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旅の記憶 1994・夏 フンザ ウルタル氷河?




30年前の夏
僕はパキスタンの山間の街
フンザにいた

ウルタル氷河を目指して歩く


先行するイサクたちにも疲れが見えてきた


いったいどこまで登ればいいのか
目の前の山は果てがない

遠くの山もさらに遠くに


登り始めて3時間ほど
ようやく僕たちの目の前に
氷河が姿を表した・・・のだが


どれ???


どれがウルタル氷河???


あー確かに氷だ

谷間の底に見える黒い岩のようなもの
よーく見ると氷の表面に黒い砂が付着している
これがウルタル氷河だと気がつくのには
しばらく時間がかかった

そしてこれが氷河だと受け入れるのにも・・・

氷河のイメージ
テレビでよく見る南極の氷河は
真っ白で、時にブルーで
海に崩れ落ちるあれ

でも目の前のウルタル氷河は
まっくろで言われなかったら
気がつかなかったかも


この黒い氷の塊が永遠と奥まで続いている


まあ考えたら当たり前なんだけど
谷間で凍った氷の上に
周りの土砂がうっすらと積もり
雨が降ることもあまりないこの地域では
洗い流されることもないわけで・・・

苦労して登ってきた割には
ちょっと感動が薄かった感は否めない



先行していた登山家さんは遠くの景色を見ながらひとやすみ


それでも僕たちは
目的の氷河にたどり着いた喜びと
もうこれ以上登らなくていいという
安堵感が入り混じった
不思議な満足感を感じたのは間違いない



ぐったりする筆者


とそこでもう一つ気になることが
上の写真の右側に新たな登場人物が・・・

誰?



氷河のその先に人の姿と 何やら祠のような石垣が

僕らが必死で登って
ようやく到達したその場所には
地元の人の姿があった
写真には映っていないが
当時の日記には羊飼いの人たちと書いてある

ん?ここってつまり
地元の人にとっては
生活圏の中ってことなのか?

なるほどハイキング程度と紹介されているのは
まさかこのせいか・・・

地元の人が手ぶらできている範囲なら
ハイキング程度という表現も
あながち間違っていない気がする

僕が必死で登ってたどり着いたこの場所は
地元の人にとっては
村のちょっと先くらいの
感覚なのかもしれない

かくしてこうして僕たちの
ウルタル氷河を見に行こうという目的は
達成できたのだが
ここからまた来た道を戻るという試練が待ち構えていた

続く


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