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酒は好きだけど酔うのは嫌い。

 この記事を、土曜の朝を二日酔いで過ごしている同志に捧げます。

 読めないかもしれないけど。

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 僕はお酒が好き。好きなお酒は歳とともに少しずつ変わるけど、ビールで言うと、あの黒い星の奴が好き。味も、それから「丸くなるな★になれ」ってメッセージも。

 だけど僕は酔っぱらうのは大嫌い。

 何言ってんの?って思います?でも僕本当に嫌いなんです。

 ノンアルコールビールは嫌いだけど、本当は、味が完璧に同じなら僕はそっちで十分。

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 僕は以前、東京でサラリーマンをしていました。家から1時間ちょっとの通勤。当然「会社帰りに一杯」という習慣もあった。先輩に誘われた時だけ。

 僕は1時間程度の通勤があったほうがいいと思っているタイプ。今は本当に通勤が短くて、オンオフの切り替えにも少し苦戦するし、何より落ち着いて新聞や本を読む時間が足りない。

 僕にとって、電車での通勤は、1日の中のとても大事なリセットとインプットの時間だった。思えばこの習慣は大学生の頃に染みついたのだと思う。

 大学生の頃は、往復4時間弱の通学をしていた。部活もバイトもあって、教職課程も取っていたから、そりゃもう大変忙しく、レポートの準備は主に電車とバスの中だった。当時、家には車もあって、時々車で通学もしていたのだけど、ある時、運転中は何もできないことに気が付いてやめた。電車ならずっと本読んでいられるのに、車だとそれができないから。

 往復1時間、時間自体は節約できるけど、その中身を比べると3時間のマイナスだと思って、忙しくなるにつれてむしろ時間をかけて電車通学になった。

 そのせいだと思う。

 酒を飲むと帰りの電車でほとんど本を読めなくなることに気が付いた。読んでても思うように頭に入らない。読んでもそれが自分の思索につながらない。

 満員電車でも本や新聞は読めるものだ。そうやって過ごした大学4年間は、通勤を悪しきものととらえる世間の雰囲気に思いっきり逆行して、通勤に価値的な時間として不動の地位を与えたようだった。

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 あるとき僕は気づいた。僕はどうやら考え事をするのが好きらしい。根がひねくれているということでもあるのかもしれない。

 酒は好き。味も、そしてみんなで飲むときの雰囲気も。

 だけど、酔わなきゃしゃべらない標準的日本人と違って、普段からわりと会話をするタイプの僕は酔う必要はないし、むしろ、周りが饒舌になってきたときに、せっかく出てきた話をきちんと聞けない状態になっていたらとても損した気分になる。今までそうやって、貴重な話をどれだけ逃してきたことか。

 僕は、酔うことで頭が回らなくなることがとてつもなく嫌。そんなものの力を借りなくたっていい気持ちにはなれるし、日常を忘れたければ忘れることもできる。

 酔うことで頭も活発になるような酔拳みたいな仕組みならそれもいいかもしれないけれど、そうじゃないから基本的には酔うのは嫌い。

 あぁ、酔わないアルコール飲料ができたらいいのに。

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