有力国の分析

　1番人気はブラジル。ネイマール擁する攻撃陣は言わずもがな、それ以上にすごいのが守備陣。キーパー枠はプレミア2強の守護神であるアリソンとエデルソンが争い、センターバックにはマルキーニョスとチアゴシウバに加えてミリトン。守備的MFにもカゼミーロとファビーニョを揃え、センターラインがしっかりしているのがでかい。監督はチッチで、隙がないとはこのこと。難敵揃いの南米予選を無敗で抜けた実力はホンモノで、紛れもなく優勝候補筆頭。

　同じく南米予選を無敗で抜けたのがアルゼンチン。こちらが2番人気。アルゼンチンというとここ十数年は「メッシ頼み」「守備不安」の印象が強いが、今年は一味違う。メッシがいなくとも得点が取れるだけの戦力が揃い、後ろにはロメロとリサンドロマルティネスのCB。試合はイタリアとの強化試合しか見られていないため組織力は不明だが、2019年7月のブラジル戦以来無敗というのを見ても今までにない安定感が漂う。

　3番手がフランス。前回大会は圧倒的な個の力、バグみたいなメンバーで制した。そこから今大会までに変わった点はというと、カマヴィンガやチュアメニといった新戦力の台頭、そしてベンゼマの復帰。ただ、それよりも大きいのがカンテの不在。カンテで成り立っていたといっても過言ではないフランス代表。彼を失ったのはデカいなんてもんではなく、そこをカマヴィンガ、チュアメニ辺りでどれだけ埋められるか。

　4番人気はイングランド。選手の所属チームを見ると、プレミアリーグの強豪クラブの名がズラッと並ぶ。中心はやはりハリーケインで、ワールドカップという短期決戦において点を確実に取れる選手がいるというのはかなりのストロング。あとは他国との比較となったときに監督の差が出ないかどうか。タレント力ではやや劣る部分もあるため、配置、戦術面で差がつくと早期敗退の可能性も。

　5番人気、6番人気で並ぶのがドイツとスペイン。何を隠そう、日本のグループリーグでの対戦相手。この2カ国はチームの構成という点で似ており、どちらもバイエルンミュンヘン、FCバルセロナという自国リーグの強豪チームを基に作られているようなところがある。それぞれを指揮するハンジフリックはバイエルン、ルイスエンリケはバルセロナの監督を務めた経験があり、クラブチームでやってきたことを代表に昇華させているといっても過言ではない。世界中から集まった選手達が、クラブチームかというほどの戦術浸透度で自国の代表として出場してくるのがこの2チーム。間違いなく優勝候補。

　そこに続くのがベルギー、オランダ、ポルトガル。ベルギーは前回大会と大差ないメンバーで、デブライネ、ルカク等を中心とした黄金世代の攻撃陣は破壊力抜群。ただその攻撃陣も全員が所属クラブで絶好調というわけではなく、守備も不安。なによりも監督はデブライネに再三批判されている通り、選手頼みの面が否めず、選手の質で上回れなかったときに苦しくなる可能性はかなり高い。

　オランダは上記の各国と比べるとややメンバーレベルで劣るものの、ファンダイクを中心とした守備陣に計算が立つことに加え中盤を支配できるフレンキーデヨングがおり、大崩れは考えにくいか。攻撃は様々なタイプが揃うものの、決め手に欠ける印象はある。上手く噛み合えばといったところか。

　そしてクリスティアーノロナウドという絶対的な王が君臨するポルトガル。史上最高レベルのメンバーを揃え、彼以外のポジションも穴がない。ただ最終的にロナウドが仕切る形になるのは明白で、そうなったときにそれが良い方向に行くのかは分からない。ロナウド自身所属クラブ内でのゴタゴタがあり、状態面は不安。まあそーゆうときこそ仕事する男のような気もするが。

グループリーグ展望

　まずはグループA。さすがにオランダの突破は堅そうだが、混戦と言っていい組の一つ。対戦順の妙ということで言えば、カタールは初戦で勝てるとかなり面白い存在になる。その場合オランダがセネガルを初戦で下していれば、2戦目は勝ち点3のカタール対勝ち点0のセネガル。オランダが2戦目を落とさない前提で、カタールは2戦目セネガルと引き分け→3戦目オランダと引き分けという突破ルートができる。予想としては1位オランダ、2位カタール。

　グループB。ここはイングランドとウェールズのイギリス2カ国突破を予想。イングランドが実力上位なのは間違いなく、初戦がイングランド対イラン。となれば、もう一試合のアメリカ対ウェールズをモノにした方が勝ち上がる可能性はかなり高い。ウェールズの試合は見られていないが、アメリカは日本戦があまりに微妙。イランは初戦で勝ち点を拾えれば一気に有力候補。

　グループC。難しいのがここ。アルゼンチンは初戦でサウジアラビアとあたれるのが有利で、1位突破できそう。グループB同様、1試合目のもう片方が鍵で、メキシコ対ポーランドの勝者がアルゼンチンと共に突破する確率が高い。2位争いを制するのはポーランドと予想。レヴァンドフスキが仕事するでしょう。

