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京田⇔砂田トレードに見るベイスターズフロントのしたたかさ

お断り

今回の記事の中には一部の方に不快な印象を与える記述がございますことを予めお断り申し上げます。あくまで1ファンの私見ですので科学的根拠や歴史的史実に裏付けられた記述でないことをお詫びいたします。

守備のうまい遊撃手を獲得したベイスターズ

10月のドラフト終了後から三原代表の後を受けた萩原統括本部長による、ベイスターズのストーブリーグでの戦力補強状況が見えずSNSではファンが怒っていました。しかし中日からトレードで京田を獲得すると大絶賛。ドラフトでは課題と言われた遊撃手について東邦高校、駒大で二塁手だった林を獲得し批判を浴び、倉本、山下、田部と二遊間選手を戦力外にしたのに、トライアウトからは育成でロッテの西巻を獲得しただけと批判の的でした。ここで守備がうまい遊撃手である中日京田を獲得したことで一気に評判を上げています。

京田についてはシーズン中から中日へアプローチ

京田は今シーズンは打撃が不調で、シーズン途中に二軍に落ちました。43試合の出場に終わり、立浪監督の構想から外れていると噂されました。ベイスターズはシーズン中から京田の調査を始めるとともに、中日フロントへもアプローチをしていたようです。シーズンが終了すると中日から京田を出す代わりに捕手が欲しいと意思表示されていたと噂されます。しかし、FA権のある嶺井が退団する可能性が高まり、一旦トレードを保留したようです。トレードを保留された中日は他球団に声をかけ始めようとした中で、ベイスターズは砂田というカードを切ったのだと思われます。ドラフト、外国人、トレードの情報が洩れないベイスターズですが、京田の交換相手の変更で保留した間に週刊誌に情報が漏らされました。中日サイドからの情報だと思われますが、情報が洩れると他球団にトレードを潰される可能性が高まり、ベイスターズフロントがうまく立ち回ったと思われます。

萩原本部長が来季から進める「自己進化型の組織」

プロ野球は閉鎖的な村社会であることから、ちょっと詳しいファンならプロOBのGMがいないとチーム編成は立ち行かないと考えたりします。萩原本部長は「プロ野球は構造的に閉塞的になりがちな組織だ」といい、「選手同士は小学生や中学生の頃からの関係性があることも多い。プロになると試合数が年間約160あるのに加えてキャンプもあるので、どうしてもスタッフも選手もずっと同じ“村”の中で過ごさざるを得ず、外部からの刺激が受けづらいのです」とも話します。萩原さんは村社会に風穴を開けるため、外部人材を積極的に登用したり、オフには選手を海外のウィンターリーグに行かせるなど外の刺激に触れさせました。そして萩原本部長が「たぶんベイスターズは12球団で一番新しい人間を歓迎する雰囲気があると思います」と語るような変化が出ています。中日やオリックスでのコーチ経験もある住田が人材開発を担当し、「いまチームが大事にしている考え方は『自分に矢印を向ける』ことです。つまり自分に向き合い自分を知り、他人のせいにしないこと。またチャレンジすることに重きを置いて、一歩外に出ることを大切にしていて、選手の海外派遣もその一つです」という自分改革を選手に推進しています。

2023年からはジョブ・ディスクリプションを導入

萩原本部長は「自己進化型の組織」をベイスターズが目指すと話し、TX(チームトランスフォーメーション)アドバイザーの川尻を起用し次のような組織づくりを進めます。「まず個人が自分の行った物事に対しての説明責任と結果責任を取る。そのためにベイスターズは来シーズンから、ジョブ・ディスクリプションを導入します。よくある仕事内容、職責だけでなく、VMV(チームの目指すVision, そのために何を行うかというMission、そして道のりにおいて大切にする価値観Value)や、成長、進化、自分に矢印を向けるなどマインドセットに関わる部分までを含んでいるのが他と大きく異なり、最も重要な部分になるかと思います」ジョブ・ディスクリプションによって、それぞれが組織の中の自分の評価基準を理解し、組織の価値観に共鳴、共有、共感して働くことになる。ベイスターズの組織がさらなる進化を遂げます。

選手の年俸はコストではなく投資

萩原本部長が「選手の年俸はコストではなく投資」として、FA交渉でマネーゲームをしないという高田元GMの考えを変えて、嶺井に対してソフトバンク同様の複数年契約、年俸を再提示したといいます。単純に他球団を蹴落とすために選手の年俸を吊り上げるのではなく、嶺井にこれだけの金額を提示しても、残留して活躍してもらって球団がファンに落とす売上で投資を回収できるという判断のもとで動いたようです。残念ながらソフトバンクへ移籍するようですが、FAを控えたベイスターズの選手たちが、「フロントがドライである」という考えを変えるきっかけになりそうです。つまり嶺井が残留しなくてもソフトバンク並みの金額を提示したことで、残留する選手たちにベイスターズ愛が生まれるのです。選手の年俸が投資として活きれば、ファンはスタジアムに足を運び、チームも強化され、いい形でチーム運営ができます。萩原本部長が来シーズンに向けてどのような動きを取るか楽しみです。


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