勝手に商圏分析 第1章 港のヨーコ ヨコスカ コースカ編

題名が古いって??
いいんです。わかる世代に読んでもられば。。。

さて前回の序章では、商圏分析はボリュームだけを見て、定性的な質の部分を無視してきたことが出店失敗のひとつの要因であると書きました。では質の部分ってどう見ればいいのでしょう?

ジオデモグラフィックスという考え方

ジオグラフィ(Geography)って地理だよね?
デモグラフィ(Demography)は人口統計?
その二つをくっつけて、地域ごとに異なる人の違いを認識しましょ!っていう考え方があります。アメリカやヨーロッパが先行して研究が進んでいましたが、日本でもマーケティングに生かされる時代になってきました。

Geodemo東京

上の地図は、私が昨年まで在籍したジオマーケティング社が開発したGeodemo©というデータの東京周辺を色分けしたものです。山手線の内側や西側は赤い色が目立ちますよね?ここの地域が都心富裕層地区と分類された地域です。次に緑色が練馬区から世田谷区、大田区あたりまで多く見られますがここは富裕層ファミリー地区、その外側のピンク色がサラリーマンファミリー地区です。それぞれが違ったライフスタイル、消費行動の特徴などを持っているのです。

geodemo10分類

コースカの商圏はどんな色?

さぁこのGeodemoで、神奈川県横須賀市にこのコロナ禍のさなかの本年4月にオープンしたコースカ(正式には『Coaska Bayside Stores』)の商圏を見てみましょう。もともとはダイエー、その後はイオンを中心としたシネコンやボウリング場まで備えたショッピングセンターでしたが、オーナーが変わって大きくリニューアルしました。

コースカ位置

まず位置ですが、本当に港のヨーコです。
背中に海や湖を背負った立地って、このくらいの尺度で地図を見ると人の住んでいないところが多くて大変そうに見えます。

コースカGeodemo

肝心の色分け、住民の質ですが、ピンクと水色と灰色が多いかなぁ。
詳しくは上に貼った解説を見ていただきたいのですが、
ピンクはサラリーマンファミリー地区、ここに住んで横浜などにも通勤する現役世代の多い場所です。
水色は中小零細企業ワーカー地区、船舶整備の部品や工具の製造など、港町横須賀を下支えしている地元で働く人が多い場所と言えます。
そして灰色は豊かな高齢者地区、すでにリタイヤした方々が多く住む地区です。

ざっとみて高齢化が進んでるなぁ、と。上の東京周辺の地図では、この灰色は葛飾区あたりにわずかに見られる色なので、横須賀ではずいぶん多く見えます。

横須賀人口減少

これは人口の増減を見た地図。マス目がやや濃いブルーのところは人口減少しているところですが、市街地はほとんどですね。。。これはマズい。

豊かな高齢者地区を攻略できるのか?

こんな高齢化と人口減少が進んでる場所なんだなあ、とある程度見えてくると、いったいどんなショッピングセンターにリニューアルさせたのかに興味が湧いてきます。テナントなどご興味ある方は下記サイトをどうぞ。

https://coaska.jp/

わ、スタバがある。2階は無印良品、ファストファッションはH&M、GAP、GUと揃ってるし、ニトリも大きそうだし、生鮮の専門店もあるみたい。これは一番合ってるのはサラリーマンファミリー地区の方たちですね。

なんでそんなことが言えるのって?それは日本中の何十というショッピングセンターのポイントカードデータを見てきた経験です。誰が何を買うかなんて、はい、わかっちゃうんです。

中小零細企業ワーカー地区のかたにとっては、もう少し派手目なアパレルとか、安めな子供服とかが揃ってたら良かったかな。

でもお金を一番持ってるのは豊かな高齢者地区なんですよ。時間もたっぷりあるし。攻略のキーワードは、元百貨店ユーザー(ちょっといいもの消費)、ご近所・勤務先などのお付き合い重視孫への投資。それに国内旅行など。また新聞購読率も高く、テレビ広告の影響も受けやすい。そんな人たちです。

横須賀唯一の百貨店であるさいか屋さんも閉店が決まっている中、上大岡の京急百貨店さんにまでわざわざ出向かなくても、地元でこの方たちの欲求が満たされるものが揃うといいんじゃないかぁ。。。

このようにジオデモグラフィックスを商圏分析に取り入れることによって、今までのボリューム(人口や世帯数)だけでの分析では分からなかったより具体的なお店揃え・品揃えや販売施策が打てるようになります。

と、第一回はこの程度で。次回は地方の元気なショッピングセンター、青森県五所川原市のエルムの街と、山口県山陽小野田市のおのだサンパークの商圏を勝手に分析しちゃいます!行ったことある人もない人も、また覗いてみてくださいね。




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