　グループD。ここはフランスとデンマークが順当に突破する可能性が高そう。フランスは前述の通りだが、触れておきたいのがデンマーク。GKから前線まで軸となる選手を揃え、直近のユーロではベスト4、ワールドカップ予選も9勝1敗。決してフロックではないチームで、フランスを上回って1位の可能性もあるはず。期待も込めてデンマーク1位、フランス2位で(そうするとラウンド16からアルゼンチン対フランスが見られる笑)。

　さてお待ちかねのグループE。ここは順当にドイツとスペイン。そこにコスタリカがどれだけ迫れるか、が焦点。2強は前述の通りで、コスタリカは堅固な守備陣がどこまで耐えられるか。ナバスの活躍は必須。コスタリカとしては1勝2分けでの突破が理想だが、スペインとドイツなら崩しきりそうで、この2チームの突破で予想。順位は難しいが、最後に得失点を稼げる可能性があるスペインを上にとりたい。ここに自分の国の名前を挙げられないのが非常に残念ではあるが、仕方がない。選手個々の頑張りを応援する大会。

　グループF。一見ベルギーとクロアチアが抜けているようにも感じるが、実情はそんなこともなく、ベルギーはやはり怪しい。堅実に突破しそうなのはクロアチアで、次点がベルギー、そしてカナダとモロッコも侮れないという構図。カナダにはアルフォンソデイヴィス等若手の有望株がおり、モロッコもハキミやツィエク、エンネシリなどヨーロッパで活躍する選手が多数。対戦順を考慮すると1位クロアチア、2位ベルギーで収まりそうな気はするが、波乱まで。

　グループG。ここに優勝候補筆頭のブラジル。ただ、こここそ死の組と言っていい組み合わせで、実力充分のセルビア、スイスに加えて爆発力のカメルーン。さすがに1位で突破するのはブラジルだと思うが、3カ国とも王者を喰えるだけの力はありそうで、楽ではないはず。ブラジル、スイスの勝ち上がりを予想しておく。ちなみにセルビアは登録26人の内25人が「〇〇ッチ」という名前。

　最後はグループH。ここは2強+1の構造で、ウルグアイ、ポルトガルの勝ち抜けが高確率。ウルグアイはスアレス、カバーニだけでなく後ろと中盤がしっかりしているのが大きく、前線ではリヴァプールで活躍中のダルウィンヌニェスのブレイクを期待でき、1位突破予想。あとはポルトガルかガーナかだが、総合力でさすがにポルトガルか。ここも初戦で決まると言って差し支えない。韓国は頼みの綱のソンフンミンの怪我が気がかりで、厳しい戦いになりそう。

決勝トーナメント展望

　ここからが本題。上記のグループリーグでの予想からトーナメント表にしたものが以下の画像。

　こうして見ると、明らかに左右で偏りがある。そして、この手の想定は各国作っているはずで、そうするとグループリーグ最終戦で余裕のあるチームはあえて2位突破を目指すなんてことも出てくるかもしれない。アルゼンチンなんかはまさにそれで、グループリーグ最終戦を戦うときには既にグループDの結果が分かっている。その段階でフランスの2位が決まっており、アルゼンチンの突破も決まっていれば、主力は温存して2位でもオッケーとフランスとの勝負を避ける可能性は充分にある。そーゆうこと。

　ガチで予想する人はその辺りまで考慮に入れたほうが良いと思うが、そんなこと始まってみないと分からない部分でもあるので私は割愛。以下、各試合の簡単な予想。

オランダ対ウェールズ
　ここはオランダ。力の差が大きく、オランダとしてはここをどれだけ楽に抜けるかが焦点か。

アルゼンチン対フランス
　実はこの2チーム、前回もラウンド16で対戦している。そのときはフランスが4-3で打ち合いを制した。ただ、今回は逆と見ている。打ち合いを制するのはアルゼンチン、そしてフランスの連覇はここで潰える。

スペイン対ベルギー
　ここも欧州強豪の2チームの対戦。大きな注目を浴びることと思うが、案外あっさりを想定している。ズバリ勝つのはスペイン。圧勝まである。

ブラジル対ポルトガル
　ここもあっさりブラジル。グループリーグでは何度か危うさを見せるも、トーナメントに入って一変というパターンを想定。いや、妄想(笑)。ブラジル本領発揮、ロナウドの夢やぶれる。

イングランド対カタール
　カタールがここまで残っていれば、この試合はかなり面白くなるはず。スコアレスで進んで、延長でカタールが勝ち切るところまで予想しておく。楽しませてほしい。

デンマーク対ポーランド
　なんとなく似ているイメージをもつこの2カ国。競馬ファン向けに言えば、ボッケリーニとヒートオンビートみたいな感じ。勝つのはというと総合力の分でデンマーク。ポーランドはレヴァンドフスキの爆発がほしい。

