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プリキュア20周年と、ハートキャッチプリキュアにおけるダブル主人公のしあわせな競演に関して

 プリキュア20周年だそうですね。おめでとうございます。

 今朝、著名プリオタの祥太さんが新宿駅の広告(全プリキュアの変身バンク!)を上げていたんですが、滅茶苦茶インパクトありますね。時間があれば見に行きたいです。

 プリキュアは思い入れに濃淡はあれど10年以上ずっと追ってて、とくに好きなシリーズは↓って感じです。

 とくにハートキャッチはプリキュアシリーズという枠に限らず、全アニメでもトップ5に入るくらい好きです。今日は朝に↑の新宿駅の動画を見てからずっとプリキュアの事しか考えられない頭になってしまい仕事どころではなく困っているので、クールダウンさせるためにハートキャッチプリキュアへの思い入れを少し吐き出そうと思います。

■ハトプリの何がすばらしいのか

 ハトプリの良さは馬越嘉彦さんの今にも動きだしそうなキャラデザとか、歴代でもとくに際立ったバトル作画とか、"キュアメタル"こと高梨康治さんのアツい劇伴とか、敵側のキャラ立ちとかいくらでもあるのですが、今回はとくに「最終決戦がいちばん盛り上がるシリーズ構成」について書きます。

 ニチアサは今時では珍しく「4クールの続きもの」というフォーマットを守っているわけですが、「1年間楽しく見てたけど、最後はイマイチ盛り上がらずに終わったな・・・?」みたいな作品も、結構あったりします。プリキュアもご多分に漏れずで「あたりさわりのない美辞麗句を叫んでるうちにラスボスが爆散していた」みたいな作品も、まぁ、正直あるわけです。その点ハトプリは、ラストバトルが滅茶苦茶盛り上がる。これが素晴らしいです。

※以下、シリーズ終盤のネタバレを含みます。

■年末年始で突如訪れる急展開

 プリキュアの常ですが、クリスマス商戦を盛り上げてから最終回までの約1ヵ月は、販促がひと段落ついて、いよいよ各作品のテーマに決着をつけていくクロージングの時期になります。そのころのハトプリがどんな感じだったかというと、12/19放送が「第44話 クリスマスの奇跡! キュアフラワーに会えました!」というほんわかクリスマス回なんですが、その翌週12/26には「第45話 もうダメです… 世界が砂漠になりました…」と突如として修羅の国編に突入します。たった一週間でもうダメになるな。

 ここから先はもうずっと敵組織との最終決戦で、幹部とひとりづつ殴り合って決着をつけていくという(プリキュアではよくあるが)女児アニメとは思えない展開が続きます。この辺は作画演出もノリまくっていて、単純にバトルアニメとして滅茶苦茶面白いです。で、その中で敵幹部である「サバーク博士」と月影ゆり/キュアムーンライトとのとある因縁(※ネタバレ回避※)が明かされ、いよいよ1年に渡る物語はクライマックスを迎えます。

 この月影ゆりさん(↑の祥太さんのアイコンのキャラ)は4人目のプリキュア=いわゆる追加戦士なのですが、主人公である花咲つぼみ/キュアブロッサムよりだいぶ前にプリキュアになり、ワケあって挫折し引退していた「先代プリキュア」です。紆余曲折あって再び変身し仲間になるのですが、その戦闘能力はすさまじく、プリキュア最強議論界隈ではだいたい最上位ランクにくくられる超つよつよキャラです。そしてこのハトプリという作品は1話の冒頭シーンからずっと彼女が味わった喪失とそこからの再生を描き続けており、事実上、お話の真の主人公はどう見てもこの月影ゆりさんです。そして前述のサバーク博士との一件で、その最強真主人公のゆりさんの心は再び絶望のズンドコに叩き落されてしまいます。ラスト数話で訪れる最大のピンチ!

