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プリパラ全部観た(感想集:2nd season 編)

 記事の要旨については前回を参照

 プリパラTVシリーズ全部観た。
 というわけで前回に続いて以下は2nd season全話感想集。前回からだいぶ空いたがプリパラのライブ行ったりそのレポ絵描いたり風邪で寝込んだりしてたらなんかめっちゃ経ってた。あと文量が前回よりずっと多い。

・この記事は2nd seasonの感想集です


プリパラ 2nd season


# 39 またまたアイドル始めちゃいました!?

 OPでまだ見ぬ強敵がグアーって出てくるのジャンプアニメっぽい(雑すぎる感想)
 アイドルドリームグランプリ開幕。どんな願いも叶うっていう言い伝えを聞いて各々夢を浮かべるのはいいんだが、うち3/5がわけわからん映像しか映ってなくて困った。南はそれ夢を叶えてどうしたいんだよ。
 そして5人でチーム組めとのこと。5人。これからの話の軸は大いに分かったが、分かるがなんでそんなことするの……(矛盾)という感想になる。絶妙な人数。波乱の予感しかしない。そしてそれによっていずれ分断されるのがもう予定されているレギュラー3人チームの再結成も控えており……。初見時、考え次第じゃもっかいそらみとドレシの再結成にまつわるドラマがまたひと山ふた山あって二度美味しいと考えよう……とツイートしたが、結果的にその通りにはなった。

# 40 天使と悪魔ねこぉ〜ん

 真中進級。なおちゃんがまた同じクラスで胸をなで下ろす。
 再結成にまたひと山あるんだろうとは言ったが何故発端がお前らなんだ。レギュラーのユニットが一旦解散、その再結成を阻むものがマネージャー連中の抱えるただの迷信に対する恐怖、というのはプリパラ特有のパワープレイといった感じがあり、凄い。どうせ呪われるのはお前らなんだからさっさと再結成させろと団結するアイドル連中のくだりもあまりにも血が通ってなくてとても気に入っている。
 あと新キャラアロマゲドンのカップルがめちゃくちゃ仲が良く、既に仕上がっているのを感じさせる。主にありょまがめちゃくちゃ狡(こす)い。5人チームを巡る話を前に新たに出てくるのが2人組なのよく計算されていると思った。

# 41 のろわれたソロライブぷり!

南はこれに騙されてくれる真中の善性について一度よく考えよう。

 このアニメ、口喧嘩始まったら結構な頻度で女子中学生共が揃いも揃ってガチで相手を言い負かす為にボロカス言うし、その度に言いすぎじゃない……?って思うしなんかプロレスでパイプ椅子出てきたみたいな緊張感が出てくるよね……
 仕切り直しということで各々が再結成に向けて動くことで、こうして新シーズンの序盤に「そうそう南みれぃってこういう奴だったよな~~」って改めてそらみの面子の話ができるのは上手いし、その上でちゃんと南の話でもありそらみの話でもあったのが良かった。風邪で寝込んでたら六法全書持ってきたような女に対して真中のプレゼントの気の利きっぷりが嬉しい。
 真中の素朴な善性と南の地に足の着いた人間臭さ、ありょまの悪辣な狡さ等が見所だが、個人的には今回特に光っていた北条そふぃの存在感に言及しておきたい。シオンくんが作劇の中で感覚型天才ムーヴ要員を一手に担ってくれるようになった結果、出番の殆どを端っこでふらふらしてぷしゅ〜するだけになって久しいものの、要所要所でクラゲのようにしっかり刺しに来る強さがあるのを再認識。ちょいちょい挟む台詞や演じる役回りが的確に話に利いてくるところは薬味めいている。

# 42 プラジルから来た男

 アニメイテッド・藤岡弘、。サブタイトルが『ブラジルから来た少年』をパロっただけで本人はプリフォルニアから来てたし中身に特にブラジル要素が無かったことに愕然としてしまった。そんなことある!?
 上でいう「そうそう北条そふぃってこういう奴だったよな~~」ポイントは押さえた上で、そふぃくんが必死に、能動的に動かんとするところは劇中の親衛隊と心情がシンクロしてしまう。解放乙女の派生が初めて登場。

# 43 ドリームシアター一番乗り!クマ!

 坂としか形容できない山が出てきて笑ってたら思いの外そらみがしっかりドラマチックに再結成してくれた。やはり諦めないというのはそらみの美徳である。仲いいよね君ら……。クマもやっとこさ男を見せ、横ではドレシが賑やかで、相変わらずアロマゲドンが悪辣で白玉みかんのタガも外れ始めるしでテンポが良く全体的に見所の多い重要回だったと思う。ぷりぷりかしこま三人四脚は言わずもがな、この坂も後々また出てくるし……(3年目で)

# 44 イゴ、さらばウサ!?

 心拙き小悪魔とかいうありょまのドロシー評が印象に残る。アロマゲドンのコスさが天元突破しており、いよいよもって大丈夫かと不安になり始めたところで、結局裏切りはキッカケに過ぎずに普通に日頃の不満が重なって大喧嘩に発展するドレシのガッタガタな関係性が素晴らしい。やっぱドレシの会話劇は毎度安定して面白いと再確認。定期的に痴話喧嘩に励んで頂きたい。そして苦労人、レオナ・ウェスト。今後も鎹として頑張ってくれ。飲食屋の娘、食器を投擲するな。

# 45 となりのクラスの悪魔なの

 基底現実のアロマゲドン。二人とも物理肉体は小学生だったのが明らかになり、あろまげの数々の邪悪工作も小学生が中学生連中にいたずらしてたっていう構図でまぁギリギリアウトくらいにはなっている。アウト。
 兎にも角にも、メイン6人が再結成を果たした以上、あろまげがヒールやる必要がなくなってるっぽいのは少し安心した。2期第1クール序盤でそらみとドレシのドラマを改めてやるのと新キャラアロマゲドンの顔見せを並行させたのは実に合理的なんだが、やはり既存の6人に外部からエネルギーを与える装置の役を、あろまげが二人で全部担ってた煽りを受けている感が否めない。言ってみれば雨降って地固まる、の雨を降らせる役回りにこれまでずっと回らされていたわけで、この娘ら女児人気大丈夫なのかとか余計な気を揉んでしまっていたのだ。そう思うとマネージャー共が揃いも揃って腰抜けだったのも健気なヘイト分散だったのかな……

# 46 でび&えん保育園!ケロ?

 そういうわけでアロマゲドンから臭みを取り、メインに組み入れる為のあろまげ三部作が始動。今回はあろまげ・オリジン。
 それにしても黒須あろまという女のキャラ造形には魅力がある。厨二という月並みな形容すら当てはまらないのが面白い(小6なので)。いや実際割と真面目に、この手のキャラに付きまといがちな痛々しさも幼さ故にカワイイさに昇華されている気がするし、この手のキャラ特有の言語を翻訳してくれる通訳が常に同伴しているのも嬉しいところ。
 その裏でサラッとやっていたがプリパラの外だと普通に2歳上だから「ドロシーさん」呼びな真中くんとやんちゃな先輩って感じのドロシー・ウェストの絡みが非常に印象深い。この距離感は好みなのでもっとやってほしい。

# 47 あろまにはナイショなの♪

 なんか腹たつから嫌というお気持ちを表明する南みれぃ、人間臭さの真骨頂といった感じで良かった。気持ちはわかる。
 今回は全体的に絵面が(特に)おかしい。クラゲコーデの初出もここ。その格好で厨房に立つのか……。お前もその格好のままお好みを焼くのか……。こんなんでいいのかというくらい、あまりにも無茶苦茶やる白玉みかんが観ていて非常に疲れるものの、その健気さには胸打たれなくもない。もうちょっとその動物的な衝動を我慢してくれれば……「なんで食べちゃうかしこまる〜!?」

