弥生賞

 皐月賞トライアルの一つで、本番と全く同じ条件で行われるレース。ただ、皐月賞には直結しないというのが定説で、実際に弥生賞→皐月賞を連勝したのはヴィクトワールピサやディープインパクト等名馬クラスのみ。その理由として前哨戦と本番とでのペースの違いがよく挙げられるが、個人的にはそーゆうことではないと思っている(これは今回の内容には関係ないので割愛)。

 脱線したが、レース傾向としては中盤まで緩めのペースで行って後半4〜3ハロン勝負という流れになりがち。重馬場だった年を除けば、4角前目で内から2、3頭目が黄金ポジション。一定以上の能力を持つ馬なら展開利も得て押し切れるレースか。皐月賞へは直結しない歴史だが、少ない母数の中からダービー馬や菊花賞馬など後の活躍馬は多数輩出しており、なんだかんだで能力の高い馬は集まってくる模様。



アドミラルシップ 

新馬(京都20):まずまずのスタートから外の3、4番手を追走。直線入口で先頭を射程圏に捉え、残り200では突き抜けそうな雰囲気も、最後まで内の6番と叩き合った。L2Fが11.4-11.4だったとはいえ、もう少し伸びてほしい感あり。2.4着馬が勝ち上がり。

ホープフルS(中山20):やや立ち上がるようなスタートで12、3番手からの競馬になった。そのまま後方のラチ沿いを追走し、4角で内へ。多くの馬が中ほど〜外へ持ち出したために進路が開け、4着入線。

ゆりかもめ賞(東京24):大外9番枠から更に外に流れるようなスタートも、行きたがるような感じで外の4番手。そのまま外々を回して直線に入ったが、残り400で脚が止まった。距離が長かった可能性も。

 ホープフル4着がこの馬の最高実績となるが、そのホープフルSも内々回して直線も空いた内をついた競馬で着順以上の評価はできず。新馬の勝ち方や前走の負け方を見ても重賞級とは言えない。

優先祖先:フジキセキ
ミオスタチン遺伝子型:CTかTT

母母父フジキセキはその母ミルレーサーを優先祖先に持つ馬で、そこからMarston's Mill〜Nasrullahに繋がる欧州芝系。ちなみにきょうだいのライラックは同じく母系由来、ブラックホールは父似のため、どちらかと言えば断然ライラックに似ているということになる。


エコロレイズ

 新馬は東京マイルでついていけずに9着、その後中山20で4戦して好走。キレるような末脚はなさそうで、2戦目のように流れたペースを前でどれだけ粘れるかという競馬が良さげ。力は足りなそうだが、この馬が逃げれば例年とは違うペースになるかも。

優先祖先:ペブルガーデン
ミオスタチン遺伝子型:CTかTT

母ペブルガーデンは父Sir Gayloodを優先祖先に持つ馬で、Sir Gayloodはその父Turn-toの影響を大きく受けた米ダの短距離馬。ちなみにSir Gayloodの父をBold Rulerに変えた半弟がSecretariat。エコロレイズ自身もダートのマイル辺りが良さそうに見えるが、T型遺伝子を貰ったことで距離適性が長めに出てるのかなと推測。


コスモキュランダ

 新馬は、どうした?というくらい後方ポツンのままなにもできず。2戦目以降は2000mに延長して好走、勝ち上がり。ゲートがあまり良くなく、京都2歳Sは出遅れ+直線入口で挟まれて8着なので見直す余地あり。加速には時間がかかるタイプで、前走も3〜4角で前にいた勝ち馬に離され、最後に詰め寄る競馬。6戦している割に弱い感じはせず、あとは他馬との比較でどうかというところ。スタートさえ良くなれば1勝クラスは勝ち上がれそうな馬。

優先祖先:Southern Speed
ミオスタチン遺伝子型:CTかTT

母Southern SpeedにはコーフィールドC勝ちの実績があり、3歳時には1400mの重賞も勝っている名牝。Southern SpeedからはSouthern Image(米ダG1勝ち)〜Halo's Image(米ダ重賞勝ち)〜と続いていく血統で、米ダのマイル〜中距離馬が代々。


サンライズジパング ※出走回避

 芝で走った新馬は先行するも伸びず、その後はダートで勝ち上がり→交流重賞2着→OP15着。この臨戦過程で挑んだホープフルSでは外の5番手から伸びて3着。ゴール直前では挟まれる不利もあった。前走若駒Sは直線絶望的な位置から、前走がフロックでなかったことを証明するような差し脚でねじ伏せた。正直能力を測りきれていないところがあるが、芝2000mでの2戦は評価せざるを得ない。印は回ると思う。

