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レポート、ダンピール、アイカツ、そして林檎。

当記事の要旨:推しを推しているという旨の日記。

というわけで普通に日記です。
プレゼンとか……まったくもってそういうやつではなく……あくまでおれの話です。俺の近況の話を……一段落したここらで文章として出しておこうと……これについては鮮度が存在する概念なので…………


そういうわけで諸々の”前提”は一切合切全て無視して、何も触れずに突然推しの話を始めていきます。もうほとんど終わったしな……祭り……
実際プレゼンの一つでも期間中ぶち上げられたらよかったんだが(フォロワーもなんか書いてたな……)結果的におれはなんもできんかったので、ただこういう形で日記を書くだけになった。後のフェスタ。
俺はTwitterにおいても例の「祭り」そのものには一語一句言及せず、頑なに屋台で出てる出し物の中身の話だけするというスタンスで話をしていたのでここでも何も語ることはないという感じでお願いしたい。蠱毒という文字列すら用いずに来たので……。その辺の推しを取り巻いていた前提……渋い話は俺以外のオタクに任せていく。まぁ今や非公式wikiとかあるしな……そっち見といて……


俺が推しを知ったのは11月25日(日曜)の夜23時頃……だった(筈)
というのも、俺はそのとき、月曜朝が期限のタスクと月曜昼が期限のタスクと火曜昼が期限のタスク全3タスクを未完成の状態で抱え込んでおり、完全なる修羅場だった。ケツに火が着くどころかもう全身火だるまだった。必死過ぎてあまり覚えていない。
左手で関数電卓叩きながら眼の前のモニターでTwitterのTL追ってたら(修羅場なのにTLを追うな)、フォロワーによる「今レポートやってる配信者がいるから一緒にやったら捗りそう」という冗談を目撃した。酔狂か……?色々いるよな……(素朴な感想)と思っていたら時を経ずしてヴァーチャルな吸血鬼配信者のTwitterアカウントによるツイートがRTされてきた。

白。それはまるで一面の銀世界……というかそのときおれのUSBに入っていた「レポート課題_005.xlsx」に酷似していた。おれのデータ流出したのかな……?
続いて、福祉が行き届いたTLなので配信リンクも普通にTLに上がって来た。ありがたいですね。
即踏んだよ。(修羅場なのに配信を聴きに行くな)どういうきっかけにしろ興味を惹くというのはまこと大事であることだなぁ(一本釣りされた顔)。

リンクを踏んだ先。聞こえてきたのはやたら穏やかで透き通った美しい声であった。そして、レポートに対する呪詛、教授に対する恨み節、EXCELくんに対する文句……。終わりかけた理系大学生のイデアみたいなボヤキが、美しい声に乗って耳に入ってきた。

「完成させることが大事だからな!」

今、何と言った?
それは、それは、おれがレポート片しながら分間2回のペースで己に言い聞かせるテンプレ台詞……
「このグラフさえ完成すればなんとかなる……(カタカタ…)」
「ヨーーシヨシ!いいぞいいぞ!(カタカタ…ッターン!)」
俺は、レポートやるとき結構独り言を言う方である。精神の安寧を保つために……
俺の独り言が盗聴されているのか……?と疑うほどの、生きた理系大学生が、画面の向こうに居る。
やめろ、やめてくれ。
そんな綺麗な声で、おれの独り言そのものなボヤキをするのはやめてくれ……
このままでは……このままでは聴き入ってしまうから……

遡ること数時間前、フォロワーが推してる九条の5番の配信のリンクを物見遊山のつもりで踏んでいた。まぁ、なるほどなぁ……と感じた。色々と合点がいった。俺は藤堂ユリカ(※1)とかデーモン小暮閣下(※3)とかの顔を思い浮かべながら「”吸血鬼”って何、全員この辺の概念の強度がしっかりしてないとなれないワケ……?ってくらい構築されている……すごいっすね……」と思った。ところでよくよく考えたらデーモン閣下は吸血鬼ではなかった。(このときタスクのせいでIQが3になっていた)そういや赤月ゆに(※2)も何気に”吸血鬼”たる骨子が凄かったしな……吸血鬼って何、そういうもんなんか……
それにしたって強い、体感型のショーのような空間だった、というのが俺の感想である。アトラクションのようだった。「あぁパーツ一体感、迷いが実際ない」というオムラ社のフレーズが浮かんだ。ここまで迷いなく吸血鬼として”世界”を引っ張ってくれる中心がいたなら、世界の内側に居る人間にとってはさぞや楽しいだろう……伊達に1位ではない。