 何気に好きなカットの一つ

 そしてやはり痴話喧嘩は最高といった感じ。幼児からのマブダチ同士の喧嘩とはいえ、その原因もかなり小学生っぽいしょうもない理由だし、同時に当人達にとっては深刻な事態であることもよく伝わる良い演出がされていたと思う。普通にシリアスなくだりで繰り出される「お腹が空いたら誰からでも貰うの……」のピュアすぎる正直っぷりにはめちゃくちゃ笑ったし、今回は全体的に抜きん出た面白さがあった気がする。

# 48 6月6日、絶交アイドル

 復縁!仲直りのシーンが本当に二人だけの世界といった感じに描かれており、作中キャラからもノロケと形容されてしまう程に見ていて恥ずかしいレベルにまで仕上がっていたのには敬服した。仲直りとはこのくらいベッタリやるものだという力強さを感じずにはいられない。あと子供みたいなこと言って悪かった、という謝罪ができるタイプの子供である黒須あろまが実に良かった。結成された5人ユニット名が冗談みたいな代物で耳を疑う。

# 49 いもうとよ

 とにかく畜生の性根が畜生だったと言う他ない話だったが、最終的にいい感じの人情話に落ち着く。1年目は全38話しかないし怒涛の勢いでキャラを転がしながら本筋を堀り進んでいく生き急いだ視聴体験だった一方、2年目からはこういう”些事“にまるまる1話使うようになってきて余裕を感じないでもない。この頃はウサチャが一回限りのキャラだと思っていたのもある。

# 50 パルプスの少女ふわり

 斎賀みつきさんの声が聞こえてきてQOLが上昇。
 ドロシー・ウェストの試験の点数が38点なところに、勉強時間皆無って程でもないけど試験直前に急いで付け焼き刃したみたいな背景を感じる。これもキャラクターの質感というやつか。そしてプリパラ一恐ろしい女こと緑風ふわりがついに登場。レイヒ~。まだ奇行が目立つのみで、その真髄を知るのはずっと先の話だ。

# 51 プリンス様と不幸せの青い鳥

 紫京院ひびきの顔が良すぎる。色々と細かいツッコミどころの多い話だったがプリンスからの手紙が緑風ふわりの後頭部にずっと挟まってたのには耐えられなかった。

# 52 ふわり舞う!初ライブトリ!

 「うッッッさいマネージャーだな!!」ドロシー・ウェストはいつだって言いにくい皆の気持ちを代弁してくれる。あからさまなプリンス観の古さと紫京院の取ってつけたようなプリンスムーヴがとにかく目を引く。
 前触れ無くED変更。アッこれ映像に物言い入ったEDじゃん!!!いつ差し替えられるのかという見所が新たに生じた。

# 53 み〜んなプリパラ禁止命令

 まさかのドロシー真中回。歓喜。スピーチを行うなおちゃんを見ながら「なおちゃん真中の結婚式でもこうやってスピーチやるんだろうな……」とかなり飛躍した感想が浮かんだ。
 キャラをわちゃわちゃさせる単話のエピソードを並べて人間関係に厚みを作っていく手法には、やはり2年目以降のゆとりというものを感じずにはいられないし、なんというか地盤が固まってるよな。

# 54 あくまのミュージアムクマ!

 深夜に視聴したら開幕ハイジパン食ってるところ見せられて死亡。
 小6の割に中2の秀才連中を差し置いて策士キャラやってる黒須あろまが好き放題やる回。終始誰も高所で寝てる北条そふぃに触れようとしないので観てるこっちが不安になる。常々思うがドロシー・ウェストが普通に怪異にビビり散らす側なのが小物っぷりを象徴していて好きだ。

# 55  プリンスとヤギとデートと私

 サマードリームアイドルグランプリを前に緑風ふわりが揺れ動く傑作回。自分はプリンセスには向いていないのではというふわりの不安を察知した途端、即座にバカ高いカネを費やしたであろうゴージャスなデートを敢行、ふわりのプリンスとして振る舞う軽薄な紫京院を描いたAパート。「オマールエビもキミのまぶしさで赤くなっている……」←?
 それから打って変わって、中2連中が小6と一緒に本気でグラウンドを駆け回って遊ぶめちゃくちゃ楽しげなシーンが見られるBパートの落差が実に印象的。いや本当にお前ら楽しそうだな……っていうのが画面いっぱいから伝わってくる素晴らしい画作りだったと思う。

 プリンス様のために、とキラキラしたハイヒールを履いて練習したことで痛む足はふわりの心情そのもの。靴に窮屈さを感じていたところでトモダチに誘われ、いっときプリンセスであることを忘れて目一杯遊び……最終的にその窮屈な靴を脱ぎ捨て、グラウンドをありのままの裸足で楽しげに駆ける緑風ふわりの姿は一種の”解放”として非常に爽やかでグッとくる演出に仕上がっている。緑風ふわりというアイドルの軸はやはりパルプスを素足で駆けるナチュラル少女な姿にあるというのがこれ以上なく伝わるし、そのまま窮屈なヒールを脱ぎ捨て、プリンスから貰ったゴージャスなメイキングドラマを捨ててライブに挑む様はカタルシスを伴ったここ一番の盛り上がりだ。
 1年目のファルルといい、ライブに挑むにあたっての文脈そのものであるメイキングドラマを大一番で人任せにするやつ、一発で厄いことが行われていると分かるし、そう直感させる仕組みを築き上げていること自体が良いよね。

# 56 走れ!サマドリグランプリ!

 トチ狂った回であったのを記憶していたので自分のツイログ掘ったら記憶を3倍くらい上回る困惑っぷりだった。割と時間かけてやった緑風ふわりのプリンセス関連に決着をつける話ではあるんだが、兎にも角にもしっちゃかめっちゃかが過ぎる。常に画面で何かしらが起こっており、ちょっとでも目を離せば何がどうなってそうなったのか前後が分からなくなりそうな怒涛の展開、気付けば一つのユニットが生まれていた。「滝だー!!」じゃあないんだよ。
 何だったんだ……と呆然としていたらアドベンチャーコーデとトンでもSUMMER ADVENTURE。何……全てはこれをやらんがために……?確かにトンデモだし季節は夏だしすごいアドベンチャーしていたので何も言うことがない。
 そして何気に、プリパラを象徴するフレーズである「み〜んなトモダチ!み〜んなアイドル!」のフレーズが改めてちゃんと全文劇中で出てきたので、いよいよこのテーマをやっていくらしい。それを否定するロールを任されてるのがこの紫京院ひびきという……次回から本格参戦か。

# 57 ジーニアスって何パンダ?

 ナルシーを突っ込まれたことに対する「完璧なものを愛するのは当然(当然己は完璧な人間である)」というまほちゃんの返しが早速良かった。それはそのまま紫京院のスタンスそのものでもあり。怪盗ジーニアスというネーミングには耳を疑ったが、まぁプリパラのことだし自分でジーニアス名乗ることに対するツッコミも後々あるんだろうな……。まほちゃん本格参戦で作劇のギアが2段くらい上がった感じがある。

