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ヘブバン、第二章までの内容から浮かぶ疑問と妄想

この記事にはヘブン バーンズ レッドの第二章までのネタバレを含みます。

ヘブン バーンズ レッドで現在公開されている第二章までのストーリーをプレイし終えました。シナリオの緩急もさることながら、物語に完璧にマッチした音楽が心を揺さぶり、第一章、第二章ともに無事に号泣しました。ありがとうございました。

ここらへんずっと泣いてた

さて、リリースされたばかりのこの名作、いたるところに後で回収するための伏線が散りばめられていました。中には勝手に伏線だと勘違いしているものもあるかもしれませんが、それら疑問に思ったところやそこから勝手に広げた妄想を以下にメモしておきます。考察にはなっていません。妄想です。数年後に答え合わせしてみるのも面白いかもしれません。

以下、長々と駄文を書いていますが妄想の骨子は大きく2つです。

  1. ヘブバンは現実世界と影響を及ぼし合う物語、という妄想

  2. ヘブバンは過去の記憶(記録)をたどり未来を救う物語、という妄想

それではどうぞ。

ヘブバンは現実世界と影響を及ぼし合う物語、という妄想

キャンサー、セラフが関係する異次元とは?

既知の情報をドヤ顔で繰り返す諜報員

宇宙のがん細胞ことキャンサーが本作の「敵」として描かれますが、そのキャンサーに唯一対抗できる武器がこのセラフです。セラフは主人公である茅森あるいはその他セラフ隊員が各々設定されたセラフィムコードを唱えることでワームホールから呼び出すことができる、エネルギーの源が異次元の世界にあるという特殊な武器です。キャンサー自体が異次元の存在(がこの宇宙に見えている姿)なので、同質のセラフで対抗できるという設定は自然といえば自然です。

ワームホール
既知の情報をドヤ顔で繰り返す諜報員

ここで妄想の時間です。

果たして「異次元」とはどんな世界なのでしょうか。物語設定としてよくありそうですが、この 異次元は我々が住んでいるこの現実世界 なのではないでしょうか?ゲームの中の人々は、ゲームを作った人々(とそれが生み出したキャンサー)に太刀打ちできません。プレイヤーの介入(セラフ)をもってキャンサーに立ち向かう、という構図はありだと思います(例えばヨコオタロウ氏の某有名作品などはこの構図)。という妄想です。

一応、根拠のような屁理屈のような妄想はあります。セラフィムコードについての妄想です。

セラフィムコードとは何なのか?

冷静に考えると痛々しい

セラフを呼び出すためのセラフィムコードは何なのでしょう?隊員が最も高揚する言葉を軍が身辺調査により作り出した、とチュートリアルでは説明されますが、その言葉を唱えることによりどうしてセラフを呼び出すことができるのかという説明にはなっていません。

Hello world
ワームホールから出てくるセラフ

実は セラフィムコードなしにセラフを呼び出そうとする描写 がシナリオ上存在します。セラフ部隊 31A のツッコミ役、ユッキー(和泉ユキ)がデンチョ(スマホ)に人工知能を載せて遊び、茅森はその AI に KETSU と名付けて仲良くなってしまうといういつものボケツッコミの楽しげなエピソードです。記憶の庭にいるユッキーを開放することで見ることができるエピソードですので、まだ見ていない人でユッキーのエピソードをご自分で体験したい方は薄目で以下をスルーしてください。

Hey, KETSU!

茅森のついた嘘を真に受けた KETSU が緊急事態と判断し、デンチョの機能でワームホールを開き、セラフを呼び出そうとします。不用意にセラフを呼び出すことは軍の規則で禁止されているため、ユッキーは慌てて KETSU に処理の停止を命じます。これは「セラフィムコードなしにセラフを呼び出すことが可能」であるということを示しています。

悪い茅森
純粋な KETSU

── 薄目でスルーここまで ──

また、セラフィムコードはセラフを呼び出すときのみ唱えられるものではありません。これは第二章最終日のクライマックス、RedCrimson の最後で最大の攻撃を蒼井が仲間を守るためにセラフの盾で防ぐシーンに見られます。セラフを構えセラフィムコード「インビンシブル!」を唱えた蒼井には巨大な光の柱が現れ、セラフの真の力をもって絶体絶命の危機を脱します(その代わり蒼井は……)。