(※1)藤堂ユリカ:吸血鬼”キャラ”でファンを魅了するアイカツ!(無印)の1キャラ。ファンのために誠心誠意キャラクターを”演じる”ということを、単なる○○キャラという属性を超えた、ファンに対する真摯さとしての努力の賜物として肯定的に”キャラ造り”という面で描かれた極めてアイカツ!らしいアイドル。概念としての強度が高い。(※2)赤月ゆに:美少女吸血鬼YouTuber。今日は何の日の人。ユリイカ2018年7月号(Vtuber特集)において、そもそも自身は一度も”ヴァーチャル”を名乗ったことがない、という語りだしで「ヴァーチャル」という概念についての4000字くらいのエッセイを載せ、おれを平伏させた。赤月ゆには実在する吸血鬼であり、バーチャルでも架空の存在でもない、とのこと。強度がある。(※3)デーモン小暮閣下:歌がめちゃくちゃうまい相撲解説者。この解説いる???なお吸血鬼ではない。

話を戻す。
その数時間後である。同じ姿形をした女が、今度は画面の向こうでレポートに苦しんでいた。まるで俺と同じように。敢えてこの手の言い回しを用いるが、「ガワ」を共有するとはこういうことなのか。こうまで極端なのか。”他の九条”はもっとこう……上位者っぽい感じで……(全部聴きに行ったわけではないので表現が曖昧)
俺にとっては衝撃だった。こんな九条が居てもいいのか。いいのか……いいんだよな…………いい…………
良い………………。心の底から、そう思った。
吸血鬼の割に、親しみやすい?親近感が湧いた?
否、否。
そんなものではなかった。俺にとっての衝撃はそんなものではなかったのだ。俺がそのとき覚えた感情は、言うなれば、「シンクロ」だった。共感とかを通り越し、同調したのである。勝手に。勝手に己を投影して、親しみを覚えたのだ。画面の向こうの吸血鬼のつぶやき一つ一つが、理解る。
時計の針は余裕でてっぺんを回って1時を指さんとしていた。

「オタクは目が合っただけで好きになる」は完全にフェイク、これからは「たまたま画面を隔てて同じ時間にレポートやってただけで好きになる」、これが2018年なんだよな。これがR.E.A.L…………深夜1時半に紙にメモった生の実験データを紛失して会談チャネル(LINE)を開く吸血鬼しか信用できない。これが時代のスピードだよ。

これが推しとの出会いだった。俺が九条林檎008、通称くるぶし様を知った日だった。その日は結局、配信聴きながら作業続けて4時に寝た。配信自体は3時まで続いていた。

一夜明けて……というか21時間後、火曜の深夜。
普通に1時からのくるぶし様の配信を待機していた。残り一つのタスクと共に。
一晩一緒にレポートやった(たまたま同じ時間にやってただけ)結果、おれは完堕ちしていた。吊橋効果ってあるけどそれならこれはレポート効果かな……徹夜は動悸が乱れるからな…………
その日もおれは配信聴きながらダラダラ3時までかかってそのまま泥のように眠った。配信聴き始めて既に二日目というのに、既に作業用BGMとしてレポート吸血鬼の配信を聞くのが板に付いていた。ところでくるぶし様は普通に4時頃まで配信続けてた。

明くる日、電車の中で見た動画。投稿4:25で軽く引く。
そうか……あの後ちゃんとレポート完成したんですね……おめでとうございます…………おれもちゃんと終わりました…………
正直独りなら終わってなかったかもしれない、それほどの修羅場だったが、事実として俺は常軌を逸したレポート配信を聴きながら自身のレポートを終わらせることができたのだ。これは、得難い体験だった。”推し”という概念が俺の中で浮かぶには十分だった。もうおれにとっては戦友みたいなもんだよ。(図々しすぎる)
実際そこまでは行かずともなんというか、ヴァーチャルな吸血鬼が、どこかでレポート作業に追われていたという事実そのものが俺を勇気付けたのだ。まぁ何、J-POPシンガーも等身大の歌詞でもってティーンエイジャーを勇気つけるらしいし俺もそんな感じだよ。媒体がレポート作業配信だっただけですね。
これが2018年だ。


