見出し画像

LEON

名作が名作になる経緯が知りたい。誰に、何人に評価されれば名作になるのか、評価した人は何に心打たれたのか。

海外の作品は、私にとってはなかなかに手強い。
感情の起伏が激しくて、行動の意図がつかみにくい。
物語のクライマックスはいつも感情によってもたらされる行動だから、置いていかれることもままある。

『LEON』を観た。初めて観た。
名作といわれるかの映画を観た人たちは、この物語にどう思いを馳せたんだろう。

タイトル、『マチルダ』なんじゃないかってくらいマチルダが主人公だった。賢くて不良な女の子はいつだって主人公だ。

買い物から帰ると家族全員殺されていて、悪党はまだ部屋にいる。それを察して毅然と自分の部屋を素通りし隣のレオンに「中に入れて」と頼むとき、とても賢い子だと思った。

でも図々しさと無鉄砲さは少女特有のもので、それにおじさんが振り回される話だった。少女とおじさんの組み合わせは古典なのかもしれない。その中のどれくらいが銃も振り回しているかはわからないけれど。

マチルダが初めて仕事をするときの、「もう少し左に寄って」と標的に指図する感じ、自分が世界の中心という感じでとてもよい。

小ぶりのトランクと、植木鉢、ボストンバッグにうさぎのぬいぐるみ。これが彼らの荷物で、やばくなったら街を転々とする。行く先々で、窓を開けて植木鉢を陽に当て、掃除をして、牛乳パックを2つ買い、夜になったら眠る。マチルダはベッドで、レオンは椅子に座ったまま。その描写がとても好ましかった。

それでもマチルダは、レオンと遂げることはできずに、優しくしてくれた人とすべて別れて、最後は「学校」に戻っていく。

そんな安易なところに収まってほしくないと無責任にも思ってしまったけど、ずっとアウトサイダーでいることができなかったのは、彼女がまだ12歳の子どもだから。現実に抗う術がないから。

それでもマチルダは、欲しがった「愛と死」を、手に入れることはできたんだと思う。前者は半永久的に。後者は一瞬だけ、でも確かに。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?