# 58 かえってきたファルルでちゅ

 ファルルくんがユニコンとめちゃくちゃ関係良好そうで嬉しくなる。久々に見るファルルが本当にカワイイ。0(ラブ)-week-oldが(ゼロ)と同じメロディーで歌詞だけ違うというギミックには感嘆の一言。
 1年目の「ファルルののん」といい、その出自からして孤独だしで、さぞ妹が欲しかったであろうことは想像に難くないが、同質のコピー存在をゾロゾロ連れて帰って来たのは流石に驚く。まぁ良かったね……という素直な思いもあり、君は相変わらずSF存在だな……という思いもあり。ドロシー・ウェストがミニファルルを基本「ガキンチョ達」呼びなのが地味に好きなポイント。
 そしてガァルル。これもみ〜んなトモダチ!み〜んなアイドル!概念に対するカウンター存在なのか……?と早々に身構える。

我々は、大勢であるがゆえに。

# 59 はれときどきガァルル

 努力の秀才(計算)と感性の天才(読み)がメインにいるので頭脳労働ではお呼びがかからん一方で、こういう状況においては本当に頼れる元祖スピリチュアル天才北条そふぃ。北条そふぃがナチュラルボーン天才で「できない」が分からないっていう話、そふぃくんが「一人でできるようになる」っていう話をやってなんとなく消化されたような気になってたけど普通に積み残されてたんだな……なるほど。
 ファルルとは真逆の、女の子達の挫折、諦観といったネガティブな感情から生まれた命であるガァルルの設定に舌を巻く。そういうとこにもスポット当てていくのね……。そんなガァルルに対して現状実に上手いことやってるそふぃを始めとするそらみがライブ見せる構図は一方では酷な話でもあるんだが、挫折に対して何より効くのは憧れなんだよな。そらみが1人の少女の憧れの象徴として一人前に偶像やってる姿には胸が熱くなる。そらみの輝きはガァルルの心に刻まれ、これからもずっと標としてガァルルの歩みを導く星になるのだなぁ……とかそういうこと考えちゃうな。
 例の漁船がついに登場。BPOに屈する。

# 60 夏だ!プールでラブMAX!

 怪盗ジーニアスは女だったんだよ!(キバヤシ) 殆ど正解なので恐れ入る。プリパラ君!錦織圭選手に謝ろう!
 最初ふざけた回かと思ってたら超の付く重要回。パラ2年目の壮大なテーマが、やろうとしていることが掴めた。ガァルルを使って北条そふぃの話をしたのはこのためか、まほちゃんがそふぃくんとシオンくんに目付けたのはひとえに“天才”であるという共通項か、と全てが一つの線で結ばれていく。キーワードは「天才」。紫京院ひびきによる”天才とは”という定義の講釈。そうか南は努力型の秀才だからまほちゃんの天才の定義には当たらないんだ……
 ”才能と努力”。プリパラがこれからやっていこうとしている話が明らかに。そう……め~~ちゃくちゃ難しいテーマである。
 ここで急にアイカツ!の話をするんだけど。
 アイカツ!における“才能と努力”というテーマに対する取り扱いは実に明快で、あのアニメが提示したのは「作中一番の天才アイドルは作中の誰よりも努力している」という極めてシンプルな概念であった。これを第3話にして提示しているのでもう最初っからこのテーマには答えを出した上で話をやっているのである。というのも、あれはもう一貫して”努力“の物語で、あの世界では努力してないアイドルなんか居ないっていう強すぎる前提が成り立っており、あいつもこいつも誰だって全員が息をするように前提として努力している世界では、努力をしない天才という存在自体がありえない。
 故にこそ、プリパラが、アイカツ!の対抗馬として出てきたという背景も込みで敢えて比較をしていくんだが、才能と努力っていうある種王道のテーマをパラが本格的に据えるつもりっぽいのは、明確にアイカツ!にはない切り口の話になるわけでめちゃくちゃ面白いな……と、この時点で期待が持ててしまう。
 何故このテーマは難しいのか。努力をせずともできてしまう天才と努力で成り上がる者の衝突という構図は、単に努力をした者が天才に勝利!やっぱり努力最高!あぐらをかくのはよくないね!っていう結論だと、よっぽど描き方が上手くないと軽く写ってしまう。じゃあ天才勝利!やっぱり努力した凡人ごときが天才様に勝てる訳ないだろ!で終わらせちゃうと普通に物語が止まるしで、努力の側に立つ主人公をまほちゃんに勝たせるにあたってパラがどういう答えを出すのかという見所がここで生まれてくる。そもそも勝負の結果で概念の正しさを決めてしまう概念バトルそのものの危うさみたいな見方もあるし(勝った方が正しい、でいいのか問題)、とにかくどう決着すんのか楽しみだなぁといった感じ。やっぱり物語の縦軸が見えてくると俄然話がおもろくなる。

# 61 クールスキャンダル☆恐縮です

 そういうわけでここから”天才チーム”が形作られていく。
 常時クールモードチートを導入した面白みのない北条そふぃを見て、影が薄いと思われがちな普段のそふぃくんだけどやっぱりあれは凄い良いキャラ造形だったんだな……というのを再認識。解放乙女もバージョンアップ。真中の微妙にズレたクール解釈が面白かった。とにかく回数に挑むの、神崎美月が4回連続アピールで凄味を見せつけたアレを思い出すな。(以降回数という指標は出てこないやつ)

# 62 シオンVSひびき

 天才その2。お前ら揃いも揃って恋愛脳かと言いたくなるがあの文面では仕方がない。むしろシオンの朴念仁っぷりが見所に。そもそも闘争を求めてアイドルの世界に踏み込んだ女だけあって今回のシオンはただのカラテバカである。「ボクと一緒のチームで幸せだと思わないの!?」がやはりお気に入り。度々発生する、ドロシー・ウェストが仲間として東堂シオンにお気持ちを表明するくだりは毎度毎度見応えがあって良い。
 前回、今回とそらみドレシがそれぞれ皆で友情を誓い、一緒にやっていこうという思いを新たにしているが、一方で真中と南がそふぃについていけてなかったり、単独でライブしたら一発でアイドルランクが上がったシオンだったりと、天才”以外”のメンツが枷になっている可能性が執拗に示唆されている。友情という暴力の話と、才能努力の対立の話を噛み合わせてやっている意味だ。まほちゃんが今回わざわざシオンくんをヘリに乗せたのも要するに”地べたを這いずる虫にイーグルの思考は理解できない”っていうことだろうし、度々まほちゃんが翼にまつわる言い回しを引っ張ってくるのもそれ。

# 63 トモチケは世界を救う

 なちゅ!いや〜語尾って素晴らしいっぷりね〜!語尾アイドル万歳っぷり〜〜!!!
 24.5時間テレビ、茶番としか言いようがないドラマといい番組としてはかなりヤバかったものの、もんじゃマンとか後々ソフト化されない謎ドラマとしてカルト的な人気を持っていそうな感じもある。『ナイフの行方』のソフトとか一向に出ないもんな。あとちゃんと夜間の児童労働を避けてるの地味に良かった。
 直接的過ぎる圧力の行使はともかく最後まで観てるまほちゃんは割と憎めない。というかこの辺から紫京院がヨゴれるシーンが安定した面白さを持つ天丼として機能し始める。こういう敵役は良い敵役だよな(おれ調べ)

