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「午後ティー女子」に思うペルソナマーケティングの終焉

キリンビバレッジのロングセラーブランド「午後ティー」のTwitterキャンペーンが炎上しました。同社は謝罪し、当該キャンペーンを削除するに至りました。

この件を読んで、このコラム「ニュースの手ざわり」を書き始めようと思ったんです。

私が一番驚いたのは、このキャンペーンそのものではなくて、これが取り上げられた記事やまとめサイト、Twitterについたコメントに「図星だから女が怒ってるんだろう」というものが多かったことです。

このイラストと文字を隅々まで読んで、私が感じたのはむしろ逆です。どれも全然「言い得て妙」じゃないところ残念でした。どのタイプも「あ〜こういう子いるよね」という納得感がありませんでした。(アーティストのつぼゆりさんがどんなオーダーを受けて書いたのかわからないので、つぼゆりさんが責められることではないと思ってます)

ブランドのファンやメイン購買層のペルソナをやや揶揄的に描く

揶揄された側の自虐とともにより結束感を高める

という図式は昔からあって、聖子ちゃん派と明菜派、韓流ファン、ジャニオタなど、誰かのファンであるというアイデンティティや、オリーブ女子やVERY系ママみたいなある雑誌の読者もこういうペルソナを描かれがちですね。

いるいる〜〜(私は違うけどね)
わかる〜〜(私はそこまでじゃないけどね)

と自分を円の中心から外しながらニヤニヤ見る、”背徳感の共有”みたいな楽しさって女子の結束に非常に強力に作用する(女子独特なのか、男性にもあるのかも)と思います。

だから、午後ティーのキャンペーンは、惜しい。きっともっとターゲットにも受け入れられて面白がってもらえるものになった可能性はあると思う。

自分たち発信でファンを揶揄する(ブラックユーモアを交えた発信をする)っていうのは、すごく難しい手段。もし覚悟を持ってやるとしたら、対象者に対して並々ならぬ愛情がいることで、心の労力と文脈をつくる時間がかかる。そこをもしかしたら代理店なのか、発注先なのか、外部に任せて「まあまあいいんじゃない」って進んでしまった感じがするのが(本当はすごく労力も社内を通すプロセスも踏んでいるかもしれないけれど)、受け手が怒っている本当の理由だと思います。

午後ティー女子のどれにも自分の20代が当てはまる気がしなかったこととともに、「◯◯好きってこういう人」っていうマスマーケティングを前提としたペルソナ設定が難しくなってきているのを感じました。

マスがあるからターゲティングの意味がある。
マスがフルイド状になってどの業界でも細分化してきている今、ファンは画一的ではありません。

今一瞬キャッチーなペルソナを妄想するよりも、こんなに長く愛されている素晴らしいブランドの、それぞれの思い入れはどこにある?と掘り下げたらよかったのかもしれません。

アラフォー女性ならきっとみんなあるんじゃないでしょうか。自販機で買ったホットの午後ティーミルクティーで冷たい指先を温めた甘ずっぱい思い出が……。


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バタヨム

1979年生まれ。立教大学卒業後、出版社勤務。読書と旅とお酒が好きです。本を紹介するInstagramの個人アカウント @batayomu https://www.instagram.com/batayomu/ もやっています。

ニュースの手ざわり

1979年生まれ。立教大学卒業後、出版社勤務。 朝と夕方、取り入れるだけだった「ニュース」がいまは24時間入って着ます。ニュースは「コンテンツ」となり、私たちはニュースの消費者になりました。消化しきれないほどのインプットに沸き起こった感情を整理せずどんどん体に溜め込んだら、...
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