■ダブル主人公のしあわせな競演

 一方、真ではない主人公である花咲つぼみは1話時点で「史上最弱のプリキュア」と呼ばれており、変身した動機も「内気な自分を変えたい、チェンジしたい」という等身大なものです。いわゆるドジっ子の眼鏡っ子で、必殺技も「おしりパンチ」とか、なんそれ?な感じです。主人公なのでもちろん活躍はするのですが、超つよつよキャラであるゆりさんとはかなり対照的で、このふたりの「憧れの先輩と駆け出しの新人」的なパワーバランスは物語後半まで保持されます。ですが、はじめは頼りなかった彼女も、プリキュアの仲間たちや学校の友人たちとの交流を通じて色々な経験を積み、少しづつ成長していきます。そして物語の最後の最後で、サバーク博士との一件で絶望し道を踏み外しそうになってしまった「真主人公」のゆりさんを叱咤激励し失意の底から救うのは、ほかならぬこの花咲つぼみ/キュアブロッサムなのです。そこでついに、かつて「史上最弱のプリキュア」と呼ばれたキュアブロッサム/つぼみと、ずっと「憧れの先代最強プリキュア」だったキュアムーンライト/ゆりさんが、はじめて「対等な実力を持つパートナー」として並び立つ!心も目頭もアツくなる展開です。そう、ふたりはプリキュア!!


ふたりはプリキュア!


(無印プリキュア8話以来、シリーズで重要イベントとして扱われてきた「呼び捨て」がここで出てくるのもグっとくるポイント)

 先代と新世代の幸福な競演。つまり、ハトプリはアムロが最終決戦でカミーユと共闘するZガンダム、シン・アスカがキラ・ヤマトに一矢報いるSEED DESTINYなわけです(?)

 そして物語は勢いを保ったままラスボス戦に突入!主題題歌でもないのにNHK全プリキュア大投票の歌ランキングで第8位になったことでおなじみの激アツ挿入歌「HEART GOES ON」のイントロにのせてブロッサム&ムーンライトのダブル変身!ラスボスであるデューン(CV緑川光)の獣のような咆哮!ピンチ!・・・に無言ドヤ顔で助けに入ってくるキュアマリン&キュアサンシャイン!超絶作画のバトルバトルバトルバトル・・・いまだ!必殺!ハァァァァト!キャッチ!!爆散ッ!!

 最高にアツい展開です。本当にありがとうございます。ちなみにまだあと1話残ってます。

 何が言いたいかというと、主人公のつぼみと真主人公のゆりさん、それぞれの物語をちゃんと4クールかけてコツコツ積み重ね、最終決戦にみごと炸裂させ、それを最高の作画演出・最高の劇伴で盛り上げてくれるという、最高に幸せなフィルムがハートキャッチプリキュアだってことです。4クールという長期間にわたりじっくり腰を据えて付き合ったからこそ得られる、たしかな満足感がそこにはあります。本当にありがとうございます。数年に一回でもこういう出会いがあるからニチアサは止められねぇぜ。

■ちなみに・・・

 余談ですが、月影ゆり/キュアムーンライトの声優はかつてセーラーマーキュリーを演じていた久川綾で、「ムーンライト」という名前からも分かるように少なからず(プリキュアと同じく東映が制作していた)セーラームーンの暗喩になっています。その視点だと、上記のブロッサムとムーンライトのくだりは歴史ある東映魔法少女アニメの「継承の儀」としても見立てる事ができます。セーラームーンのアニメが5期続いたのに対して、ハートキャッチプリキュアは(初代&MHと5&5GOGOを1シリーズとしてカウントするなら)シリーズ5作目。どこまで意図してるのか分かりませんが、メタ的な意味で面白いです。

 ちなみにもうひとつ余談ですが、「空手使いの白学ラン男装ボクっ娘生徒会長」という属性の過積載で序盤~中盤にかけて好事家の熱いまなざしをギンギンに集めまくっていた明堂院いつき/キュアサンシャインが、変身する事で「可愛いものが好きな自分を受け入れる」という形でキャラとしては事実上の「あがり」を早々に迎えてしまい、それ以降は相対的に存在感が薄くなってしまったのはこの傑作アニメの数少ない瑕疵のひとつだと思っており、今でも看過できません。(ガチギレ)

 ちなみにもうひとつ完全な余談で、ハートキャッチプリキュアの第1話放送は2010年2月7日ですが、この日のニチアサはちょうど侍戦隊シンケンジャーが最終回、仮面ライダーWが27話で、歴史の長い各シリーズ内でもベストに挙げる声が多い傑作たちがたった一日だけ奇跡的に放映が重なっていたスペシャルな日で、個人的にこれをニチアサ惑星直列と呼んでいます。三作とも大好きな作品です。ダブル27話は木下あゆみが出てくる回です。

 あとこれは最後に極めて非常にたいせつなことで、記事内ではほぼ触れませんでしたが、歴代シリーズで一番好きなプリキュアは「青い珍獣」ことキュアマリンです。やるっしゅ!

「ひろがるスカイ!プリキュア」も、楽しみにしています。

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