# 64 ハムとあじみ

基本は2コマ

 黃木あじみ、堂々登場。常軌を逸した映像・音声が画面を支配する。とにかく色彩がキツイ。凄まじい。

# 65 ダ・ヴィンチ・コーデ

 クソタイトルすぎる。
 相変わらず正気とは思えない異常映像が展開される。メガデモか?64話に続き映像に関してはヤバイとしか言えない。
 そういうわけであじみ先生についてなのだが、その”強烈なキャラクター”という概念の極北みたいな存在を見ていると「み〜んなトモダチ!み〜んなアイドル!」というテーマの耐久試験として用意されたのかとすら考えてしまう。この頃はその程度の認識しかしていなかったが、プリパラが今後本当にあじみ先生周りでディスコミュニケーションをテーマにしてくるとは思わなかった。狂気と無理解、コミュニケーションの断絶。

# 66 秋のテラコズミックグランプリ!

 前回から急に変わったOPで南がなんかアンニュイな感じになっているのが不安で仕方がないぞ。緑風ふわりがヤギの出産を手助けするシーンが唐突に挿入、なんかのメタファーかと怪訝に思っていたところ、ふわりがその増えたヤギとチーム組んで大会に出るというトンデモ展開が炸裂して卒倒しそうになった。
 「オムオムライス」はキテレツ大百科のお料理行進曲みたいに歌ってたら勝手にメシができるタイプの愉快な曲かと思われたものの、あんだけオムライス連呼してるのとその先入観と相まって、ライブ映像で出来上がるのがオムレツであることにしばらく気付かなかった。米を入れてくれ。

# 67 めがジーニアスって何パンダ?

 「才能のない者にできることは、努力すること?違うね、それは天才の足を引っ張らないことだ」
 そういう形で南を曇らせるのおれは良くないと思うな!!!!!!OPで嫌な予感してたら案の定状況が、紫京院が南みれぃを詰め始めた。バラバラ5人チームシステムがここにきて作劇に多大な貢献を果たしている。東堂北条天才組を優勝に導けなかった責任を否が応でも背負わざるを得ない南。生徒会日誌というアイテムで天才代表紫京院ひびきと努力代表南みれぃのサシの対話の場が生まれているのが上手い。

# 68 ほら〜!ハッピーハロウィンにゃ 

怖いのベクトルが違くない?

 ハロウィン2年目。あじみ先生、仮装の怖さ勝負でそういう電車の車両を移りたい感じの恐怖で勝負するのはやめて頂きたい。ハロウィン回が恒例イベント化するのもそうだが、ここにきてそれが本筋を一旦ストップしてわちゃわちゃできる安息の地みたいな感じになるのは予想外だった。じゃあ休憩もしたし南を曇らせる作業に戻ろうや。

# 69 あぶないプリパラポリス最前線にほえろ

 「自分で天才を名乗るって恥ずかしくないの?」
 プリパラポリス登場!これに関してはもう満場一致で賛同を得られると思うんだが、次こそタイホだ~~!!の真中らぁらが好きすぎる。ここ超良いよね……

 これは極めて個人的な話なんだが、プリパラ観始める前に相互フォロワーのオタクがDiscordのサーバーでぱぴぷぺ☆POLICE!を複数回流したせいで、そのリズム、フレーズがやたら耳に残って取れなくなるという事件がおれの中で起こったことがあり、ライブが始まった瞬間これか!!!!!となった。以上です。
 あとドロシー・ウェストが怪盗ジーニアスに対して基本「泥棒」呼びなのが好き。

# 70 プリンセス・ファルル

 怪しい奴はいないダヴィンチ〜〜?←強いて言うならお前なんだよ
 改めてファルルの孤独を印象的にやってきたけどなんかあるのかと思ったら、プリパラを守る魔法使いときたから参ってしまう。まほちゃんはさぁ……。孤独な女二人が手を取り合って月の下で踊るシーンがもう二人きりの世界といった感じで非常に印象的。孤独な者同士、本心からの敬意でもってファルルに接する紫京院とファルルの関係性は、偽りで構築された紫京院と緑風のそれとは対照を取れると思う。後になって色々と利いてくるタイプの重要回だ。後々の……ナチュラルのアレとか……

# 71 誕生日の約束、かしこまっ!

 朝からピザ食う真中家。紫京院と南の2度目のサシでの対話イベントが発生。「お言葉ですが、努力は無駄ではありません!」正体を隠した敵と頭いい奴がサシで話すくだり(具体例がスッと浮かばなかったが、まぁダイハードとか……)自体はかなり好きな部類なんだが、それにしたって声が少し上ずるほど必死になって否定する南の姿がなかなかにしんどい。口では激励の言葉を投げつつ、あらゆる態度でもって南を鼻で笑っているまほちゃん含めて緊張感のあるやりとりである。
 またなおちゃんと揉める話かと身構えたものの蓋を開けてみればなおちゃんは冷静だったし真中は相変わらず真中で本当に良かった。自分で考えたイベントをカメラの前で発表する真中のアイドル性が眩しい。そりゃこんなんされたら応援しちゃうよな。普段はあほな面が目立つが、やっぱそらみスマイルの真中らぁらという一人前のアイドルなんだよなぁ……。やはり1年目のプール回と対照をとってしまうというか、相手に黙ってやったことで行き違いが起こる構図自体は同じでも、前回と違ってなおちゃんはめちゃくちゃ大人だし真中のためを思ってやったことで、その上で真中の友情重点の姿勢が久々に「約束」っていうワードを用いて描かれるのがなかなかにグッとくる。
 そして胸が熱くなる特殊EDを超えて短いCパート。「こいつは天才でもバカでも語尾でもない……僕の、敵だ」がめっちゃ良かった。今回で端的に描かれた主人公たる真中らぁらの持つ姿勢、アイドル性、在り方自体が完全に紫京院ひびきのイデオロギーそのものと相容れない事が明快に演出された、かなり完成度の高いシーン……なのだが、直後の予告がクソアホ過ぎてそれに全部持って行かれる。この次にこんな話持ってくんの!?

# 72 かしこまミステリー プリパラ連続ダ・ヴィンチ事件

 サブタイトルからして意味不明。こんな全部わからんタイトルある???
 内容もサブタイトルを裏切らないわけのわからん絵面がとにかく強烈……なのだが、今回のトンチキ騒動の裏では紫京院が女1人を口説くためだけにあれこれ暗躍しており、どっちかと言うとそっちがメインっぽい。流れ星のシーン自体は前後の与太話が嘘のように美しい仕上がりになっており、仮想世界で生まれ、仮想世界から出られないために投影された同じ星空しか知らない少女を想い、魔法使いがシステムを書き換え流れ星を見せる……と抜き出してみればめちゃくちゃ綺麗なSFラブストーリーが発生していた。やはり紫京院ひびきは世界を書き換える者なのだ。プリパラという物語の両極端なところが味わえる贅沢な回と言えるだろう。多分。

# 73 彼女がデビューする日

 サブタイが端的で、綺麗。
 怪盗ジーニアスがついに正体バレ、追いつめられたかと思いきや、あっさりと自分から全部明かしていく超の付く強キャラムーヴ。正々堂々プリパラデビューしに行くの、めちゃくちゃ格が高いし、その立ち回りで一向に格を落とさない。素晴らしいボスキャラだなぁ。
 ソロ曲、純・アモーレ・愛。夢女児が性別バレで死んで生き返ってもっかい堕ちそうなライブしてんな……。紫京院ひびき顔がいい。紫京院ひびき脚が長い。紫京院ひびき声がいい。色とりどりのサイリウムを剣の一振りで一色(紫)に塗り替え、高笑いと共に玉座に君臨するその姿はまさに覇王の貫禄。デビューライブですよね……?「この顔は気に入らない?」って何?
 そしてまほちゃんが動き出したことにより、プリパラの革命を賭けた才能対努力の直接対決が迫る。愛が強い方が勝つ筈なので勝敗で証明しよう理論により、気付けば南が全てを背負う羽目になっていた。まほちゃんの「僕はプリパラを誰よりも愛している」という言葉は嘘ではなく、確かな重みを伴ったものであるのは明らかで、だからこそ、この勝負を飲むのは非常に不味い、という不穏な流れが全部南に収束していく。助けてくれ~~~

