基礎スキージュニア検定で子供は上手くなる?

基礎スキーの検定には2種類あります。一般の検定と子供向けのジュニア検定です。ジュニア検定は、ポールの中を滑って標準タイム以内でゴールすれば合格となるスピード重視の検定です。

一般のスキー検定は、昔は18歳以上でなければ受検できない決まりでした。スキー人口が減少する中で、子供も大人の検定を受けれるように規定が変更されました。

ただし、ジュニア1級を持っていれば一般の1級が受験できるというように、条件がつけられています。

その理由について解説します。


ジュニア検定では、1級で20本、2級で15本のポールの間を滑ります。できるだけ速く滑るには、スキーの板を横にせず、ゴールに向かって直線的に滑る技術が必要です。

しかし、オープンポール(左右に大きくカーブを描くようにセットされたポール)だと、ポールの外側を通るために、スキーの向きを変えなくてはなりません。その時にスキーの向きを少し横にしなければ物理的にカーブを曲がることは不可能です。だからといって、スキーを横にしすぎてズルズルと流れると、タイムロスになってしまいます。

一般の検定で2級以上を受検するくらいのレベルになると、スキーを横にスライドする、スキーの傾きや横ズレを調整する技術を習得しています。

しかしながら、子供はこうした技術はなかなか身につけられないのです。

それはなぜかというと、子供のスキー板は短いので、横ズレを生じさせることなく、傾ければスキーのサイドカーブだけを使って、ポールの間をすり抜けるように滑ることは可能なのです。

ジュニア検定で、大人が前走で滑り、その後に子供が滑ると、子供の方が速いタイムでゴールする時もあります。

しかし、スピードを出す技術を身につけた子供が、大人の検定を受けてもすぐに合谷はしません。スキーのエッジを立てる、角づけ操作だけの滑りでは、ほぼ不合格となります。

つまり、ジュニア検定のポール練習をするだけでは、大人の検定で求められる滑りの技術は習得することは難しいということです。

では、なぜジュニア検定があるかというと、子供にはスキーを楽しみながらチャレンジする体験をさせたいという狙いがあるからです。

ある程度上手くなって、一般の検定を受験したときに壁を感じて、また新たな挑戦の気持ちが生まれる。自分の滑りを俯瞰して考え、工夫をするようになる。

いわば、大人への階段を上がるヒントを自分自身で掴み取ることが、本当の意味での上達だと思います。

結論は、ジュニア検定に挑戦すれば、スキーはある程度まで上手くなります。

しかし、一般の検定を受検し、大人への階段を上がるには、人の話を聴き、他人の助言を受け入れ、自分の頭で考えることが必要になります。その上で、自ら努力し続けるという過程を経なければ、合格はさせられないよという考え方が根底にあることをご理解いただきたいのです。

ですから、子供たちに検定を受けさえようと考える親御さんにおかれましては、単に技術を向上させることを目的とは考えず、大人になるための素養を身につけさせることを念頭においていただければ幸いです。

子供が自分で考えて、工夫するようになれば、間違いなく上達します。

大人は根気強く待てるかどうかが上達の分かれ道ではないかと私は思います。

「教育の極みは待てること」だと、子供たちを見てきて実感しています。








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