過去に仲間をすべて失う経験をし、それを引きずり続け、自身のせいにしてきた蒼井。そして今、絶体絶命の危機。また失うのか。背後には過去を引きずってすべてを恐れていた自分に親身に接してくれた新たな仲間が。「必ず救ってみせる!」という決意の言葉にシンクロして心を動かされたプレイヤーは少なくないと思います。自分は号泣しました。ラストバトル中ずっと泣いてました (*1)。

つまりセラフ部隊が唱えるセラフィムコードは武器を呼び出すための呪文ではなく、プレイヤーと詠唱者をシンクロさせ、セラフの真の力を発揮させるためのトリガーである と考えられます。という妄想です。

追記:と、ここまで熱く語っておきながら蒼井のセラフィムコードが「インビンシブル」ではないことを知りました……。蒼井のセラフィムコードは「どうか安寧な記憶を」です。失礼しました……。よく考えたらそうですよね。蒼井は 29 系の時代からセラフ部隊にいて、「インビンシブル」は 31 系で入ってきた茅森がくれた言葉なので。「どうか安寧な記憶を」。これはこれで泣ける。

ヘブバンは過去の記憶(記録)をたどり未来を救う物語、という妄想

記憶の庭、ホームは何?

第一章途中で記憶の庭に入ることができます。記憶の庭には仲間がいますがノイズがかかっており、何をしゃべっているのかわかりません(しゃべっている内容はアイテムを使うことで少しずつわかるようになっていきます)。そこにいる仲間が 過去の姿 であることは容易に想像できます。

仲間にはノイズが乗っている

ホームはデスクがぽつんと置いてある全面窓の生活感のない部屋です。差し込む夕日からは落ち着いた雰囲気となぜかさみしい印象を受けます。

ここでリモートワークしたい

ホームからはゲーム上すでに通過した日に戻って話を振り返って見ることができます。選択肢で分岐するゲームにはありがちな機能ですが、ヘブバンでは この機能自体がこの世界の構造を示唆している のではと妄想しています。つまりはホームにいる茅森は時間を何度も遡ることができ、それによって 望まない未来を変えようとしている のではないか、的な。

開始するエピソードの選択画面

ちなみに、第二章の Day 19 午前中の浅見真紀子教官の授業にて五次元の世界の捉え方の一つの説明があります。これは何かの伏線に違いない……!

五次元の世界を説明する教官

スキップ機能のノイズ音は何?

会話パートをスキップすることができる機能はもはや昨今のソシャゲには必須な機能となっています。一度見たことがある話や興味のない話を飛ばすことができるスキップ機能ですが、ヘブバンではその演出がちょっと凝っています。

スキップボタンを押すと、「キュルキュル!」っという早送りのようなノイズ音とともに会話が飛ばされます。単純に次のシーンに飛ぶのではなく、早送りされた印象を受けます。

これは 今見ている会話シーンが過去の「記録」であり時間制御が可能である ということを強調する、シナリオ上の設定を想像させるための演出だと想像しています。

黒猫は何者?

ホーム画面と記憶の庭では名前が「???」となっているかわいい黒猫が案内をしてくれます。唐突に出てきて人間の言葉をしゃべり、本編の一つ上のレイヤーの発言をするこの黒猫はいったい何者なんでしょうか?

喋る黒猫

本作品(ヘブバン)は開発元 WFS の過去(現役)作品、アナザーエデンととても似ています。前衛と後衛に分かれたバトル、オーバードライブ、単純化されたダンジョンなどなど、システムに関しては同じシリーズなのでは?と疑うくらいには似ています。そんなアナザーエデンにも猫が登場します。これはアナザーエデン最大のネタバレなので詳しいことは言いませんが、序盤からパーティーについて回るこの猫が物語上かなり重要な役割を担っています。

まさか黒猫がアナザーエデンとまったく同じ役回りということはないとは思いますが……。人類滅亡という避けられない未来(避けられなかった過去)を変えるために、記録の再生を繰り返している茅森を案内する役割であることは間違いありません。もう少しアグレッシブに妄想すると、この黒猫は「うまくいかなかった世界線」の茅森である、というのはどうでしょうか。

黒猫と接するときは茅森が「無口な主人公」になるのはなぜ?