# 74 紫京院ひびきの華麗なる日常

このカット面白すぎる。

 「染め上げてみせますよ僕の色に。すなわち革命です」
 キン肉スグルみたいな期待をされる真中らぁら。もうお前の火事場のクソ力だけが頼りだ。そしてパラはそういう一時的な力とかでは勝たせてくれないアニメである。プリンス様が女だったので即ぶっ倒れてうんうん寝込む緑風でめちゃくちゃ笑ってしまった。
 演劇という形をとって繰り広げられるレオナ・ウェストと紫京院ひびきの対話も面白かった。男装の理由として「所詮この世は嘘とまやかし。どこに問題がある?」っていう返答も、紫京院ひびきのオリジン踏まえた今思うとなかなか。対するレオナは偽ることとは対極の”ありのまま”を説くのが非常に面白いシーンになっていると思う。

# 75 イゴーイング・マイウェイ

 キッツイ回。天才の足を引っ張る凡人がどれだけ高みへ向けて羽ばたこうとする天才の枷となっているのかが周到に演出される。ここでファルルのライブを持ってくるかね……。
 「自由」という単語がとにかく繰り返される。あの翼を得たい、あの高みからの景色を見たい、と願うことを誰が止められようか。ドレシそらみ共にチームメイトを、背中を押してやる形で前向きに天才チームへと送り出す姿が何とも言い難い。解き放たれて、「自由」にやってこい、という。ウサギの一連の台詞が特にヤバイ。
 ところでアイカツ!でもドレスから翼生えてたしゴールドエアリーも筐体側主導のギミックだとは思うんだが、実際アニメのテーマともガッツリ噛み合っててホビーアニメかくあるべし感がある。

# 76 ハッピーバイバイXマスなの

 ”天才”、もう1人おったな~~~~~!!!!
 全員でクリスマスライブやる話でもあるんだけどその見た目の賑やかさと反比例するように「これで全員でやんのは最後か……」(別に最後ではない)みたいな神妙な気分になる。ライブの途中で事実上のアルムおんじが映り込んできて二度見した。誰!?
 晴れて天才チーム結成。努力チームがもうなんというか”余り”なのが見てられないが。

# 77 対決!ウィンターグランプリ

 これ年明け一発目にやったってマジ?

 この対比。

 プリパラというひとつの作品が、そのあらん限りの性格の悪さをこれ以上なく発揮してお出しする渾身の一話。天才が、凡人の努力を容赦なく踏み潰していく描写としてこれ以上のものはないだろう。
 「私達、仲良しごっこだけをしてた訳じゃないぷり!」”努力チーム”の5人がとっておきの名案として「魔女っ子コーデで箒を使ったダンスを魅せる」というアイデアを思いつくのも、それに向かって5人でわずかな時間を見つけて汗水流して一緒に練習に励むのも、この話じゃなければ普通に爽やかなアイドルアニメのワンシーンといった感じの描写も、今回に関しては全てが裏返ってもはや空虚。誰がどう見ても「ひたむきな努力」であるものを、勝負が始まってもいないのに、どこか空回りした上滑りなものであるかのように描写してしまうのが凄い。実際は5人ともこれ以上なく真剣に練習に取り組んでいるのに、である。(だからこそ慈悲がない)
 あとで叩き崩すことがあらかじめ明らかな状態で、丁寧に積み木が組まれていくのをありのまま見せるという演出。無論勝負はまだ始まっていない。いないが。これ天才チーム勝ちそうだな……っていう雰囲気が最初っから垂れ込めているのがな。メタ的な、多分今回こっち勝つんだろうな……っていう視聴者がどうしても抱いちゃう感情をそのまま誘導して演出に組み込んでしまうのが意地悪だ。301%のくだりもなんかゆで理論を思わせる実にプリパラらしい微笑ましい謎理論なのに、実際は努力チームの空回りっぷりを強調するような演出として裏返っているのがただただつらい仕上がり。そうしてまるまる一話使って「無駄な努力」というものを完璧に描いてみせたプリパラには敬服する他ない。
 そして努力チームの「ひたむきな努力」の描写の裏で一切の練習を行わない天才チームが努力と対になる存在として完璧。天才チーム、セレパラ歌劇団。努力チームの「魔女っ子コーデで箒を使ったダンスを魅せる」というパフォーマンスの直後に、天才チームがガチの”歌劇”をやるとどうなるか?A:努力チームの一生懸命な舞台がただの「学芸会」にしか見えなくなる。努力チームのパフォーマンス内容そのものが、天才のパフォーマンスの前では所詮凡人が何をやってもお遊戯会止まり、という演出として転んでしまうその作劇の意地の悪さには執念すら感じるし、今回ばかりは造り手に対して明確な恐怖を覚えてしまう。プリパラ、恐ろしいアニメよ…………

# 78 レッツ・ゴー!セレパラ!!

 まほちゃんによる革命が成る。セレパラ編開幕。EDに実写が戻ってきて腰を抜かしてしまった。

# 79 アイドル終了ぷり

 おれは後追いだから一気に次の話も観られたけどリアタイしてた南のオタクは一週間どう過ごしたんですかね。
 南を折る回。みれぃが原色真っ黄っ黄の髪色のまま冷静に南として喋るとめっちゃキツイやつ、再び。やめてくれ~~~~~~
 もう冒頭のライブでそふぃが何者にも縛られずにさっさとゴールドエアリー生やして空を舞っちゃう構図がいきなりしんどい。長い間天才と一緒にいたから才能が共鳴して潜在能力が引き出されたのだ~っていう説明台詞が即入るの、横で聞いてる南に一切の慈悲がなくて逆に笑ってしまった。
 独裁を布く紫京院の元を真中南コンビが訪ねるくだりは全体的にとても気に入っている。凡人でも天才より歩みは遅くとも一歩一歩成長できるので天才以外締め出すのはやりすぎだ、っていうのも割ともっともらしい理論だと思うんだけど、それすら「それは天才と競いあったからこその成長であって努力とは無関係だ」と一切を封殺してしまう紫京院の一貫性というかブレなさというか、その信念の強固さというか。努力によってもたらされた成功すら、紫京院ひびきの目にはあくまで天才の輝きの副産物としか写っていないのだ。強いな~~
 そして、その理論に力のない返答しかできない南の横で、とにかく必死にまほちゃんに食い下がる真中らぁらの一連の理屈!ここでの真中の理屈は誰がどう聞いても、ただの駄々に過ぎない。子供の駄々に等しい理屈で、あの紫京院ひびきに食い下がっている。とにかく私が知ってるプリパラはみ~んなアイドル、み~んなトモダチ!でセレパラは絶対間違ってるし私がそう信じてる、としか言ってないんだよな……。
 19話から分かる通り南みれぃって小学生からプリパラ通ってて、(まぁそれまでも細かい成功体験くらいは重ねてたんだろうけど)中学に上がってからの初夏に打算によって真中と引き合うまでは相方も見つからずにずっと1人でアイドル活動やってたわけで。計算、というか一種の計略でもって真中を捕まえたことで初めて上手いことSUCCESSした南のことを、そして今や自分でも自分を信じられなくなっている南みれぃを、最後まで信じるのが真中らぁらその人なんだなぁ……。この娘ずっとお前のこと信じてついてきてくれたんだぞ。

