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韓国 人口密度と出生率は関係するのか?

【コラム】人口密度と出生率=韓国 
 
 「子どものための親の犠牲を劇化するK新派が韓国の出生率を下げる」。

 百家争鳴だ。超低出生率の危機をめぐりK新派にまで言及されるほど各種原因が診断されている。こうした中、韓国銀行(韓銀)は先月、人口密度を主な要因に挙げた。「超低出生率および超高齢社会:極端人口構造の原因、影響、対策」という報告書でだ。密集したところに暮らす人たちは子どもをあまり産まないと分析した。

 韓銀の報告書の「元祖」がある。2020年に発表された「韓国合計特殊出生率の決定要因としての人口密度」という論文だ。この論文は出産を「生態学的」に見る必要があるとし、各市・道の出生率は人口密度と反比例すると主張した。この論文には漏れている説明がある。人口密度が高いところの人たちがどう考えて、それを出産にいたる意思決定に反映するかだ。韓銀の報告書はこれを人々が感じる「競争圧力」という変数を入れて補完した。
 
 しかし「どんぐりの背くらべ」だ。2つの分析は共に韓国市・道の出生率の差がいかなる要因で発生したかを計量化しているが、これは最高の世宗市(セジョンシ)さえも出生率が1.12人と超低出生率を抜け出せない状況では大きな意味がない。特に両分析は市・道の出生率の差に焦点を合わせたため、人口密度と出生率の関係をより明確に把握できる資料を調べなかった。それは一つの地域の時系列人口密度と出生率の関係だ。ソウル市の場合、人口密度が2017年に1万5000人台に減り、それ以降は毎年低下している。これらの分析が正しいとすれば、ソウルの出生率は過去6年間に少しでも高まったはずだ。ソウルの出生率は2017年に0.836人に落ちてから毎年低下し、昨年は0.593人だった。

 人口密度では韓国の超低出生を説明できない。したがって人口密度を低めて出生率を高めるというのは説得力がない。実行の可能性は別にして。

https://japanese.joins.com/JArticle/315126

 韓国の合計特殊出生率がOECD加盟国でも最低の数字で、一人を割るのは韓国だけ。しかも、0.7人から0.6人台に下がるのも確実で、そこから更に下がる可能性も高い。

 出生率の低下が人口密度と関係するという報告書が出された。しかし、ソウル市の場合は、人口密度が2017年以降減っているのに、出生率は下がり続けているという。この時点で、出生率と人口密度に相関性はないと言える。

人口密度が低くなると、人と人が出会う確率が減るので、結婚する人が減る。逆に、人口密度が高い方が出生率は上がるように思うのだが。

 韓国の場合は、問題はそこではなく、子供が生まれても小さい頃から勉強、勉強で塾にも通わせないといけない。お金も時間もかかってしまう。それに、経済もよくないので、自分の生活もどうなるか、わからない。

 そういう状況で、結婚すらできない人が多いのに、子供を産んで育てるというのは、更にハードルが高い。人口密度の問題ではなく、もっと根本的な問題が存在する。

 上位の財閥グループがGDPの80%を占めているが、雇用人数で見ると、全体の10%しかいない。韓国経済では、財閥に入らないと収入も厳しい。しかし、それに入るには上位10%にならないといけない。働いている人の上位10%に入るというのは、受験戦争が終わっても、会社でも厳しい出世競争があるということだ。

 財閥に入っても、40代で肩叩きにあう。早期退職した後は、チキン屋、コンビニ、コーヒーチェーンのオーナーになるしかない。サラリーマンしかやっていないので、ノウハウがなくても出店できるチェーン店しか選択肢がない。そして、過剰な出店は競争が激化する。

 40代で退職することを考えると、10年とか5年とかの長い期間で実績を残すことを計画することが無理なのは理解できる。なんでも、早く、早くという感じで短期で成果を出すことしか評価されないのも理解できる。10年スパンで計画している間に、会社内のライバル達が2年、3年で実績を出せば、出世競争でも出遅れる。出世できなければ、いつまで会社に居れるかもわからない。

 財閥企業というのは、同族企業なので、経営者一族に生まれない限りは、トップに上り詰めることもない。ほとんどの人が、財閥企業のファミリーに生まれることもないので、多くの人は厳しい競争社会の中で、短期で成果を求められ、無能だと思われれば、退職させられる。

 退職後に、チキン屋で成功すれば良いが、そこでも厳しい競争が待っていて、失敗すれば、厳しい老後が待っている。韓国では、60代以上の自営業者が200万人を突破し、自営業者の中で36.4%の割合になるほど、高齢者になっても働き続けることになる。

  その財閥企業も安泰かと言われれば、そんなこともない。サムスン電子が半導体で儲けているので、なんとか利益が出ているようなもので、他の産業もどんどん競争力を失っている。

 自動車、鉄鋼、電気製品などが韓国の主要な輸出品だ。これらは、日本のメーカーが技術支援や技術提携したもので、その技術を日本から得られなくなれば、韓国の技術が独自で発展できるわけがない。

 そもそも、日本統治時代に、多くの産業や技術が日本から持ち込まれ、インフラも、日本の資本によって構築された。それが、韓国の発展に欠かせない産業基盤となった。

 針すらも作れないくらいの技術力しかなかった李氏朝鮮時代から、独自で急速に発展できるわけがない。自動車を作るにも、素材や部品、工具など関わるものが全て品質が高くないと、品質の高いものはできない。水だって必要だし、電気も必要。

 日本も明治以降に急速に西洋の技術を取り入れて、近代化という西洋化を進めていった。その名残は、今でも残っている。東日本と、西日本で周波数が違うのは、東日本は、ドイツから50kHzの発電機を輸入し、西日本は、アメリカから60kHzの発電機を輸入したからと言われている。

 今の電気製品は、どちらの地域で使っても問題ないのだが、昔の電気製品では確か、東日本、西日本で違った記憶がある。引っ越しをするときに、買い換えないといけなかったような・・・これは、不便なので周波数を統一した方がいいと思っていたのだが、技術の発展のお陰で問題なくなっている。

 日本の場合は、技術者を海外から派遣してもらったり、海外に技術者を派遣したりして、技術を得ようとした。なんでも、他人任せではない。それでも、海外のレベルに追いつくには、長い時間がかかった。

 しかし、技術には限界がない。新しい技術が出れば、これまでの技術は廃れる。これからも、ずっと新しい技術を探していかないといけない。長いスパンで。

 

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