会話パートのあるゲームや RPG には「無口な主人公」がよく出てきます。主人公のキャラクターや喋り方をプレイヤーの想像にゆだねて、プレイヤーが自身を主人公に投影しやすくし 主人公 = 自分 であることを認識しやすくするための一つの方法です。

ヘブバンの主人公である茅森はかなり饒舌です。ユッキーとのボケツッコミの嵐は見る人によってはちょっと引くレベルです。そんな茅森ですが、ホームに戻ってきたとたんにまったくしゃべらなくなります。ゲーム上はじめてホームに入った時ですら特にリアクションもありません。しゃべる黒猫にもノータッチです。

これにはおそらく、上記の 主人公 = 自分 であることを認識してほしい という制作側の意図が込められています。ホームの茅森(プレイヤー自身)と Day XX の茅森は同一人物ですが別人で、茅森(プレイヤー)が過去の茅森(キャラクター)を辿る物語構造 になっています。と妄想しています。

全員楽器演奏をすぐにできるようになるのはなぜ?

大人気ロックバンド She is Legend の伝説的ボーカルである茅森を除き、31A のメンバーは楽器に関してほぼ素人です。しかし、ちょっと合わせただけで全員楽器の演奏をこなしてしまいます。これはなぜでしょう?

音楽ってすごい

物語上重要ではないことを省略しただけ、という単純な理由かもしれません。でもこんなシーン一つとっても何かの伏線である、という解釈をしたくなるものです(なりますよね?)

妄想の一つはこうです。全員楽器の経験があった。ただし別の時間軸上で。茅森が時間を遡って過去の経験を再生している(という妄想)は上で述べましたが、その茅森(プレイヤー = 異次元の存在)を通して経験の片鱗が共有されていたとしたらどうでしょう。31A として出会って、バンドを組んで、楽器を練習してライブをした(のちの Day で過ごす)時間が、最初に楽器を触ったメンバーに重ね合わさったのです。という妄想です。

第二章最終日の朝、猫の声が茅森を起したのは何?

第二章の最終日、野営で夜を過ごした 31A, 31B 両部隊。あたりが不自然なまでに静かなことに気づいて先に起床したユッキーが、まだ寝ている茅森を起こします。神経が図太い茅森はユッキーの声ではなかなか起きないのですが、猫の声がした瞬間に飛び起きます。ちなみに猫の声はセリフには出てこず、音声のみです。

なかなか起きない茅森

この猫の声はもちろんホームの黒猫の声 です。これ以外で猫はこれまで出てきませんし、脈絡なくぽっと出の野良猫が茅森を起こしたとは考えにくいのでおそらくこの説は合っているでしょう。

猫の声に起こされた茅森

茅森はなぜなかなか起きなかったのでしょうか?もちろん、彼女のキャラクターによる部分もありますが、この日茅森は 本当に起きたくなかった、先に進みたくなかった んだと思います。

この日、この先で辛いことが起きるのを「知っている」から。

なかなか起きなかったのは過去の記録の中の茅森(キャラクター)で、この時点で彼女はこの先に起きることを知る由はないのですが、上記の楽器の演奏の件のように、何らかの理由で時間が重ね合わさった、あるいは経験が共有されたと考えると説明がつきます。

先に進まなければさらに大きな問題が解決しないことを知っている黒猫 は、茅森が辛いことを知りつつ、彼女を起こしました。黒猫が「過去の記録」に干渉するのはこれが初めてです。この先、黒猫が過去に干渉できることがキーになるできごとが起きるのでしょうか?

あるいは、黒猫が干渉したのではなく自身がやらなければならないことを茅森が思い出した(それを「猫の声」という形で認識した)のかもしれません。これについては材料が足りず、妄想の域を出ません。

その他放置している謎

死者はなぜナービィになるのか?

生き物?
ある意味星になってる😢
ここらへんずっと泣いてた

第三章以降、蒼井をパーティーに加えられないのでは?加えらえるとしたらなぜ?

第二章のラストバトルにはもちろん蒼井をパーティーに入れられません

タマは虎徹丸の AI?

重要な情報を提供する諜報員

つかさの母親の死の真実は?つかさの過去の記憶は?

一番ドキドキした選択肢


最後までお付き合いいただき、ありがとうございました🐈


*1
第二章ラストバトルはアツかった……!蒼井のデフレクターが削られて HP ゲージがあらわになったときの焦り。過去の回想が頭をよぎる。死なせてたまるか(涙)
このラストバトルだけで記事書ける

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