優先祖先:Crimson Saint(米ダ短、Storm Catの母母)〜Teddy(仏ダービー)


シュバルツクーゲル

 新馬戦は12.9-11.4-13.8-13.2-13.6-12.3-11.8-11.9-11.5-11.6のラップを2番手から早め先頭で快勝。2戦目東スポ2歳Sは離れた2番手から進め、3番手の馬に直線競り負けて2着。このレース自体のレベルはあまり高くなさそう。個人的に新馬戦の内容は好意的に捉えているが、今回のメンバー相手にどうかというと難しいか。馬券内ならの評価で△くらいになりそう。

優先祖先:Authi
ミオスタチン遺伝子型:CTかTT

優先祖先にあたるAuthiはアイルランドのG1馬で、伊JC大賞(芝24)等の勝ち鞍あり。AuthiからはGold Bridge(英芝短)〜Golden Boss(英芝短)〜Thormanby(英ダービー)と続く欧州系芝馬の系譜で、母Soberaniaもドイツオークス2着馬。欧州芝と言っても重たい感じはなく、同じ優先祖先系を辿る母父MonsunもT型遺伝子で距離をもたせたタイプだったのだと思う。


シリウスコルト

 1200mの新馬戦はソロっとしたスタートから8番手を追走、内から2頭目を回りながら直線馬場の真ん中に出して差し切り。切れ味勝負になった新潟2歳Sは上がり2位の脚を使うも位置取りが悪く5着まで。更に延長した芙蓉Sは3角から位置を上げて直線入口で先頭に立ち、突き放して快勝。ここの走りは良かったが、ホープフルが内容結果共にシンエンペラー、サンライズジパングを下回るため△まで。

優先祖先:オールドフレイム
ミオスタチン遺伝子型:CT(CC、TTの可能性もあるにはあるが)

母オールドフレイムは中央で2戦未勝利。オールドフレイム自身は父ゼンノロブロイ似で、One Smart Lady〜Pia's Ladyと遡り、Sir Gallahad、Plucky Liege、Spearmintと繋がっていく血脈。ゼンノロブロイが古馬3冠達成できたり、欧州で問題なく走れたりしたのはここ由来かもね〜なんて思ったり。なにはともあれT型遺伝子を受け継いできた欧州芝系。


シンエンペラー

 新馬戦は抜群のスタートからラチ沿いの3番手を追走し、残り400で先頭に立つと楽に突き放した(L2F11.1-11.0)。京都2歳Sはゲートは五分も両隣に前に入られて後方。3角手前から馬群内で少し位置を上げ、直線はその馬群を割って差し切り。ホープフルSもまずまずのスタートからインの4番手につけ、直線入口で先頭に立つも差されて2着。高い能力があるのは間違いなく、色んな競馬も経験していることからここでは上位。実績を素直に評価して良い。◎候補。※ペース遅くなると掛かるところあり。

優先祖先:Siyouni
ミオスタチン遺伝子型:CT

全兄の凱旋門賞馬Sottsassとは違い、父似に産まれた本馬。その父Siyouniは仏1400mG1勝ち馬で、Danehillの影響を強く受けたCC型(推測)のスプリンター。そのため、欧州のイメージほど重くはなさそうで、日本でキレ味を発揮できるのも納得。


ダノンエアズロック

 新馬は好発から内の1番に行かせて2番手追走、直線早めに並びかけるとそのまま交わして快勝。2戦目アイビーSも好スタートから2番目につけ、L3F11.2-10.9-11.0をゴール手前で捕えた。自身の上がり3F32.7は最速タイだが、並ぶ脚を使ったのがレガレイラなら高評価は必須。2戦共に同コースで、流れたペースを経験していないのは懸念材料だが、前走の走りはG1級と見たい。◎候補。※個人的にPOGで選んでいるのでまともな評価ができていない可能性あり。

優先祖先:Crimson Saint
ミオスタチン遺伝子型:CT(CC、CTの可能性もある)

5代母Crimson Saintはダートの短距離で重賞勝ちの実績がある馬で、4.5ハロンで当時の世界記録を出したとも(正確な記録は不明)。子にRoyal Academy Ⅱ、孫にStorm Catらがいる名牝で、Mosheenやプリモシーンにも多大な影響を与えている。ダノンエアズロックの形自体もプリモシーンに近いはず。