 その南みれぃのケジメのつけかたが「アイドル引退」なのが本当に、そういう極端なところが実に南みれぃで最高といった感じ。一貫して努力の人として描かれ、今回の一件では努力代表として動いた南みれぃが自分に対して最も厳しく苛烈になるのも当然すぎるし、そしてそれを止めに来たのがメイン連中だけじゃなくて大勢のサブキャラ陣も居たのは丁寧で嬉しいポイント。トモダチだ。しかし、それでも、今回に関してはそういう話ではなく……単にみんなに迷惑をかけた、ということ以上に、南みれぃというアイドルの在り方、アイデンティティが完璧に否定された結果なわけで、もうどうしようもないという。「努力なんて、無駄ってことね……」ってその原色真っ黄っ黄の髪色で言うのはやめてくれ。本当に辛いので。一貫して南みれぃをブチ折る為の話だけあってもう南の心の根っこの部分がボッキリ折れてしまった音が聞こえてくるような、そんな視聴体験だった。あまりにしんどかったので80話観始める前に一回風呂入った。予告見たとき、えっここでガァルルの話やんの!?唐突じゃないか!?って思ったんだが風呂の中でちょっと考えるまでもなく今の南は完全にガァルルに重ねられるんだな……と気付く。

# 80 ポップ・ステップ・ガァルル!

 プリパラ、最高~~~~~~~~~~~!!!!!!
 超のつく名作回。至高の出来。プリパラを観ていてよかった。

 開幕真中に「みれぃの居ないプリパラは考えられない」、とまで言わせる南みれぃ。一緒に辞める、とまで言ってくれるなんてマジで愛されている。報いてやってくれ。
 地下パラ編開幕。革命で誕生した新政権に不満を持つ人間が地下に集うの、生々しさがある。まんま地下レジスタンスの文脈で、細々と小規模なステージを重ねていく地下アイドルをやっていくのシンプルに発想が面白いと思った。そしてガァルル。おっきなったな……って親戚のオッサンみたいな声が漏れる。そう、ガァルルなんですよね。
 今回はもう明確に59話『はれときどきガァルル』の構図の逆だ。思ったように輝けなくて挫折したアイドルの象徴であるガァルルに「ライブすごい!ライブたのしい!」と言わしめたのはそらみスマイルの楽しげなライブだったわけで、では今回完全に折れてしまった南に改めてアイドルの感動を与えるのは……。
 59話を踏まえて、あれからめちゃくちゃ努力したガァルルが南みれぃにライブの楽しさ、アイドルの本質を思い出させるという構図そのものが素晴らしいが、何よりも、ガァルルであることに意味がある話なのがもう、最高という他ない。拙い、デビューしたての、言ってしまえば明らかに”下手くそ”なライブであったことに、そこに何より意味がある!そこに本質があるのだ!それがプリパラの提示した答えだ。
 別に上手くいかなくてもライブは楽しいことだし観ていて元気を貰える、言ってみれば単純なアンサーなんだが。天才と努力の対立軸、プリパラがどう答えを出すのかおれが変に難しく考えてたけど今回で方向性が見えたというか、天才が単純に技量で勝ろうがそれ以前に彼女達はアイドルなわけで、拙いガァルルのライブが南に最も響いたように、ファンに感動を与えるアイドルとしての如何は別の評価軸で語れるんだよな……。努力は普通に才能に対してパフォーマンスで負けることもあるが、それとは別に、努力したという文脈はそれ自体で意味を持つ。ガァルルがライブでミスをしたように、めちゃくちゃ努力しても完璧に至らないときは至らないし、なんなら努力がパフォーマンスの上ではさほど意味を発揮しない場合すらあるものの、それでも、その努力した、頑張っている姿は何一つ無駄ではなく間違いなく意味を持つ。無意味なことなどなにもない。それで南の心を動かせたんだから間違いなくライブとしては成功しているのだ……大成功のライブだ。ガァルルはアイドルであって求道者ではないので……。アイドルアニメにしか出せない、誠実でクレバーな回答である。
 努力は普通に天才に負けたりするが努力する姿、努力したという文脈自体は意味があるし心を動かすに足るっていう話もまぁ、それはそれでめちゃくちゃ残酷なのは事実だし、紫京院みたいな天才からしたらたまったもんじゃないんだが、実際アイドルである以上ファンの心を動かすことが何より大事なのだなぁ。メイキングドラマというシステムもある以上、積み上げた文脈で天才を殴るのは完全に正しい。
 南の、ガァルルがライブで失敗して自信を失くしてしまったら、という懸念、そしてユニコンの「この娘は思ったように歌えず踊れなかった女の子達の感情から生まれた挫折の象徴である分、人一倍努力してやってきてほんとにえらいからみんなどうかステージ見てやって(泣)」(こっちまでもらい泣きしそうになる)という旨の応援メッセージを見る南の目。明らかに己をガァルルに投影する南。そして拙いライブを終えたガァルルは、「楽しかった」と口にする。そう、これが、これがプリパラなのだ。本質だ。拙くてもいい、というのは何もライブを見る側に限った話ではない。プリパラというのは、女の子がみ~んな、カジュアルに、誰もが好きにステージに立ってアイドルとして自己表現できるテーマパークだ。このアニメはプリパラという”場所”の物語なのだ。アイドルをやる側が、アイドルであることを楽しむ場所がプリパラなのだ。真中らぁらが誰よりも信じつつも、一切の言語化をできなかった、今のセレパラにないプリパラの良さとは、つまりそういうところにあるとおれは解釈している。今回は南が立て直す話でもあり、同時にセレパラに”否”と叫ぶ地下パラ編の開幕としても最高の話だと思う。
 ところで、”南委員長”がクマと喋るシーンには妙な味わいがありメッチャ好きという気づきがあったのを記しておく。プリパラは実際色々と浮世から離れたテーマパークなので、色々と振り切ったアイドル相手にするマネージャー共も明確に浮ついた存在なんだが(自然に受け入れてたけどよく考えたら謎生物過ぎる)、その分地に足のついた存在である基底現実の南委員長がファンタジー妖精みたいなガワの浮ついたジャーマネと話してるとおもろいのだなぁ。
 ところで(その2)、79話からやたら雨宮くんがチラチラしててアレだったのも要するに最も上手いライブを演るハイクラスなアイドルだけ居ればいいっていう理論に対立する話として、”南みれぃ“を応援するファンがいるっていう事実を意識させるためだとは思うんだがそれはそれとして雨宮ストーカーやめろ。

# 81 地下アイドル始めました

 キキーーッ!!アジミ死ぬほどすき。
 地下パラの細々とした活動。セレパラのパフォーマンスを見るだけで満足してるアイドルたちに、一緒に私達のライブ見てステージに立とう!ってビラ配るのが上で触れた”プリパラ”の在り方を象徴していて良い。まほちゃんの言うようにまさしく友情ごっこの馴れ合いに他ならないんだが、それでこそ、こうして多様性を受容する器足る。そして緑風ふわりが帰ってくるぞ、という。嘘だらけの女と自然体の少女。

