
ソツなくオールマイティに効率的にこなす、と能力は非常に有用です。
ただし、有名な芸術作品や、圧倒的に人気で25年も連載している漫画や、あなたが尊敬する上司など、人の心を動かす仕事は、なにかの熱量や偏りでできているのではないでしょうか?
圧倒的成果をつくっている方は仕事に対して偏愛を持っていることが多いです。

能力よりも偏愛や情熱。
チェンソーマンを生み出した作者の特異性に目を向けながら考えることは、
今の仕事に「変って言われるほどの思いが入っているか」ということ。

そこそこ冷静に完成度を上げた仕事より、
寝食忘れて没頭してみたり、変にこだわってみたり、誰にも負けない結果をつくると意気込んでみたり。
時にはそういう仕事の方が、予想以上の結果を生み出すことになるかもしれません。


以上、チェンソーマンに仕事を紐づけて考えてみました。

チェンソーマンは第一部が公安編、第二部が高校編となっています。
第一部だけで非常に完成された作品ですし、
ジャンプに載せていい作品だったのかもわからないですが、たくさんの衝撃を味わえる作品です。
ぜひ、無理やり仕事や学業に紐づけて読んで、思ったより休憩が長くなってしまったときの自分を肯定するためにも「参考になったわ〜〜」と言ってみてください。

アニメもやってるようです。

本日もありがとうございます。


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