さて翌日、既におれはタスクから開放され、そしてくるぶし様も一旦ジゴクのレポート配信が一段落ついたことで、おれはようやく普通の(普通?)配信を落ち着いて見ることができた。レポート配信きっかけで知ったものの、別にレポートやってなくても配信聴きたいな……と思う程には推しになっていた。
とはいえ、実は多少不安もあった。普通の配信始まって”合わない”ことが分かったらどうしよう……という不安。レポート配信という飛び道具で一本釣りされた身なので、俺はレポート以外の九条林檎008というものを見たことがなかったのである。そもそも苦学生であること以外でどういう人間、もといダンピールなのか……俺は素のくるぶし様について行けるだろうか……

結論から言うと、完全に杞憂だった。
むしろ、レポート配信という飛び道具が無くなった分、九条林檎008の、地力とでも言うべきものに気付かされる結果となった。今まで見えなかったくるぶし様自身の持つ底の深さ、コンテンツ性である。

ここからは、12月6日現在の、アップデートされた推し語りである。
まず、「吸血鬼キャラ」について。
俺は最初、吸血鬼として、各々の世界観をキッチリと構築し、そこに自ら上位者として君臨する九条ばかり見てきたために、九条林檎008を誤解したのだ。わざわざ吸血鬼という「ガワ」を、理系大学生が纏っているのがある種ギャップ的に面白い、という認識である。今になるとそれは、浅い見方だったと言わざるを得ないんだよな……
そうではなかった。配信をしっかり聴いてみると、その口調は常に、どこか気品を漂わせていた。一人称は常に「私」(わたくし)だった。他の九条と比べるとかなり砕けた口調であったが、間違いなくその言葉はどこを切っても九条林檎であったと俺は思う。九条林檎008は本当にキャラを投げ捨てていたのだろうか?俺は、そうは思わなかった。あくまで吸血鬼としての芯があったように思った。親しみやすくも、適当なキャラ付けなどでは断じてなかったのである。親しみやすさと安っぽさは違うんだよな……。
8番目の九条林檎は、世界を構築しなかった。その配信の場が度々学生寮の談話室とかファミレスとか呼ばれてたのが象徴的である。実際めちゃくちゃ安心感あったからな……。上位者たる吸血鬼が、我々下等な人間と交流して下さる……という世界を構築しなかった。それでも、くるぶし様は”くるぶし様”だったし、生まれの高貴なダンピールだった。留年様とか進級様とか色々渾名が生まれたけどみんな様付けなんですよね……確かにカリスマは存在していたのである。単に人間社会に完璧に苦学生として馴染んでしまっただけの、気品のあるダンピールという芯そのものはブレていなかったのではないだろうか?
完全におれの感想なんだけど、ちょいちょい粗暴なのに常にどことなく育ちの良さが感じ取れるような、ギリギリのドライビングをやってのけてたと思うんですよね……まぁ単に俺がめちゃくちゃ贔屓目で見ているだけというオチでも全然良いんですけど……

あと、シンプルにしゃべりが上手い。”舞台”を作り上げていない以上、その配信はショーではなくラジオ配信としての質感が伴っていた。それだけに喋りのスキルが問われるのだが、くるぶし様はその辺相当に安定感があった。内輪感が強く出過ぎない程度の客いじりの塩梅とかスゲー居心地が良かった……常にフリースタイル配信を掲げるだけあってしっかり自身のハンドルを握って勝手に走ってくれるのが良いんですよね……
その声も喋りの聴きやすさを助けていた。声のテンションはめちゃくちゃ素に近いものを感じさせる。なんというか、完全にTLのオタクのツイキャス聴いてるときみたいなテンションなんだけど(故にめちゃくちゃ親しみやすい)、その声はよく通っており、張りを感じない声音なのに、何故か素人臭さを感じないというものすごい塩梅に収まっていた。何この……ゆるめのテンションの配信適正SS見たいな声は……

歌がうまい。さっきまでまったりしたテンション(喋りの速度自体はかなり早い)で喋ってたのに歌い始めたら突然めちゃくちゃ透明感が出てくる。何……?