# 82 ガァルマゲドンのデビタインデー

南の顔が赤いのも含めて気に入っている

 あぁ……雨宮がキショイ季節だったな……(年中キショイが……)
 ガァルマゲドン、何すんのかと思ったら最悪で駄目だった。そんな、そんなやり口ある!?すっかりパーティインした黒須あろまであったがその本質はなんらブレていなかった(声質は変わったが)。相も変わらずコスすぎる。小学生特有の無邪気でめちゃくちゃやる。紫京院に同情するレベルでやるな。

ガシャーン(カップが割れる音) やっぱ語尾が悪いよなぁ……

 まほちゃんがヨゴれるくだりがやはり好きだと再確認できた今回。所詮取るに足らんと放っておいたら火傷すると紫京院が思い知る話でもあるにしろ、なんか全身火だるまくらいまで行ってないか。

くるくるちゃん?ニャハ~!ニャハハ!ジャンヌパイナップルでスイカッカッカッカ!ジューシッシッシッシ! うふふフルーツ!なっしっしっシング!久しぶりあんドリアン!懐かしイーゼルじゃなかった懐かしイチゴ!あじみラクルフルーツ確信もったのシナノゴールド!フロム プラムペルサイユ!久しぶりのふるさとの食べ物おいしくてお肌ピーチぴち!ポンカンのこと覚えてなイチジク?あの頃は 楽しかったアーモンド!あれあレモン?あれあレーズン? あらあライチ?返事がないけドリアン聞こえてるのか夏みかん?聞こえてマスカット?もしもシークヮーサー?アッポウ ダ・ヴィンチ!パラ宿に帰国したら遊びに行くグミ!レッツゴー マンゴー! レッツゴー レッツリンゴ!レッツ ゴールデンパイン! いざパラ宿!いザクロ パラ宿!いろいろ大変だったみたいだけドリアン、力になるいよかん!また楽しくやれるいよかん!

久しぶり!元気?なんか色々あったっぽいけど力になるよ!(要旨)

# 83 ペルサイユのくるくるちゃんダヴィンチ!

 語尾に関してはお前のせいやんけ!!!!!!!
 紫京院・オリジン。こんな壮絶な裏切りをやらんでもええやろという気分になる。こんな過去背負った女が「この世は嘘と偽り」と言い放つのも完全に仕方ないし、同時にこの先紫京院の”矯正”(あえてこういう言い方をするが)は無理だろう、というのも思う。僕が間違っていた!友情最高!とは何があってもしない、というある種の覚悟すら感じる。こんだけの過去をやったからには、それに裏付けられるその信念はそうそう曲がるまいということだ。矯正が無理になったのと引き換えに紫京院ひびきという女の持つ信念の強度は凄まじいものとなり、単なるイデオロギー対立を超えてまほちゃんをどう救うのかという話が立ち上がって来る。
 あじみ先生はさぁ……。まほちゃんの語尾恐怖症がかなりヤバいノイローゼ的なやつだったので同情する。

# 84 ポップ・ステップ・ぷりぷりぷり!

 サブタイトル自体がポップ・ステップ・ガァルル!と対応していて良い。
 やはり怪盗ナチュラルのくだりが印象的。緑風ふわりの言葉、実際かなり思い上がったものだと言わざるを得ないし、紫京院も迷惑さを隠そうともしないんだが、でも初めての本心からの対話でもあり。ズケズケいく田舎娘によるアプローチはこの先どうなる。
 都市砲撃-8%付きそうな兵器が出てきたと思ったらコンコン金剛力士像が初登場。なんというか、他人の心にズケズケ踏み込むにしろやり方は多様だなぁ(白目)まほちゃんの頑なさの象徴としての城攻めっていう絵面はまぁ、良いと思うが。トモダチを攻めるな。そしてまほちゃんの秘する目的も明らかに。ボーカルドールになろうとする人間。上位者になろうとするまほちゃん対それ以外の構図が浮き上がってきた。天才とは孤独である。
 なお、ぷりっとぱ〜ふぇくとで死にかけたのは言うまでもない。嗚呼南……あほみたいな曲なのにおれは普通に泣きそうになっている……。
 ところでドロシー・ウェストの「もっと素直になりなよまほちゃん〜wそしたらふわりだって惚れ直すかもよ〜グヒヒw」が彼女の最悪語録の中でも指折りに最悪でめちゃくちゃ良かったのを付け加えておく。

# 85 逆襲のセレブリティ4

 おいバカが帰ってきたぞ。
 ドロシー姉弟回。流されがちに見えてここぞってところでエゴを持って動くレオナ・ウェスト。姉弟愛。基本ドロシー・ウェストがレオナを守る、っていうスタンスだけど、やっぱ長い目で見て支え合って生きてる姉弟なのだなぁ。4バカが高校生だったのが一番の驚きであった。

# 86 つかめ、春のグランプリ!

 ナチュラルに考えて。

 86話。初見で正気か???とひっくり返ってしまった問題のシーン。例のアレ。ワ~~~~~~~~
 共通項はないんだがアイカツ!79話の「私かそらの名前書いたのか?」を思い出してしまった。アレ見たときと同じ脳の部位が活性化するのを感じる。お前マジか!?感が。
 このセリフの中身自体は大方語り尽くされている筈なので今更2019年にわざわざここで何か長々言うことはしないが(これ単体で長々語れる情報量あるよね……)、まぁ、人間らしいセリフよな。様々な意味で。どっかで見た盲者に世界の美しさを説くような、っていう例えが最悪でよく思い出している。ファルルに向けてそれを吐けるのはお前しかいない。各々紫京院個人を止める為勤しむ中で1人ファルルの方を攻めに行ったのもとんでもなく味わいがあって本当に良い。せいぜい2分もないのに見どころがありまくる名シーンである。初見時は本当に大丈夫なのかと思った。なんというか、禍根というか。
 スプドリの顛末について。努力によってはるか高みにいる自分に追いついてきたアイドルへの愛を初めてまほちゃんが自覚するくだりなんだが、その愛は友達に向ける愛ではなく完全に慈しみの部類だし、人ならざる上位者へと至る途上で下々を肯定できるようになるっていうのはめちゃくちゃよくできた皮肉だと思う。セレパラ二本の柱の一つたる格差社会の肯定、下々のアイドルは邪魔っていう思想は、結果的にまほちゃん自身が遥か高みの人を超えた存在へと上り詰めんとしたことで、まぁ自分より下のアイドルも頑張れば自分に追いすがれることもあって可愛いな……っていう考えのもと”み~んなアイドル!”は肯定され得るっていう。
 そして残ったもう一つの柱はトモダチの否定。しかしここまで来ると最早単に友情でまほちゃんどついてゲームセットというわけにはいかない状況になっている。ここまで来ると普通に紫京院ひびき中心に物語を見てしまうのでどう落とすのか少し不安である。

