めちゃくちゃ好きになったオトコ

先週

日本に初上陸するマリー・ステラ・マリスのレセプションに顔をだした。

出版やファッション界隈の
いわゆる業界の人たちがあつまるパーティってやつで。
きっと、そこには楽しいおしゃべりが待っている。

今回のパーティは
私がライターをしている
担当編集のエミさんと2人で行くことになった。

こういうとき。
いつもどこかで
新しい出会いに期待している自分がいて。

その証拠に
今日の私は、奮発して買ったプラダのワンピースに
530PARKのダイヤのピアスを合わせて
最高の自分を演出している。

どんな夜になるのかしら。

夜の都会へとふみだすと
ホテルのラウンジに、おしゃれな光があふれて
どこか外国のようなその場所が、今日の舞台。

思いがけず、そこにおぼえのある顔をみつけた。

カウンターに体をあずけて、
別の男性と話しているオトコのその横顔に
一瞬、心臓がドキンとなる。

顔なじみの知人たちとあいさつをしていても
まるで、カウンターのオトコが気になって
話がはいってこない。

そう。
何年か前に
私が、めちゃくちゃ好きになったオトコだった。

お酒がすすんで
おたがいに一瞬スキができると
オトコは私に近づいてきた。

「よう」

なんだ、
ようって。

ひさしぶりに聞く声の響きに
動揺する私。
これって
まだ、未練があるってことなのかな。

「元気?」

そこからは
どうしようもなく軽い会話が繰りひろげられたが
どうしても
私の心臓はドキドキとなって
オトコが去っても、なかなかやまなかった。

何年か前。
一緒に仕事をしたことがきっかけで
私たちは体の関係をもった。

「元彼をひきずっているから。あなたのことは好きにはならない」

たしか、そんな宣言をしてはじまった関係だったけど
いざ、体の関係をもってみると
好きになったのは、私のほうだった。

体の相性がよかったとか
そういうことじゃない。

セックスの時
私のことをイカせようとしてくれた彼。
その一生懸命さというか、がんばりというか
そういうものに
こころをうたれてしまったのかもしれない。

だけどじっさいに私は
彼とのセックスでオーガズムを感じたことがなかった。

というか

オーガズム自体を知らない。
いわゆる
イったことがないってやつ。

そんなことをぼんやりと考えていたら
担当編集のエミさんがもどってきた。

「月ちゃんに、あたらしいページお願いしたいんだよね」

こういう流れで
仕事がくることは
この業界では珍しくないこと。

「新しい仕事ってね。セックスに関するページでね
"セクシュアル ヘルス”っていうムーブメントがあるらしくって。
今度取材に行って欲しいの」

セクシュアル ヘルス???

はじめてきく言葉。

もう何年もセックスしていない
しかも
オーガズムを感じたこともない私が
取材なんて
できるのかしら。

そんな風に不安になりながらも
なんだかその夜は
ドキドキと
胸の高まりがおさまらなかった。









私。荻野 月子、39歳。独身。 かれこれどのくらいセックスしていないんだろう? bda ORGANIC presents ”セクシュアル・ヘルス通信”では、セックスにまつわるさまざまなトピックスをお届けします。

next episode→ 6月1日更新予定

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