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【観劇】幸福論

#wonderworks
#幸福論
#シアタートップス

とある町で、原発の廃棄物処理場になるかならないか。な、お話。
原発依存な日本のエネルギー政策、本当にこのままで良いのかなぁ・・・
とか、「地域が生きる」ってどんな事なの? とかとか。
そして「自分にとっての幸福とは?」みたいな、なんかそういう事を考えるきっかけになるかもっていう感じでした。
と、いう事で芝居の内容を絡めながら、私見を述べていくわけです、今回。
散文的に書いている為、話の流れが前後していたりしますので・・・

※注〉ネタバレ含むですので、その点を踏まえてお読み下さい。

・過疎が進む北海道のとある町がモデル。
核廃棄物処理場建設の為の地質調査という名目で目の前に交付金がちらつかされる。現職が選挙で当選すれば、その交付金はそのまま町に下りる。が、反対派が当選すれば、下りなくなるという・・・
軸になる夫婦の夫は医者で、この地区は地質的に向いていない事を訴え続ける。だが、過疎が進む地域では経済的な問題は文字通り地域の存続にもつながっている。はたして、そのお金に頼っても良いものなのか? しかし、そういった背に腹は変えられない事情もあるわけで・・・

・経済的な状況がその町で、その土地で生きている人々の分断を進めていく様子が描かれていく・・・
今住んでいる町が消えるなんて心配しなくて良いから。だから、地元がなくなるという事は故郷がなくなるわけで。都内でのうのうと生きている自分からすると少しピンとこない部分はある。この快適の暮らしの下には、こういった犠牲になっている方達がいることは確かなのだろう。
ましてや一次産業を軽視している国の在り方にも疑問符が浮かぶ。

・政府は原発を
「安全・安心・クリーンなエネルギー」
と言っていた。
だが、福島第一原発の事故で、それが事実ではないと世界に広めた。未だに故郷に帰れない方もいれば、復興だって何処まで進んだというのか。そして、そんな中で核廃棄物処理場を日本で作ろうとする事自体、どうなんだろうか?
ただでさえ地震が多いこの国。
安全ではないとすでに証明されている事だし、安易に原発に頼ろうとするのは厳しいと思う。現に福島からは、毎日汚染水が太平洋に向けて垂れ流されている事実。そして、将来的にその負債は後にまで及んでしまう。
ちなみにネットで探すと汚染水の分布みたいなのが調べられますよ。

・物言えば唇寒し
なんて言葉がありますから、生きて未来を紡ぐ為に正しい事を言っても、今を生きるのに必死にならざるを得ない状況でもある訳で。
何を自分の考え方の軸にするか。
(例えば、学ぶ事そのものが軸・身体を大切にする軸・他人に尽くすのが軸等々)
勿論、恐怖だけを流布するのではなく、安心できる材料も用意しないと関心を引けなかったり、反発されたりしますから。
(みなさん、板橋が「物言えば唇寒し」にならない事を祈っていて下さい♪)

・分断が進んでいく中で、嫌がらせを受ける人達。ガラスが割られるシーンは「わぁお・・・やりますか、それ」という演出を観る事が出来た。そして、役場に勤める、話の軸になっている妹夫婦の旦那に対する、上司や周りの人間の圧力も痛々しい。
妹の「結婚式をしてただ皆に祝ってもらいたかった。みんなに感謝したかった」という純粋な思いが散ってしまうところもあぅあぅあぁぁ〜となってしまう。

・生きる上で
「生きる事、そのもの」だけを望むのか「自分の大切な事だけ」を持ち続けるのか「人と共に生き、大切な思いを共感して生きる」のか・・・舞台に立っている人物達、そして観客である自分達は何を大切にして生きているのか。それを問われている気がした。

・ラストの方で「作物に疫病が出た。その品種を扱っているすべての農作物はダメになる。だから、掘り起こして廃棄しないと」みたいなシーンがあった。
そして「この品種は何処から?」「農協で一括で仕入れた物」「じゃあ、この地区で扱っている同品種は全滅だ」と。
この事に通じている事として「核廃棄物を埋めた土壌の上に畑を作るとしたら、その畑は放射性物質で汚染される」というのもあった(確か(汗)
さてさて、どちらも何処に責任はあるのでしょうか、と。
この事について意見は二分される事が多いと思うのでしょうが、うまく擦り合わせていけないものかなぁ〜って思います。

・結局、人間関係の分断により結婚式は取りやめる事に。拗れた人間関係を断ち切る為に、妹の夫は役場を辞め、町を出る事になる。妹の農家は継がず、アルバイトをする事になるが、それでも生き生きとしている様子が微笑ましい。

ーーーと、今回は思い出すままに芝居のシーンと私見を綴りました。
個人的な答えとしては「日本で生きている以上は地方で起きている事、そして政治と無関係ではいられない。だから無闇に流される事なく、基準となる考え方を持とう」と。そして、その想いが紡ぐ「幸福論」という芝居の名前に繋がるのではないかな〜と。しみじみ思ったわけなのです。

役者陣の皆さんはしんどい芝居だと思いますけど、達者な方達ばかりでした☆ミ
個人的には天野眞由美さんの「その花を踏まないで〜‼︎」っていうのと近江谷さんの農夫っぷりが特に印象に残ってます。ハイ。

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