じじ

足を見るだけではだめ! 身体を変える靴の基本知識


理学療法士のD-Dです‼
僕は本マガジンで靴に関しての投稿を中心にさせていただきます。

今回は一週間期間限定で有料マガジンの記事を無料公開させて頂きます☆

皆さんは足部を観察する際に履物、靴にも着目していますか?


靴も体の部位と同じように部位ごとの役割や機能を備えています。
その役割を知り機能を使いこなすことで患者さん身体を変える、パフォーマンスを向上させることもできます。

こんな感じで他の方にも同感していただいております✨

この記事は初めて靴を見る方にも「ゼロから」分かりやすく説明していきます。

読み進めるうちに靴の知識の知識が深まり、足部へのアプローチの幅が広がるはずです‼

読んだ後からすぐ実践できる内容にしてみました。

それではよろしくお願いします。



なぜ靴を見るのか?


歩行の際に地面に接しているのは「足」であり、靴を履いている場合は「靴」です。セラピストとして患者さんが整形外科であろうと脳神経外科であろうとその方が歩いている、歩きたいと望んでいる限りは足や歩行に関してアプローチするはずです。


セラピストとして足、下肢に関して解剖学や運動学の知識を有しているはずですが靴に関してはどうでしょうか?


患者さんもですが、セラピスト自身も履物に無関心な方が多いなと感じています
たとえば、靴の片側がすり減っていれば、それだけで両足の高さに左右差が生じ、立位アライメントが崩れるかもしれません。大きなブカブカの靴を履いていると歩行がしづらくなっているのかもしれません。

我々が足部に対して良いアプローチを行っても履いている靴が足部の機能を補助できていないとアプローチした効果が出にくいです。

臨床で患者さんが靴を履いている以上、靴は姿勢やパフォーマンスに大きな影響を及ぼします靴を見ることが大切です。そして靴の機能を知り、機能を引き出せるようになりましょう
それが足部へアプローチした効果を最大限に引き出すことに繋がります。

靴の役割とは…


靴の一般的な役割を大きく分けると以下のようになります。

①ファッション

②足の保護

③足の機能の補助

①に関してはそれぞれの人で色や素材、形などにこだわって履いている人もいます。自分を表現する一手段でもあります。

足部を見る際に靴を見てその患者さんの好みやこだわりなどが見えてくる場合もあります。「おしゃれな色ですね」「そのメーカー、デザインがかっこいいですよね」・・・等 余談ですが靴を見たら靴をほめてみるのも患者さんと信頼関係を築くポイントになるかもしれません。(僕はいつもそうしてます 笑)

②に関しては足底、つま先、足の甲の保護などです。高齢者の方は靴の果たす役割が大きいと思います。

小児や高齢者は特に皮膚や爪が脆弱なので怪我を防ぐために必要な役割です。

今回の投稿のメインになります‼

③に関してです。
足部は二足歩行をする我々にとって地面と唯一接している場所です。足部はバランスを保持したり、歩行するために推進力を生みだす機能が備わっています。その機能を補助するのが靴の役割です。


靴も部位に機能が備わっています

順番にチェックしていきましょう。


靴の部位(パーツ)について、それぞれの機能


靴は下の写真のような部位様々なパーツで構成されています。
臨床で靴を見る際には、これらのパーツの名称と機能を知っておきましょう。
ご自身の靴も見ながら確認してみて下さい。

図2

図1


➀ヒールカウンター

立位・歩行の際に踵骨の動揺を防ぐもの。パーツをつまんでみると固くなっているのがわかります。歩行においてヒールカウンターの有無で立脚初期の安定性が左右されます。


②履き口

広いと履きやすいですが脱げやすくもなります。またミドルカットやハイカットの靴もありますが足関節の背屈制限を招く場合もあるので注意が必要です。


③アッパー

足の甲を覆う部分です。足背を保護をします。調整具と連動し足の甲(主に中足部から前足部)を抑えるものです。

また足の甲のあたりに該当する部分は素材がしっかりしたものが多いです。この部分はアーチバンテージ

といって靴紐を介して足の甲を支えて靴の中で動く足部を安定させる役割もあります。


④調整具

履き口の広さを調整したりアッパーを足背にフィットさせる機能があります。紐、ファスナー、マジックベルト等 種類が有ります。中には調整具が無いタイプもあります(スリッポン等)。
紐+ファスナーといった複合タイプもあります。

事実

⑤中敷き

足底面に当たる部分。取り外せるものもあります。メーカーによっては足部のアーチサポートがついているものもあります。素材によっては摩擦が強いと胼胝の原因となったり足底の皮膚を傷める原因にもなります。


⑥靴底(本底)

路面に接する部分です。スリップ防止の加工や競技によってはスパイクがついているものもあります。


⑦シャンク(踏まず芯)

靴のゆがみを防ぎます。靴の中に内蔵されていたり靴底のシャンクに該当する部分を固くしているものもあります。靴と足部をねじれから保護する役割があります。シャンクが内蔵されていると靴底は前足部の方だけが曲がります。


