今回は「開発独裁」について見て行きましょう。

「開発独裁（developmental dictatorship、developmental autocrat）」：　経済発展のためには「政治的安定」が必要であるとして、国民の政治参加を著しく制限し、独裁を正当化する政治体制を指します¹。

この概念は、経済発展を目指す途上にある国々において、急速な発展と近代化を実現するために、政治的な民主的参加を抑制しつつ、経済開発を推進する体制を指します。こうした政権は、福祉や自由の尊重などの政策を後回しにして、工業、資源開発、土木、軍事部門に重点を置きます²。

「開発独裁」は、経済成長を優先し、政治的な自由や民主主義的な制度を犠牲にすることで、国家の発展を追求する立場を表しています。この用語は、特にアジアやラテンアメリカの政治体制を分析する際に用いられ、議会政治の失敗や政党政治の腐敗を経験した国々で見られることが多いです³。

開発独裁政権は、結社の自由や言論の自由を抑圧し、秘密警察や治安警察による社会の監視体制を築ります。一方で、経済発展を達成するためには、国家の資源を一元的に管理し、計画的かつ優先的に経済開発に投入する必要があるとされています²。

この用語は、今日でもなお慎重な検討を要するものであり、経済発展と政治的な自由のバランスを考える上で重要な視点となっています。