トロヴァトーレ

 過去2走共に同条件で同じようなレースを連勝。新馬はまずまずのスタートから他馬を行かせ、3角から大外を回して位置を上げる競馬でL3F12.1-11.4-11.2を自身33.8で差し切り。葉牡丹賞もまずまずのスタートから5番手を追走、4角〜直線入口では前の馬群が壁になったが、残り200で進路を見つけるとそこから2馬身突き抜けた。このレースもL3F11.7-11.3-11.4を自身33.9で差しており、高い能力があるのは明らか。多様な競馬を経験していないのが気がかりではあるが、今回も同条件で似たような展開にはなりそうで、その不安は最小限で済みそう。色んなところで名前を聞くので疑っていましたが、ナメてたらシバかれそうな馬でした。本命候補。

優先祖先:ライツェント
ミオスタチン遺伝子型:分からん

ライツェント〜Sequence〜Miss Dogwood(ケンタッキーオークス)〜Sweeper(英2000ギニー)〜Broomstick(トラヴァースS)〜と続いていく優先祖先系。叔母のディアドラとは辿る優先祖先が同じなので、ライツェント自体は優秀そう。母シャルマントはライツェントのMax活性産駒。


ニシノフィアンス

 新馬は好スタートからハナに立ち、スローに落としてまんまと逃げ切り。京成杯も悪くないスタートだったが逃げる意志は見せずにインの4番手を追走し、直線で内から4頭目辺りに出すも伸び切れずに5着。上の2頭は仕方ないにしても前の2頭と同じ上がりしか使えないのでは高評価はできない。

優先祖先:ニシノラヴコール
ミオスタチン遺伝子型:CTかTT

母ニシノラヴスコールからはその母ニシノナースコール(秋華賞3着、エンプレス杯勝ちの芝ダ兼用)〜Brian's Time(米ダ中)と繋がる血統で、Brian's Time自身はダート馬ながら日本では芝馬も多数輩出。芝馬もダート馬も出せる兼用種牡馬で、ニシノフィアンスもその適性を受け継いでいる可能性はあり。


ファビュラススター

 稍重馬場の新馬戦はやや重心が下がるようなスタートで後手を踏むも、徐々に位置を上げて外の4番手で直線へ向くと、L3F12.0-11.1-11.2を上がり最速の33.9で差し切り。上がり2位で4着のダノンデサイルが後に京成杯を勝利。ゲートが改善した2戦目は出して行かずに9番手を追走し、4角から進出して抜け出し勝利。2着馬に詰め寄られたのは気になるが、底を見せていないと言えばそうで、今回でどの程度か分かりそう。現状強いメンバー相手に勝ち切れるほどの力はなさそうだが、3着内はあっても良い感じで、前走2着に負かしたコスモキュランダと共に△くらいの評価になりそう。

優先祖先:Gold Digger
ミオスタチン遺伝子型:CT

Gold Diggerから先がはっきりしないが、Mr. Prospectorから逆算して考えれば、トロヴァトーレ同様Sequence〜Miss Dogwood〜Sweeper〜Broomstickと辿るのが普通か。Gold Digger自身もダート9Fの重賞を連覇するなど、タフで耐久力のある馬だったらしい。


レッドテリオス

 不良馬場の新馬戦、大外17番枠から五分のスタートで外の5、6番手につけ、向正面で2番手まで進出。3、4角のコーナリングで少し遅れをとったが、盛り返して突き抜けた。かなり馬場の悪い日で参考にしづらいが、2着以下で勝ち上がっている馬はおらず、1戦1勝で推すほどの馬ではなさそう。未知といえば未知ではあるけど。

優先祖先:Gold Florenly
ミオスタチン遺伝子型:CTかTT

優先祖先を辿るとGold Florenly〜Florentia〜Dona Nordiaとなり、成績の残っていない牝馬しか出てこない血統。謎。


まとめ

 現時点で、一定以上の能力があって実績でそれを証明しつつあるのが、サンライズジパング、シンエンペラー、ダノンエアズロック、トロヴァトーレの4頭。その中でもサンライズジパングはやや下に見たく、そうなると3強の様相。△候補は何頭かいるが3強をまとめて負かすのはかなり難しそうで、この3頭から入ることになりそう。問題はオッズをどのくらい貰えるか、といういつものパターンですかね。

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