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「ベイトマンニュース」しんどい時にこそ見える姿

人はしんどい時になって初めて、隠れていたその人の本等の姿が現れるのかもしれないな、と思っています。

何度も書いているので、もう皆さんはご存知のことと思いますが、私の夫(58歳、イギリス人)は猪突猛進型で視野が狭く、じっとしていられないタイプのおじさんなんです。自分が好きなことにはどんどん突き進んでいくけれど、興味がない事には全く動かない。周りに合わすことをしない、いわゆるKY(あれ?古いですか?)な人です。
人としては真面目で純粋でまっすぐで、完全にええ人の部類に属するんやけど、いつもそばにいる私としては、もうちょっと周りをみたらどない?人に合わせたらどない?とイラっとくることも多いんですね。ほんま、わざとやないけど、気づかないってことがしょっちゅうあって、気づきまくる日本人の私の地雷を踏みまくってきた、そんな夫です。笑。

スコットランドに引っ越ししてすぐに夫がリストラされて突然職を失いました。私も仕事探し中だったので、夫婦共に無職という状態。まぁスコットランドの移住によって、経済的にはイギリス時代よりも楽にはなっていたんです。それでも定年までの数年間は、今の生活を維持していくために、新しい仕事を探してなんとか働いていくしかない、という状況になりました。特にここ最近の物価の上がり方は尋常じゃないですからねぇ。のんびり構えているわけにはいかない。
こういうめっちゃストレスのかかる状況下、いつもピリピリして大騒ぎする夫は正直大丈夫だろうか、と心配しました。もともとメンタルもそんなに強い方ではないやろし。
ところがびっくり。私が想像していたよりも、ずっとずっと、夫はたくましかったですね。

皆さんはアニメ「鬼滅の刃」を知っていますか?主人公である炭次郎の仲間のゼンイツは、普段はめっちゃ弱虫でちょっとのことでギャーギャー大騒ぎするうるさいヤツなんです。ところがそういう表向きのゼンイツが究極の状況に陥って眠ってしまう(気を失う)と、突然本当の、めっちゃ強くて努力家のゼンイツが現れ、めっちゃクールに颯爽と戦うんです。

夫もそんな感じでした。リストラされちゃったものは仕方がない。これからは食べていくために何でもする、と腹をくくり、せっかくスコットランドにいるんだから、と好きなゴルフ場で働くことを決めて、この歳になって、一から新しいことにチャレンジを始めました。
ゴルフ場の仕事は今までと違って肉体労働です。しかもえらそうなゴルファーを相手にする客商売。これまで自分のゴルフのためだけに走り回っていた夫が、今では一日中朝から晩まで他人のゴルフバッグを運び、他人が打ったゴルフボールを拾っています。すごいな、と思いますね。
リストラされてもっと腐るかな、落ち込むかな、しがみつくかな、と思っていた予想を覆し、腹をくくって新しいことにチャレンジする姿はたくましいです。

しんどい時にこそ本当の姿が現れる、と思います。しんどい時に垣間見えた夫の姿が、純粋でたくましかったので、少し、いや、かなり見直しましたね。すごいな、と思いました。
これからは私も炭次郎のように広い心で、普段の弱虫大騒ぎゼンイツ夫を受け入れるよう努力しよう。笑。


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