推しと称して砂を食べたレポ
※注 タイトルに「砂を食べた」とありますが実際の砂を食べた訳ではありません。それを踏まえて以下の記事をお読み下さい。実際に砂を食す気が狂ったオタクを望んでいた方には深くお詫び申し上げます。
1.はじめに
まず、私が「砂を食べる」という発想に至った理由を述べようと思う。
私は今、週刊少年チャンピオンにて連載中の「吸血鬼すぐ死ぬ」という漫画にハマっている。その中でも特に推しているのが主人公の1人、ドラルクだ。彼の特徴は「吸血鬼であり、すぐ死ぬこと」である。「吸血鬼すぐ死ぬ」というタイトル通りの特徴だと言えるだろう。ちなみに最新話では「1話中に94回死ぬ」という偉業をやってのけ、チャリティオークションでは彼を殺す権利が出品された。現実の話だ。
突然だが、ここで皆さんにちょっとしたクイズだ。
──Q.一般的に吸血鬼は死ぬとどうなる?
これを見ているオタクとしての造詣が深い皆さんならお分かりだろう。
そう、答えは「砂になる」だ。私の推しである吸血鬼のドラルクもご多分に漏れず死ぬと砂になる。となれば、「すぐ死ぬ吸血鬼」の代名詞が「砂」であることは自明のことだと言えるだろう。
ところで私はその日、「推しを食べたい」というオタク特有の願望に思考を支配されていた。
さて、もうお分かり頂けただろうか。自分の推し以外のことがちゃらんぽらんな皆さんのために単純な三段論法で言おう。
①推し=すぐ死ぬ吸血鬼
②すぐ死ぬ吸血鬼=砂が代名詞
③推しを食べたい=砂を食べれば実質「推し」
幼稚園児のチンパンジーでも手を叩いて爆笑する程度には簡単なロジックだ。
こうして私は砂を食べようと思った。
2.食べる砂を探そう
実質推しである砂を食べるべく、私はまず「食べられる砂」で検索をかけた。
いくら気色悪いオタクといえど、私も一応は人間である。仮に食べられないヤバい砂を食べて死んでしまったとなっては元も子もないのだ。まあ最も、「死」も推しの代名詞だと考えればやぶさかではないのだが。
話を戻そう。「食べられる砂」の検索結果1ページ目で、私はこう感じた。
──いやこれほとんど「砂」の記事じゃねぇじゃん、と。
そう、「食べられる砂」と検索をかけたはずが、「実際は微生物の塊らしい砂」の記事を始めとして、「土を使った料理」だの「土をめちゃめちゃ食ったばーちゃん」だのしか出てこないのだ。私はGoogleに失望した。思わずブックオフのCMの寺田心みたいになる程度には失望した。世界的検索エンジンの癖に「食べられる砂」も分かんねーのか、と。
しかしそんな中、私はある1つの商品を見つけた。
それが、この株式会社ハートの「あそぼうスナラムネ!」だ。
http://heart-ltd.jp/product/popular/%E3%81%82%E3%81%9D%E3%81%BC%E3%81%86%E3%82%B9%E3%83%8A%E3%83%A9%E3%83%A0%E3%83%8D%EF%BC%81.html
上記URLから飛べる公式サイトにもある通り、「あそぼうスナラムネ!」のコンセプトは「食べられるすなあそび」だ。
これだ、と思った。これは実質私の推しだ。ここで買わなくてはオタクの名がすたる。待っていろ「あそぼうスナラムネ!」。いや、吸血鬼ドラルク。
3.砂を買おう
「推しを食べたい」と思い立ってから数日後、私は近くのスーパーのお菓子コーナーへ向かった。
結論から言うと、「あそぼうすなラムネ!」は無かった。が、代わりにコレが置いてあった。
「たべるスナ!おいしいスナ!」と、まるでアニメにありがちな、語尾で無理やりキャラ付けされたかのようなキャッチコピーのこの商品の名は「おかしなスナラムネ!」である。これは、いわば「あそぼうスナラムネ!」の後継者にあたる。
スナラムネ自体が無くならなかったことには感謝しなくてはならないが、私は前作のカラーリングの方が推しっぽくて好みだったりする。復刻されたら大人買いするのでよろしくお願いします。
4.推しを食べよう
さぁ、食べるぞ。パッケージ裏に親切に記載されている遊び方を無視して推しが入った袋を空ける。
──推しだ。推しが死んだ姿だよコレ。だって漫画でいっぱい見たもん。
玩具菓子の対象年齢にまで幼児退行させられたかのような口調になりつつも、推しを実感した。私の目に狂いはなかったのだ。
付属していたシャベルをスプーンがわりにして推しを口に入れると、少しチープなラムネの味がする。へえ、推しってラムネ味なんだ。いいじゃん。
一つだけ惜しかったのは、あくまでもラムネであるため思っていたよりもすぐに解けてしまったところだ。その点だけは現実を痛感させられてしまった。もう少しジャリジャリして口に残るようならもっとリアリティのある推しを感じられただろう。改良する際にはこの事を検討していただけると幸いです。
しかし食べたあと、むせたのはかなりリアリティがあって良かった。推しを食べてむせることなど中々ない体験だ。しかしそれが200円(税抜)でできる。そう、「おかしなスナラムネ!」ならね。
5.最後に
こうして推しを食べきって感じたのは「推しを消化したくない」という気持ちだった。身体の機能を恨んだのはこれが初めてだ。嘘だ。ハチに刺されたあとアナフィラキシーショックに怯えるようになった時も身体の機能を恨んだので、これで2回目だ。
「推しを食べたい」──こう考えるオタクは私以外にもいる。しかし、推しを食べるのは至難の業だ。推しが三次元であろうと二次元であろうと、その問題は常についてまわる。
それでも、推しに近いものは必ず現実に存在している。いや、発想次第では食べられる全ての物が推しであるとも言えるかもしれない。これを見ているオタクの皆さんもそれを信じて推しを探してみてはいかがだろうか。そして皆さんにも「推しを消化したくない」という脳がバグったかのような思いに浸って欲しいと願う。
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