⑧トゥーピッチ

つま先が上がりやすいように靴底に角度がつけてあります。靴底中足部の伸展の動きを補助したり、歩行時足尖の引っ掛かりを予防します。
⑦⑧が連動するおかげで足趾の伸展の動きが靴の中で出ます。そうするとウィンドラスの巻き上げ機構が機能します。ウィンドラスの巻き上げ機構に関してはご存じかと思います。
靴の部位の名称は聞きなれないので、慣れるまでは少しわかりにくいかもしれません。

僕は臨床で靴の部位を意識して評価しようと思ったときは
歩行を意識して評価する(立脚初期・中期・後期と大まかでいいです)
靴を後足部、中足部、前足部と分け、後足部から評価する
ようにしています。

図5

・立脚初期で踵をつきます。後足部である踵が安定するか➡ヒールカウンター
・立脚中期になり前方へ重心が推移していく、その際に中足部付近の安定性が出ているか➡履き口、アッパー、調整具
・立脚後期で前足部に荷重がかかる、遊脚期に備えて踵から離地できているか➡シャンク、トゥーピッチ

と考えると歩行の際に必要な機能と一致してくると思います。

あとは歩行全体&足部全体を通して
・歩行周期を通して地面に常に接しているので➡靴底
・履き心地や足底の直接の症状(痛みや胼胝)にも関わってくるので➡中敷き、アッパー を評価しています。

良い靴の条件と臨床で遭遇する患者さんの勘違い


前述した靴のパーツを踏まえて歩行しやすい靴は特に


・カウンターが長く硬く歩行の際に後足部が安定するもの
・調整具がありアッパーの部分を足の甲にフィットさせられるもの
・中敷きにアーチサポートが付いていて足底部のアーチを補助出来るもの
・靴底の曲がりが足部の伸展の妨げにならないもの

・足のサイズに適合したもの
(※サイズについては次回解説)


が良いとされています。


臨床で聞く患者さんの声には以下のような勘違いがあります。

「軽いと歩きやすいと思って!!」
⇒靴はある程度重さがあった方が遊脚の際に降り出す慣性が働きやすいと言われています
「履くのが楽なの!!」
⇒ということは脱げてしまいやすいですよね。歩きにくかったり、転倒の原因にもなるかもしれません。
「踵踏んで履いてしまっている」
⇒カウンターが潰れてしまい踵骨が固定できないかもしれません。
「柔らかい靴で足にフィットするの!」
⇒靴底も柔らかくて歩行の際に足趾の運動の妨げになっているかもしれません。


これらはあくまで靴の各パーツの機能からみた見解であり、患者さんのニーズやリハビリでの用途があるので必ずこの条件が揃うと良いというわけではありません。
前述した靴の役割の①、②、③の条件を満たしているかどうかを考える必要があります。


例えば患者さんの移動のメインがベッドと車椅子間で有れば着脱がしやすく、つま先が保護できる履物の方が良い場合もあると思います。

歩行練習がメインのリハビリの際やリハビリに使用する靴の問い合わせがあった時に、前述した靴の機能の基本を知っていれば、靴が問題でパフォーマンス低下をきたしている場合に良いアドバイスにつながるものだと思います。


僕も臨床で患者さんのリハビリをしているときに本人や家族から

「どんな靴で運動するのがいいですか?」と問い合わせがあります。
「歩きやすかったらなんでもいいです」なんてことは僕は言いたくありません…

足の知識を有している我々セラピストだからこそ
靴についても適切に選択し、着用していただく。
それが足部に対するアプローチを補助し、パフォーマンスを向上することにつながると思います。


僕が働き始めたときに一番苦手な部位は「足部」でした。(笑)靴のことはほとんどわかっていなかったです。


僕も臨床に出てゼロから足部を学び実践してきました。一緒に頑張っていきましょう!

実践!!靴のチェックポイント(動画)


今回の記事を読んでいただいて皆さんも少しでも足部、特に靴を見ていただけると幸いです。
今回の投稿が「文字だらけで分かりづらい!」
という方のために簡単にですが動画で説明しております。合わせてご覧ください。
実践!靴のチェックポイントということで動画の中で簡単に靴を評価してみています。

今回は以上で終わります‼


内容はいかがだったでしょうか?

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最後までご覧いただきありがとうございました!

次回もよろしくお願いします。


参考文献


・理学療法士のための足と靴のみかた [ 坂口顕 著 ]

・臨床実践足部・足関節の理学療法 (教科書にはない敏腕PTのテクニック) [ 松尾善美  著]

・山﨑信寿.靴の機能と適合性.総合リハビリテーション11(11),1983

・小林文子他.靴の適合性が歩行に与える影響.靴の医学24(2):45-50,2010

・長谷川正哉.高齢者のための靴の選び方.理学療法の臨床と研究25,17-23,2016


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