# 87 語尾の果て

 説明不要の大一番。クライマックス回。システムが崩壊しトモダチという概念が消え去ったプリパラ。
 43話の三人四脚の回収。ここに限らず、覚えてるよね?っていう顔して平気で結構前の話の要素を引っ張ってくるの気が長くて実に良いと思う。
 やはりなんと言っても南みれぃ覚醒のくだり。最初から全部覚えてた主人公の真中を除けば最も早く、歌も抜きで”本来のプリパラ”を思い出した南。南みれぃというアイドルが、プリパラの本質を何よりも知っていることの証左と言えるだろう。1話の「みんなはアイドルの歌を待っているぷり!世界中に向かって届くように、思いっきり歌うぷり!ここではすべての女の子に、それが許されているぷり!」は、やはり極めて重要なシーンであり、何度もリフレインされるべきなのである。”戻ってきた”南が真中にかけたセリフが「頑張ったぷりね〜!」なのが最高。
 そしてトモダチ、人間関係が全てリセットされて漂白された世界で初めてまほちゃんが自分から人を求めるっていうのは良いんだが……ただそこで口から出る女の名前が「ふわ……ファ……」で濁されてたのはマジでエグいことやるよなといった感じ。頭良いし性格が悪い。そこに不滅のトモチケと共に飛び込んでくる緑風ふわり。一回更地になったことで偽りだらけのプリンスとプリンセスの関係がかき消え、まっさらな状態で本心の対話に到れるというのは見事だが、それは間違いなく怪盗ナチュラルとして緑風ふわりが独自にいろいろと動いた行動が呼び寄せた結果であり、そこに凄みがある。互いにまっさらになって初めて対話が、コミュニケーションが成り立つ、というのはあじみとまほちゃんの対話にも顕著だ。これに関しては完全なる断絶なんだが、それでも、初めてこの二人は赤の他人という、関係のスタートに立ったんだよな……。
 最終的に、再起動した、み〜んなトモダチ!み〜んなアイドル!を掲げるプリパラという場所のシステムにより異物として排除される紫京院ひびき。誰よりもプリパラを愛している紫京院が、そのプリパラのシステムによって、あってはいけない、いてはいけないアイドルとして断じられるこの構図。そしてそれを、「あたしの大好きなプリパラは誰も傷つけたりしない!」と否定できる真中らぁら!お前が主人公だ。み〜んなトモダチ!み〜んなアイドル!のシステムが、それを否定する存在を”み~んな”から弾き出すのを良しとせず、”トモダチを認めないトモダチ”すら”み~んな”の1人として組み込んでしまう真中のみ~んなトモダチ!思想。システムの体現者。紫京院製真中人形が最終的に「プリパラ」の箱に分類されてたことにも納得しかない。

# 88 キセキの鐘をならせ!

 ここぞというときのMake it!。プリパラはやっぱ”み~んな”で締める話である。
 めが兄ぃの「プリパラには幸せなアイドルしかいないのです。そのアイドルが幸せを分けてくれるのです」という台詞がそのものずばりといった感じで良い。プリパラの、一貫して全員が当事者なところがとても好きだ。1年目のプリパラ船団然り。今回は全員が各々のサイリウムエアリーを生やして空を舞うという絵面。プリパラの輝きというやつの象徴。紫京院が見たプリパラの輝きは、画一的な一色の光ではなく七色のサイリウムの輝きなんだよなぁ。

# 89 み〜んなトモダチ!み〜んなアイドル!

 「まほちゃんとボクたちは一生離れられないトモダチだもんな〜〜!」
 友情でまほちゃんをどつき回す話。窃盗行為で市井を混乱させた挙げ句、革命でシステムをひっくり返し独裁を布いた末にシステムを一回崩壊させるというやらかしをカマしたまほちゃんに沙汰が下るのはわかるが、トモダチをお祝いしよう!っていう名目の、”トモダチならやるのが当たり前”な送別会兼お誕生日会に私怨による私刑が混入してくる(主に南とかドロシー・ウェストによる)のが、なんというか性格悪いアニメである(友情の素晴らしさを説いた年度の締めにやる話か!?)。インタビューとか読んでても思うが、作り手サイドは結構友情に対してシニカルな面もあるよね……。まぁ南みれぃ自身もさんざ煮え湯を飲まされてきたので仕返ししてやろうというのもわかるんだが、それはそれとして普通に性格が悪い、というのに尽きる。一応真面目な話をすると、多分仮面ライダーとかで元々悪役サイドだった奴を味方に組み入れる際に、多少過剰なコメディをやらせることで視聴者キッズに受け入れられやすいようにするやつと近しい線上にあるやつだとも思われるが。氷室玄徳が急にダサT着始めたやつだ。実質の禊だな。人間共がきたないことやってる横で心が綺麗すぎるファルルも印象的。一方的に人間様の考えを押し付けられておいてなお、ここにきてまほちゃんが笑ってて嬉しいって言えちゃうの気高い女神過ぎるでしょう……?ライブ、サイリウムチェンジしてからのまほちゃんがなんだかんだ楽しそうでおれは良かったとおもいました……。まほちゃんが笑ってて嬉しい……
 物語は3rd seasonにつづく。

未来へ

 まとめ……なんだが、実際2nd season観終わった段階では、自分の中であまり上手く感想がまとまっていなかったというのが正直なところだった。良かったけど、良かったけど結構いろいろ積み残されてない?この先これは片付くんだよな?っていう。というのも、み~んなトモダチ!み~んなアイドル!というお題目を、それを真っ向から否定する女を置いて掘り下げた2年目の物語は、プリパラという場所の物語であると同時に紫京院ひびきの物語でもあり、キーマンたる紫京院の話が落ち着くまでは言及するのが難しい。そう、紫京院まわりが全部万事まるっと解決した……とは到底言い難いんだよな。あくまでセレパラ編がひと段落して、まほちゃんが真中の言う”本当のプリパラ“に輝きを見てしまった(自分でもBAKAな事だと思ってるのが良い)だけで、紫京院周りの人間関係は一回リセットされて再スタートした、というだけだ。そして緑風ふわりは上手いこと横に座った。それにスプドリが結局セレパラの崩壊という形で終わりを告げたことで、天才紫京院をステージで負かすという目標も未だに成されたとは言えないし、その辺含め、3年目に向かって積み残されたモノは割とあり、2年目を観終えた時点ではこの辺どうするんだ……?と不安だったのは否定できない。紫京院緑風ファルルの三人はこの先大丈夫なのか、とかそういう不安だな。
 結論から言うと、プリパラというアニメは3年目でこの辺しっかり、完璧に拾ってくれたので、2年目も手放しで良かったと言えるだろう。その辺は3年目の114話とか133話とか136話の話をするときに改めて触れていきたい。プリパラ全部観た(感想集:3rd season 編)で。その辺の話を見届けたことで初めて、おれの中でプリパラ2nd seasonが完成したと言ってもいい。なんというか……おれまほちゃんのことかなり好きだな……
 あと、結局自身の理想を突き詰めまくった末の世界の象徴としての、システム崩壊後のプリパラが輝きを失っていたという事実によって「セレパラは間違っていた」という考えが出たのは紫京院の中で自然なことだと思うが、一方で否定されたのはセレパラの掲げる二本の柱の一つである格差の肯定とセレパラそのものなわけで、トモダチの否定自体を改めるには至らなかったのが、おれ的にはまほちゃんに対する救いにも映ったという話。実際み~んなトモダチ!という思想は結構な暴力だ。おれもお前も問答無用でみんなトモダチ。トモダチを認めない人間からしたらたまったもんではない。しかし最終的に、み~んなトモダチ!思想は”トモダチを認めないトモダチ”を”トモダチを認めないトモダチ”のままで”トモダチ”にしてしまうというある種矛盾めいた暴力によって成し遂げられ、結局まほちゃんが矯正されることはなかったのは見事だと思う。み~んなトモダチ!を通すにあたってまほちゃんを無理に(真っ直ぐに)曲げるのでなく、曲がったままのまほちゃんを迎え入れたというのが無理矢理でもあり優しくもあるっていう。(まぁ矯正という観点でいくとファルルは人間様に向けて矯正されかかってないかという話もできるんだが……)

 


 

 あと最後に一応触れておくが、おれは緑風ふわりというキャラクターはかなり好きだ。いやめちゃくちゃ恐ろしい女ではあると思うが……そういうとこも好きだけども……

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