推し語りの熱意がいい。プリパラとかアイカツ!推してる配信者はちょいちょい見てたけどアイカツスターズ!をここまで強く推してる配信者は初めて見た。しかも七倉小春(※4)推し。何より信頼できるでしょ。七倉小春推し、推せる。
俺はSideMとかは普通に未履修だったのだが、その推し語り自体はスルスルと入って来た。知らなくてもへぇ~~って聴ける推し語り、結構難しいからな……。つまり、この人は本当にこれが好きなんだなぁ……ということを淀みない喋りで語られたら知らなくても聴けるのである。技量よ。

(※4)七倉小春:アイカツスターズ!のキャラクター。眼鏡キャラ。1年目の中盤、突然イタリアに飛び、その小春に捧げるためのライブを主人公が失敗するという曇らせ展開を果たして物語から消えることでファンを絶望させたが、2年目に物語に帰還を果たす。小春ファンは鍛えられていることが多い。(完全な私見)

細かなことを語るとキリがないが、とにかく、実力を感じさせる配信者だった。
細かいこと?「ンフフ…♪」って感じの高貴な笑い方とか「くぉらっ!」っていう砕けた”叱り”とか、「なー♪」っていう余裕を感じさせる口癖とかそういう…………(本当にキリがない)

とにかく、推した。心の底から応援した。
本当に応援したいと思えたし、心身ともに健康で、美味しいもん食って寝てほしいと本心から思った。これが”推し”という概念か……確かに、話に聞く通り、推しを推すとおれまで健康になる……
そう、俺はくるぶし様がいたおかげでレポートも形だけは仕上がって出せたし、何より、この数週間、楽しかったのである。
俺に心の潤いを提供する外付けブースターとして、凄まじい馬力を発揮してくださったのである。
推しが生きてるだけで嬉しい。これだ。推しがレポートやってるだけで生きるのが楽しい。
それだけに、このままずっと、その声を聴いていたかった。
先に書いたとおり、この催し自体について俺から語ることはない。だから結果の話とかも特にしない。
ただ、九条林檎008をこうして知ることができた事実が、今年一番嬉しい。俺にとってはそれだけである。
願わくば、再びどこかでその声を聴かせてほしい、というだけである。

……とは言ってみたものの、正直そんなにセンチメントは感じてなかったりもするんですよね……。思えば、常にフリースタイルを掲げるだけあってその配信はユルユルだったし、常にやりたいことをやる、というスタンスの安定感は凄まじかった。具体的には、こんな催しの中で、まったく悲壮さとかそういったものを視聴者に感じなかったのである。前向きに、自由に。昨日、祭りが終わったその深夜に「ゴオオオオオオオオオオオオオオオ」ってドライヤーの爆音配信が始まったときは本当に安心したからな……
それだけに、俺としてもあんまりセンチな、”お別れ”的な感傷はナシでいきたい。生きてりゃまたどっかで会えるでしょ的な。
ヤッターマンだかタイムボカンだかヤットデタマンだか忘れたけど、あれの最終回さぁ(唐突)。
最終回、いつもの三悪人が三叉路に差し掛かって、そこでそれぞれ”お別れ“をして、文字通り別々の道を歩み始めるんですよね。でも、カメラが引いていくとその三本の道は地平線の向こうで再び合流してる(悲壮な別れをしといてどうせすぐに再会するギャグ)っていうくだりがあるんですけど、おれもだいたいそんなテンションでいることにします……

まぁ本人もこう仰ってるので……

またいずれ、近いうちに……ハイ…………その際はまた推させて頂きたく…………

そのうち、くるぶし様の気高い歩みに合流できる日まで、ひとまずは、さようなら。
ありがとうございました。おつくる。

(追記)
そういやファンアートをしたためてたので手前味噌・行為として置いておきます、まぁ何、存在した証的な……

(追記その2)
なんかバグって(?)文章が部分的に消えたりしたので(何?????)色々と修復した結果微妙に第一稿と変わった。しばくぞ。

(追記その3)
何なんだ!?原文のサルベージ成功、現在再び限りなく初稿に戻った。ガバガバ過ぎる。
担当者はケジメのちレポート研修に送られました。今は憩っています。

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