クロアチア対ドイツ
　ここも面白い試合になりそうだが、やはりドイツが上。クロアチアはどこまで粘れるかというゲームになる可能性が高く、粘りきれるほどドイツはぬるくない。レヴァンドフスキのような絶対的なストライカーがいれば…。

ウルグアイ対スイス
　スイスの守備をウルグアイがどう崩すか、という展開になりそう。ここは欧州予選無敗、イタリアと同組で勝ち抜けてきたスイスを上に取りたい。ウルグアイはスアレス、カバーニ、ヌニェスの活躍がマスト。

ベスト8の想定がこちら。既に決勝級の組み合わせが誕生しておりますが、まあ良いでしょう笑。

オランダ対アルゼンチン
　ここは、どれだけ余力を残しているかに尽きる。メンバー、実力ではやはりアルゼンチンが上で、それを日程面の利を得たオランダがどこまで。予想としてはアルゼンチンの勝利。この辺でメッシ爆発いっときましょう。

スペイン対ブラジル
　目玉の一戦。ワールドカップに相応しい一戦。個の戦い、チームとしての戦い、様々な局面で唸らされること間違いなし。それでも最後に勝つのはブラジルなんじゃないかと。スペインは最後の最後にフィニッシャーの差が出ると見ている。

カタール対デンマーク
　パッと見、見なくても良いかとなりそうな一戦。ただ、この試合が実現しているならば、多くの興味、多くの注目点が浮かび上がっているはず。地味な試合になるかもしれないが、強国とは言えない2カ国の対戦は興味深いものがある。デンマークのベスト4進出を予想。

ドイツ対スイス
　おそらくこの試合もスイスがどこまで耐えられるか、という展開になる。直近の対戦は20年のネーションズリーグで、このときは2試合やって1-1と3-3。2年越しに勝ち切るのは、、、ずばりドイツ。終盤までもつれる好ゲーム。

ベスト4。この段階で南米対欧州の決勝となることは確定しており、南米王者と欧州王者を決めるのが準決勝という構図。

アルゼンチン対ブラジル
　南米2強の決戦。前回大会以降、この2チームの対戦は2勝1分2敗の五分。そして、過去全対戦成績もブラジルの38勝25分37敗と全くの五分。ここで現時点での南米最強が決まる。アルゼンチンかブラジルか、メッシかネイマールか。かなり悩んだが、メッシにはここで涙を飲んでもらおう。試合後、両エース、両10番のユニフォーム交換と共に熱い抱擁が交わされることを願っている。

デンマーク対ドイツ
　以外にも前回対戦は2017年まで遡り、そのときは1-1のドロー。通算でもドイツの9勝3分7敗と大差ない。ただ、現時点では力の差があると言わざるを得ず、勝つのはドイツ。デンマークはどこまで0でいけるかが鍵で、早い時間に失点するとかなり厳しい戦いになる。クロアチア、スイスとヨーロッパの難敵を下してきたドイツがここも崩し切って決勝進出と見る。

ようやくここまできた。遂に決勝。4年に1度のチャンピオンが決まる。

ブラジル対ドイツ
　ミネイロンの惨劇、1-7の衝撃から8年。ブラジルがリベンジを果たす。あの日累積警告で不在だったチアゴシウバ率いる守備陣が、ここまでいくつもの壁をこじ開け続けてきたドイツの攻撃を完封し、同じく怪我で不在だったネイマールが試合を決める。こんなドラマがあってもいい。優勝はブラジル。最多を更新する6度目の頂点に立つ。

あとがき

　これはあくまで妄想で、始まってみないと分からないことばかりというのは承知の上。戦術的なことは勿論、選手のコンディションや累積警告等のトラブル。更にオフサイドの判定がこれまでとは大きく変わる。その辺りはご理解いただければと。

　予想としては、やはりブラジルが優勝候補筆頭であるという考えは変わりません。ただ、いかんせん決勝までの勝ち上がりがかなり厳しい。グループリーグも決して楽ではなく、ベスト16も順当ならウルグアイorポルトガル、そしてベスト8もスペインorドイツorベルギーorクロアチア。楽な試合が一戦もないこと、そして日程上グループのアルファベットが後ろになればなるほど過密になりやすいことを踏まえると死角なしとまでは言えない。

　そうなるとオランダやイングランド、スペイン、ドイツ辺りは日程面、組み合わせ面で若干アドバンテージがある。ここに実力を加味すれば、私ならスペインかドイツに本命を打ちたい。そう考えるわけです。ブックメーカーのオッズを見ても、ブラジルが5倍、スペインとドイツが10倍前後⇒ブラジルの単勝一点とスペイン&ドイツの単勝二点はほぼ同じと言えて。この2チームが同じ組に入った以上、この2チームの突破を前提とするならば少なくともどちらかはトーナメントでアドバンテージを貰えそう。

　これが競馬予想的ワールドカップ予想になります。まあ楽しむのが一番なんでね、あーだこーだ言いながら今年も楽しめれば良いなぁと思っております！長々とした文章を読んでいただきありがとうございました！